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剛輪禍工業革命-1:機関車チェイス
シティ・リビルド・チャレンジが開催されるタイプのJK
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*「只今より、第3回イベント"シティ・リビルド・チャレンジ"を開催いたします。参加者は所定のエリア内で待機してください」*
システムメッセージがチャット欄に表示される。真上を確認すると、半透明な青色のドームが展開されて、私達はその中にいた。
「幻想的な場所ですねー」
私の隣に立っているシュクレが周囲を見渡して口を開く。
幻夢境街の最北、一番大きな建物の裏手に広がる湖の上。静かに波立つ水面が夕暮れの空に反射し、その上には無数の機関車のホームが設置されている。
「そうだねー。あっ、あれじゃ無いかな?」
シュクレの言葉に答えて、遠くの方を指差す。煙を上げる蒸気車が水没した線路を進む姿は、水上を滑るかの様だった。湖の水面に映る機関車と遠くの山に沈む夕日が幻想的な雰囲気を醸し出していた。
*「時間になりました。イベント参加登録をされていたクランメンバーは所定のホームから蒸気機関車へご搭乗ください」*
霧を突き破る様にして、私たちの前に鈍い光を返す重厚な装甲の蒸気機関車が姿を現す。蒸気機関車は私達のクラン名"メメント・モリ"の看板が設置されたホームに止まった。
*「よーし、者ども、のりこめー!」*
クランチャットで宣言すると、メンバーの面々が思い思いに返事を返してきた。私達は意気揚々と蒸気機関車へ乗り込む。
*「おー!」*
*「ヒャッハー! 今回も暴れてやるぜー!」*
*「今度こそお前の首を取ってやるからなー!」*
さあ、今回のイベントも目一杯楽しむぞ!
各クランの蒸気機関車が一斉に走り始める。今回は同じ街から出発するクランは全部味方だ。メメントモリにしては珍しい、静かなイベントの立ち上がりと言える。
「あー、本当に蒸気で動いている訳じゃ無いんだね」
蒸気機関車の先頭、本体部分に入って中の構造を確認する。
「そうなんですか?」
不思議そうな表情を浮かべるシュクレに頷いて答える。
「蒸気機関車って石炭とか薪みたいな燃料を使って蒸気を発生させるんだけど、まず持ってこれ、どう考えても石炭じゃないじゃん?」
イベント開始前に念の為、蒸気機関車の構造について勉強してきた私はドヤ顔でシュクレに解説する。
本来、ボイラーと呼ばれるスペースには石炭や薪の代わりなのか虹色に輝く謎の鉱石が大量に入っていた。
「これ、なんなんでしょうね?」
「うーん、フォートシュロフや幻夢境界には無かったよねー。何か意味のある構造な気もするけど……」
虹鉱石の入ったボイラー室からは、青い色の光を発する管が伸びていた。それを視線で追っていくと、やがて機関車内部へと入っていく。どこへ繋がっているのだろうか。
「天井にも似た様なのがありますね」
シュクレが上を向きながら、大きな杖で天井を指し示す。そこには正八面体のクリスタルの様な物が埋め込まれている。
埋め込まれたクリスタルが壁と接触しているそれぞれ4つの頂点からは、例の青い管が繋がっていた。その内3つはやはり機関車内部へと進み、1つが操縦室へと続いている。
「……うん、なんか分からないけどややこしい感じの線が沢山走ってるね!!」
私に小難しい事を要求されても困る!
「操縦室はシンプルですね」
青い管の伸びる操縦室へシュクレが入る。
「おーこれなら私もわかる」
操縦室はシンプルで、青い管が壁に沿って伸びていた。中央には大きなボリュームノブがあって、その横には赤いブレーキボタンが光っている。それ以外は何も無い。
*「ボス! 敵襲っすよ!」*
クランチャットのアイコンが点滅し始めた。ムエルケさんの声が耳に響き、テキストメッセージが緊急を促す赤い文字で表示される。
「ギャアギャァ!」
直後、金属の肉体を持つ虎の様なモンスターが飛びかかってきた。反射的に右腕で迎撃する様に殴り返す。
「パイルバンカー!」
発声をトリガーにスキルが発動した。右腕のインパクトに合わせて魔力で構成されたパイルが射出され、鉄虎の顔面を捉える。
「ギャゥッ!」
パイルは鉄虎に突き刺さり、一瞬の内にその顔面を粉砕し吹き飛ばした。鉄虎の苦痛の叫びが響く中、私の胸中には快感が駆け巡る。
「キヒヒ!」
手に残った快感を楽しみながら、全体を把握する為に機関車の屋上へ駆け上って周囲を確認する。
「おおー結構、沢山いるね」
距離の開き始めた各クランの蒸気機関車の間を、鉄虎の集団が並走する様に何匹も走っていた。
「まぁ、なんとかなるかな?」
視線を上げれば、そこには背中に翼を生やした人型のモンスターが飛行していた。その頭上には"天狗"と表示されている。
状況を把握してクランチャットへ指示を飛ばす。
*「シュクレ教の人は一車両6人ぐらいで天狗の迎撃にあたってー。他は各自でいい感じに好きにせよー」*
飛んでいるモンスターは遠距離攻撃で対応するしか無い。幸いな事にメメントモリにはシュクレを教祖と戴く魔術師が沢山いる。
天狗への対応は魔術師達でどうにかなるだろう。
*「承知!」*
*「了解ー!」*
*「ヒャッハー! 撃ちまくるぜぇ!!」*
クランチャットに皆が思い思いに返事を飛ばす。
鉄虎の移動速度は直接対決なら厄介だっただろうけど、今回は彼らが機関車を追いかける立場だ。その為、彼らの機動力は相対速度で相殺されている。迎撃に徹すれば追い払えるはずだ。
「さあ、楽しくなってきたね」
戦い、相手を捻り潰す高揚、快感、それが私を駆り立てる原動力だ。これから始まる戦いに思いを馳せて、思わず舌なめずりをする。
システムメッセージがチャット欄に表示される。真上を確認すると、半透明な青色のドームが展開されて、私達はその中にいた。
「幻想的な場所ですねー」
私の隣に立っているシュクレが周囲を見渡して口を開く。
幻夢境街の最北、一番大きな建物の裏手に広がる湖の上。静かに波立つ水面が夕暮れの空に反射し、その上には無数の機関車のホームが設置されている。
「そうだねー。あっ、あれじゃ無いかな?」
シュクレの言葉に答えて、遠くの方を指差す。煙を上げる蒸気車が水没した線路を進む姿は、水上を滑るかの様だった。湖の水面に映る機関車と遠くの山に沈む夕日が幻想的な雰囲気を醸し出していた。
*「時間になりました。イベント参加登録をされていたクランメンバーは所定のホームから蒸気機関車へご搭乗ください」*
霧を突き破る様にして、私たちの前に鈍い光を返す重厚な装甲の蒸気機関車が姿を現す。蒸気機関車は私達のクラン名"メメント・モリ"の看板が設置されたホームに止まった。
*「よーし、者ども、のりこめー!」*
クランチャットで宣言すると、メンバーの面々が思い思いに返事を返してきた。私達は意気揚々と蒸気機関車へ乗り込む。
*「おー!」*
*「ヒャッハー! 今回も暴れてやるぜー!」*
*「今度こそお前の首を取ってやるからなー!」*
さあ、今回のイベントも目一杯楽しむぞ!
各クランの蒸気機関車が一斉に走り始める。今回は同じ街から出発するクランは全部味方だ。メメントモリにしては珍しい、静かなイベントの立ち上がりと言える。
「あー、本当に蒸気で動いている訳じゃ無いんだね」
蒸気機関車の先頭、本体部分に入って中の構造を確認する。
「そうなんですか?」
不思議そうな表情を浮かべるシュクレに頷いて答える。
「蒸気機関車って石炭とか薪みたいな燃料を使って蒸気を発生させるんだけど、まず持ってこれ、どう考えても石炭じゃないじゃん?」
イベント開始前に念の為、蒸気機関車の構造について勉強してきた私はドヤ顔でシュクレに解説する。
本来、ボイラーと呼ばれるスペースには石炭や薪の代わりなのか虹色に輝く謎の鉱石が大量に入っていた。
「これ、なんなんでしょうね?」
「うーん、フォートシュロフや幻夢境界には無かったよねー。何か意味のある構造な気もするけど……」
虹鉱石の入ったボイラー室からは、青い色の光を発する管が伸びていた。それを視線で追っていくと、やがて機関車内部へと入っていく。どこへ繋がっているのだろうか。
「天井にも似た様なのがありますね」
シュクレが上を向きながら、大きな杖で天井を指し示す。そこには正八面体のクリスタルの様な物が埋め込まれている。
埋め込まれたクリスタルが壁と接触しているそれぞれ4つの頂点からは、例の青い管が繋がっていた。その内3つはやはり機関車内部へと進み、1つが操縦室へと続いている。
「……うん、なんか分からないけどややこしい感じの線が沢山走ってるね!!」
私に小難しい事を要求されても困る!
「操縦室はシンプルですね」
青い管の伸びる操縦室へシュクレが入る。
「おーこれなら私もわかる」
操縦室はシンプルで、青い管が壁に沿って伸びていた。中央には大きなボリュームノブがあって、その横には赤いブレーキボタンが光っている。それ以外は何も無い。
*「ボス! 敵襲っすよ!」*
クランチャットのアイコンが点滅し始めた。ムエルケさんの声が耳に響き、テキストメッセージが緊急を促す赤い文字で表示される。
「ギャアギャァ!」
直後、金属の肉体を持つ虎の様なモンスターが飛びかかってきた。反射的に右腕で迎撃する様に殴り返す。
「パイルバンカー!」
発声をトリガーにスキルが発動した。右腕のインパクトに合わせて魔力で構成されたパイルが射出され、鉄虎の顔面を捉える。
「ギャゥッ!」
パイルは鉄虎に突き刺さり、一瞬の内にその顔面を粉砕し吹き飛ばした。鉄虎の苦痛の叫びが響く中、私の胸中には快感が駆け巡る。
「キヒヒ!」
手に残った快感を楽しみながら、全体を把握する為に機関車の屋上へ駆け上って周囲を確認する。
「おおー結構、沢山いるね」
距離の開き始めた各クランの蒸気機関車の間を、鉄虎の集団が並走する様に何匹も走っていた。
「まぁ、なんとかなるかな?」
視線を上げれば、そこには背中に翼を生やした人型のモンスターが飛行していた。その頭上には"天狗"と表示されている。
状況を把握してクランチャットへ指示を飛ばす。
*「シュクレ教の人は一車両6人ぐらいで天狗の迎撃にあたってー。他は各自でいい感じに好きにせよー」*
飛んでいるモンスターは遠距離攻撃で対応するしか無い。幸いな事にメメントモリにはシュクレを教祖と戴く魔術師が沢山いる。
天狗への対応は魔術師達でどうにかなるだろう。
*「承知!」*
*「了解ー!」*
*「ヒャッハー! 撃ちまくるぜぇ!!」*
クランチャットに皆が思い思いに返事を飛ばす。
鉄虎の移動速度は直接対決なら厄介だっただろうけど、今回は彼らが機関車を追いかける立場だ。その為、彼らの機動力は相対速度で相殺されている。迎撃に徹すれば追い払えるはずだ。
「さあ、楽しくなってきたね」
戦い、相手を捻り潰す高揚、快感、それが私を駆り立てる原動力だ。これから始まる戦いに思いを馳せて、思わず舌なめずりをする。
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