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オーディアス攻略作戦
休憩するタイプのJK
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「いえーい!」
勝った! 第一部完!
イベントの度に内乱とか裏切り、さらには暴走機関車や敵対組織の妨害工作を受けていたけど、今回に関してはありえない。メメントモリのメンバーは厳選したし、PK撲滅連合は呼んで無いし、機関車にも乗ってない、完璧だ。
「……HPバーが消えない」
パァー! と万難を排して澱みなくイベントを終えた喜びを全身で浴びていると、不意にヨイニが不穏な事を言った。
「え、そんな……」
ギギギ……ギギと油を差し忘れてガッチガチに固まったギアを回す様にして悪魔付きの方へ視線を向ける。
視線の先で、横たわっていた悪魔付きの体がフワーっと浮かび上がり、急速にHPバーが回復していった!
「カバームーブ!」
一瞬の判断、悪魔付きの攻撃に対してヨイニがスキルによって私の前へ飛び出し、大盾を構える。
その顔は緊張で硬くなっていた。
「シュクレ先生!」
困った時は賢い人に頼るのが一番だ。おそらくこのゲームに関して世界一の権威であるシュクレへ意見を聞く。
彼女は迷う事なく冷静に返してきた。
「わかんないです!」
よーし、彼女がわからないなら考えるだけ無駄だ!
「アニーちゃん、どうする?」
「撤退だー! 戦いながら戦線を下げて、最後は一斉に入り口へダッシュしよう!」
「了解!」
戦闘パターンが変わっていたら厄介だったけど、とりあえずはそんな事も無いらしい。普通に1つのミスが壊滅につながる激戦ではあるものの、このメンバーであればなんとかなる。
「それで……どうする?」
全員の撤退が完了して戦闘の喧騒が一段落すると、シマーズさんが困った様子で聞いてくる。
倒しても回復されるんじゃ攻略のしようがない。
「何回か倒したら倒し切れるとか無いかな?」
「可能性はあるんだろうけど、何とも言えないなー」
シマーズさんが悩ましげに視線を泳がせる。彼の視線には、実況中の視聴者のコメントが映っているのだろう。
「長丁場になりそうだし、一旦休憩にしないか?」
その言葉に、私も視線を右端へと逸らす。もう4時間以上はプレイしていたらしい。なんだかんだ、私も結構、疲れた。
「そうだね、明日の準備とかも色々あるし」
シマーズさんの言葉に私も頷くと、他のメンバーもそれに続いた。なんだかんだ、皆も疲れていたらしい。
「了解っす! 明日普通に仕事っすから!」
以前、聞いた話によるとゲーム内では元気溌剌なムエルケさんも、現実ではごく普通のOLらしい。
「えっと、じゃあ私はその間に色々、改めて調べてみますね」
コクリと頷くシュクレ。彼女に調べてもらう時間を作るというだけで、この休憩の費用対効果は抜群だ。
「もうすぐ、例のCMの時間だしね」
ヨイニがニヤニヤしながら頷いた。
「え、なにそれ?」
「ほら、花火大会で見たやつ。あれの別バージョン」
「あぁ……」
IAFの新規募集プロモーションムービーだね。なぜか、な・ぜ・か! 私がやたらクローズアップされてるやつだ。
すすっとシマーズさんの方へ視線を向けると、それに気がついた彼はスッとそれを逸らした。
「もしかして同時視聴とか計画していたりしない?」
「一緒に実況してくれても良いよ?」
「ガルルルル……」
なにが悲しくて私がテンション上がっちゃって狂喜乱舞しながら悪逆の限りを尽くしているシーンを自分で実況しなくちゃならないのか。そんな思いを込めて威嚇で答える。
「どうどう、どうどう!」
そんな様子の私を見て、シマーズさんは両手の手のひらを私へ向けて落ち着ける様に言ってくる。
私は馬じゃ無いんだが!
「まぁ、それじゃあ2時間後に集合ってことで」
ヨイニ言葉でこの場は一旦、解散となった。
勝った! 第一部完!
イベントの度に内乱とか裏切り、さらには暴走機関車や敵対組織の妨害工作を受けていたけど、今回に関してはありえない。メメントモリのメンバーは厳選したし、PK撲滅連合は呼んで無いし、機関車にも乗ってない、完璧だ。
「……HPバーが消えない」
パァー! と万難を排して澱みなくイベントを終えた喜びを全身で浴びていると、不意にヨイニが不穏な事を言った。
「え、そんな……」
ギギギ……ギギと油を差し忘れてガッチガチに固まったギアを回す様にして悪魔付きの方へ視線を向ける。
視線の先で、横たわっていた悪魔付きの体がフワーっと浮かび上がり、急速にHPバーが回復していった!
「カバームーブ!」
一瞬の判断、悪魔付きの攻撃に対してヨイニがスキルによって私の前へ飛び出し、大盾を構える。
その顔は緊張で硬くなっていた。
「シュクレ先生!」
困った時は賢い人に頼るのが一番だ。おそらくこのゲームに関して世界一の権威であるシュクレへ意見を聞く。
彼女は迷う事なく冷静に返してきた。
「わかんないです!」
よーし、彼女がわからないなら考えるだけ無駄だ!
「アニーちゃん、どうする?」
「撤退だー! 戦いながら戦線を下げて、最後は一斉に入り口へダッシュしよう!」
「了解!」
戦闘パターンが変わっていたら厄介だったけど、とりあえずはそんな事も無いらしい。普通に1つのミスが壊滅につながる激戦ではあるものの、このメンバーであればなんとかなる。
「それで……どうする?」
全員の撤退が完了して戦闘の喧騒が一段落すると、シマーズさんが困った様子で聞いてくる。
倒しても回復されるんじゃ攻略のしようがない。
「何回か倒したら倒し切れるとか無いかな?」
「可能性はあるんだろうけど、何とも言えないなー」
シマーズさんが悩ましげに視線を泳がせる。彼の視線には、実況中の視聴者のコメントが映っているのだろう。
「長丁場になりそうだし、一旦休憩にしないか?」
その言葉に、私も視線を右端へと逸らす。もう4時間以上はプレイしていたらしい。なんだかんだ、私も結構、疲れた。
「そうだね、明日の準備とかも色々あるし」
シマーズさんの言葉に私も頷くと、他のメンバーもそれに続いた。なんだかんだ、皆も疲れていたらしい。
「了解っす! 明日普通に仕事っすから!」
以前、聞いた話によるとゲーム内では元気溌剌なムエルケさんも、現実ではごく普通のOLらしい。
「えっと、じゃあ私はその間に色々、改めて調べてみますね」
コクリと頷くシュクレ。彼女に調べてもらう時間を作るというだけで、この休憩の費用対効果は抜群だ。
「もうすぐ、例のCMの時間だしね」
ヨイニがニヤニヤしながら頷いた。
「え、なにそれ?」
「ほら、花火大会で見たやつ。あれの別バージョン」
「あぁ……」
IAFの新規募集プロモーションムービーだね。なぜか、な・ぜ・か! 私がやたらクローズアップされてるやつだ。
すすっとシマーズさんの方へ視線を向けると、それに気がついた彼はスッとそれを逸らした。
「もしかして同時視聴とか計画していたりしない?」
「一緒に実況してくれても良いよ?」
「ガルルルル……」
なにが悲しくて私がテンション上がっちゃって狂喜乱舞しながら悪逆の限りを尽くしているシーンを自分で実況しなくちゃならないのか。そんな思いを込めて威嚇で答える。
「どうどう、どうどう!」
そんな様子の私を見て、シマーズさんは両手の手のひらを私へ向けて落ち着ける様に言ってくる。
私は馬じゃ無いんだが!
「まぁ、それじゃあ2時間後に集合ってことで」
ヨイニ言葉でこの場は一旦、解散となった。
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