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剛輪禍工業革命-2:工業地帯奪還
スタックさせるタイプのJK
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10数分、クランメンバーと本当に不毛な言い争いをチャット欄で繰り広げて、一息つく。この口論は私の勝ちだな。
*「おい、お前らどうでも良いけど結局の所、ヴェロシティタンはどうするんだよ!!」*
「あー! そうだったー!」
私はチャット欄の文字に頭を抱えて思わず声を上げた。
*「パイルはダメージになるんだけど、敵が大きすぎてダメージ係数が低いんだよね」*
この世界において、ダメージの計算は大まかに2つの要素によって行われている。1つがプレイヤーが持つ"攻撃力"の値だ。
これに対して、物理的に相手に対してどれぐらいの損壊を与えているかの係数がかかって最終的なダメージになる。
私のビルド発想は攻撃力を適度にとりつつ、速度特化によって係数の方を高める事を志向していた。
相性の悪い相手だ。
*「巨体な分、攻撃は避けやすいな。ここに遠距離攻撃があったら本当にヤバかったが、今の所は大剣の振り回しぐらいだ」*
シュクレ教の人が冷静な分析を書き込んで、レッドバロンの人がそれに対して補足情報を書き込んだ。
*「攻撃が当たらなくても、あの巨体が高速移動するとその余波だけでもうダメージがやばすぎるんだが」*
*「シュクレ教の人なら遠くから狙撃できないの?」*
*「攻撃そのものはできるだろうが、当たらないぞ」*
そっか、それはそうだよね。そういえばシュクレもオートロックみたいな魔法は使ってなかった。シュクレ教の開祖である彼女にできないなら、シュクレ教の中にそれができるプレイヤーはいない。
*「あ、でもヴェロシティタンが動かなければ当てられるんだよね?」*
*「まあ、動かないなら的は大きいからなんとかなるぞ」*
クランのチャットを通して、色々な情報が集まってくる。それらがパズルのピースの様に重なって、1つにまとまりつつあった。
*「ねえ、この中にビルを倒せる人って何人ぐらいいる?」*
私の呼びかけにレッドバロンの人が答えた。
*「お、何か思いついたか?」*
*「とりあえず、他に案が無ければやってみたい事があるんだけど……」*
しばらくして、ヴェロシティタンの前へ再び体を晒す。私を視認したそれはブーストを噴かしながら私の方へふっ飛んできた。
「ふぅー」
深く、深く深呼吸をする。
私めがけて、ヴェロシティタンの大剣が振り下ろされる。全神経を集中して、私はそれを迎え打った。
「キヒヒ!」
振り下ろされる大剣をギリギリのラインで弾きながら回避する。勢いをそのまま利用して空へと大きく飛び上がる。風間流裏秘技其ノ三、空蝉返しのちょっとした応用だ。
「チャージライトニング!」
発声によってスキルが発動する。
このスキルは、雷属性の攻撃を受けると大ダメージを受ける代わりに、ダメージ分、全てのステータスにプラス補正を受けられる。
「空の王が生み出せし、星を紡ぐ光よ。その力もて暁よりも尚眩きもの、我にただ天空を貫く一筋の槍を与えん」
シュクレが私の為に作ってくれた詠唱を紡ぐ。彼女ほどじゃないけど、私だって高水準の魔法攻撃力を持っている。
詠唱が完了すると、速やかに私へ雷が落ちる。災害級の電荷を纏った一撃が全身を貫いた。甚大なダメージを受けると共に、私の右腕には雷の槍が宿る。私はそれを眼下へと投げ放つ。
「スピアボルト!!」
雷鳴と共に私の手から放たれた槍はヴェロシティタンへ直撃する。周囲に放電力場を形成し、大量のスパークを群発させていた。
ヴェロシティタンは大きく体勢を崩し、片膝が地面へと激突する。HPゲージを見れば、合計で1割程の減少が確認できた。
ダメージによる反動なのか、雷による誤作動なのかは分からないけど、とにかくその動きを一時的に止める。
*「今だやれーー!!」*
クランチャットに切り替えて、喉が枯れる勢いで叫ぶ。音声入力によってその声は適切な音量に調整されてメンバーへ伝わった。
*「おう!」*
*「まかせろ!!」*
私の号令に、シュクレ教とレッドバロンのプレイヤーが嬉々として答える。各々が攻撃するのはヴェロシティタン……ではない。
彼らの攻撃はヴェロシティタンの周囲にある4つのビルへ特定の角度で命中する。事前に作っておいた切り込みから建造物が大きく傾き、倒壊していく。
「動くな!」
即座にスタン状態から脱したヴェロシティタンが動き出そうとするのを、パイルバンカーで妨害する。身体能力を限界まで高めた一撃は先ほどよりも遥かに高いダメージを与えて、僅かながらその動きを抑え込んだ。
「よおぉぉおおし!」
思わず、その場でガッツポーズを決める。
際どいタイミングだったけど、倒壊したビル群がそれぞれヴェロシティタンの四方を封鎖して、内部へ閉じ込める事に成功した。
*「全員、ビルの上に集合だー! MPを回復しておけー! スキルのクールダウンを確認しろー!」*
クランチャットを開いてメッセージを送る。
*「おう!」*
*「ひゃっはー!」*
*「これだからメメントモリはやめられねぇぜ!」*
全員が向かってくる中、私もアイテムボックスからMP回復アイテム"灼熱ウィンナー"を取り出して頬張りながらビルの上へと移動した。
*「おい、お前らどうでも良いけど結局の所、ヴェロシティタンはどうするんだよ!!」*
「あー! そうだったー!」
私はチャット欄の文字に頭を抱えて思わず声を上げた。
*「パイルはダメージになるんだけど、敵が大きすぎてダメージ係数が低いんだよね」*
この世界において、ダメージの計算は大まかに2つの要素によって行われている。1つがプレイヤーが持つ"攻撃力"の値だ。
これに対して、物理的に相手に対してどれぐらいの損壊を与えているかの係数がかかって最終的なダメージになる。
私のビルド発想は攻撃力を適度にとりつつ、速度特化によって係数の方を高める事を志向していた。
相性の悪い相手だ。
*「巨体な分、攻撃は避けやすいな。ここに遠距離攻撃があったら本当にヤバかったが、今の所は大剣の振り回しぐらいだ」*
シュクレ教の人が冷静な分析を書き込んで、レッドバロンの人がそれに対して補足情報を書き込んだ。
*「攻撃が当たらなくても、あの巨体が高速移動するとその余波だけでもうダメージがやばすぎるんだが」*
*「シュクレ教の人なら遠くから狙撃できないの?」*
*「攻撃そのものはできるだろうが、当たらないぞ」*
そっか、それはそうだよね。そういえばシュクレもオートロックみたいな魔法は使ってなかった。シュクレ教の開祖である彼女にできないなら、シュクレ教の中にそれができるプレイヤーはいない。
*「あ、でもヴェロシティタンが動かなければ当てられるんだよね?」*
*「まあ、動かないなら的は大きいからなんとかなるぞ」*
クランのチャットを通して、色々な情報が集まってくる。それらがパズルのピースの様に重なって、1つにまとまりつつあった。
*「ねえ、この中にビルを倒せる人って何人ぐらいいる?」*
私の呼びかけにレッドバロンの人が答えた。
*「お、何か思いついたか?」*
*「とりあえず、他に案が無ければやってみたい事があるんだけど……」*
しばらくして、ヴェロシティタンの前へ再び体を晒す。私を視認したそれはブーストを噴かしながら私の方へふっ飛んできた。
「ふぅー」
深く、深く深呼吸をする。
私めがけて、ヴェロシティタンの大剣が振り下ろされる。全神経を集中して、私はそれを迎え打った。
「キヒヒ!」
振り下ろされる大剣をギリギリのラインで弾きながら回避する。勢いをそのまま利用して空へと大きく飛び上がる。風間流裏秘技其ノ三、空蝉返しのちょっとした応用だ。
「チャージライトニング!」
発声によってスキルが発動する。
このスキルは、雷属性の攻撃を受けると大ダメージを受ける代わりに、ダメージ分、全てのステータスにプラス補正を受けられる。
「空の王が生み出せし、星を紡ぐ光よ。その力もて暁よりも尚眩きもの、我にただ天空を貫く一筋の槍を与えん」
シュクレが私の為に作ってくれた詠唱を紡ぐ。彼女ほどじゃないけど、私だって高水準の魔法攻撃力を持っている。
詠唱が完了すると、速やかに私へ雷が落ちる。災害級の電荷を纏った一撃が全身を貫いた。甚大なダメージを受けると共に、私の右腕には雷の槍が宿る。私はそれを眼下へと投げ放つ。
「スピアボルト!!」
雷鳴と共に私の手から放たれた槍はヴェロシティタンへ直撃する。周囲に放電力場を形成し、大量のスパークを群発させていた。
ヴェロシティタンは大きく体勢を崩し、片膝が地面へと激突する。HPゲージを見れば、合計で1割程の減少が確認できた。
ダメージによる反動なのか、雷による誤作動なのかは分からないけど、とにかくその動きを一時的に止める。
*「今だやれーー!!」*
クランチャットに切り替えて、喉が枯れる勢いで叫ぶ。音声入力によってその声は適切な音量に調整されてメンバーへ伝わった。
*「おう!」*
*「まかせろ!!」*
私の号令に、シュクレ教とレッドバロンのプレイヤーが嬉々として答える。各々が攻撃するのはヴェロシティタン……ではない。
彼らの攻撃はヴェロシティタンの周囲にある4つのビルへ特定の角度で命中する。事前に作っておいた切り込みから建造物が大きく傾き、倒壊していく。
「動くな!」
即座にスタン状態から脱したヴェロシティタンが動き出そうとするのを、パイルバンカーで妨害する。身体能力を限界まで高めた一撃は先ほどよりも遥かに高いダメージを与えて、僅かながらその動きを抑え込んだ。
「よおぉぉおおし!」
思わず、その場でガッツポーズを決める。
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*「全員、ビルの上に集合だー! MPを回復しておけー! スキルのクールダウンを確認しろー!」*
クランチャットを開いてメッセージを送る。
*「おう!」*
*「ひゃっはー!」*
*「これだからメメントモリはやめられねぇぜ!」*
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