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幻夢境街戦略バトル
論破王タイプのJK
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「キルされるのが好きな人と、単独無双やってみたい人以外は撤退せよー。今応戦しても勝てないぞー」
同盟関係になったシマーズさんへ事情を説明して別れた後、一応クランチャット機能を使って指揮を送ってみる。まあ多分話を聞いてくれるのは全体の半分ぐらいだろうけど。
こっちの統制の取れているメンバーはトヨキンTV攻略とカドル災害でそれなりに消耗していて、今PK反対連合側にいるプレイヤーはそもそも最初から指示とかに従う気の無いプレイヤーだ。
「トヨキンTV攻略のメンバーを急行させられませんか?」
本拠地に向かってダッシュしている中、半透明のウィンドウにシュクレちゃんからのフレンドチャットが表示される。
「数時間はかかるし移動速度に差があるから直接向かわせてもワンコ蕎麦みたいに到着した順番に倒されちゃうからむり」
「……PK反対連合にはドラゴンは見当たりません、しかし、彼らの戦術は数時間前に私たちがトヨキンTVに仕掛けたのと同じものです」
「こーれーはー、いるよね、内通者」
「そう、ですね」
ウィンドウをフレンとチャットからクランチャットに切り替えて、全体にメンションを飛ばす。
「勝ちたいメンバーは拠点前にしゅーごー!」
さあ、私も急いで帰らないとね。
ダーッシュ!
1時間後、夕日が見えなくなった頃にやっと拠点へ帰ってくる。ゲームだから疲れないけどなんか疲れた。
「あー、これはまずいね」
シュクレちゃんが用意してくれた拠点の上から前線の様子を確認する。PK反対連合の一団はもうすぐそこまで来ていた。
こっちの戦力も徐々に復活してきているけど、十分な数が集まるのに30分、陣形を整える時間を考えれば1時間は必要だ。
「このペースだと、10分後には拠点まで戦火が届いちゃいますね」
「そうだねー」
シュクレちゃんの言葉に頷く。PK反対連合の陣形は進行速度を優先してかなりの縦型になっている。私が単独で戦って負けるかと言われればその限りじゃ無いけど、天使像が守れるかどうかで言えば否だ。
「メメント・モリの首魁! アニー・キャノン! 聞こえるかー!」
シュクレちゃんと一緒に頭を悩ませていると、全体チャットで名前を呼ばれる。発信者名には"カタン"と表記されていた。とりあえず、今はできる事も無いので私も全体チャットで返事をする。
「お前は誰だー!」
「PK反対連合のクランマスターだ!」
「こっちが弱っている所をついて攻撃するなんて卑劣だぞー!」
「いやそんなの基本だろ、そもそも世界中でお前にだけは卑劣とか言われたく無いわ」
ぎゃふん! カタンの言い分に何も言い返せず、思わず拳を握る。確かに私でも同じ立場なら同じ事をやっている。
「もし"暴君"が今後2度とPKをしないって誓うなら、天使像は勘弁してやってもいいぞ?」
私が何も言わないと、カタンが本題を切り出してきた。なるほど、カリスマ潰しを狙っているのだろう。ここでNoと答えれば、私は私利私欲の為にクランの利益を捨てた事になる。Yesと答えれば、それはメメントモリがPK反対連合に完全敗北したということだ。
ただ単に隙をついて天使像を破壊するだけではなく、今後の展開を考えた欲張り戦略だね。
「そもそも、なんでPK反対なの?」
とりあえず返事は後回しにして、質問を投げかけてみる。欲張りなカタンの性格を考えるなら、乗ってきて欲しいな。
「俺たちはモンスターを倒したり、アイテムの採取や生産をするとか、そういうごく普通の事ができれば満足なんだよ! それなのに、お前たちみたいな迷惑プレイヤーがいるせいでどうしたって対人戦のことを考えないといけない! 一方的に奪われる奴と奪う奴がいるなんて不平等だろ!!」
なるほど、カタンの主張はもっともだ。
だけど、彼が自分達の立場を"正義の側"という主張を持っているならその理論には付け入る隙がある。
「ふーん、じゃあ確認なんだけどさ、生まれつきや事故でハンディキャップを持つ人にも普通の人間と同等の権利があるし、そういう人を蔑ろにする行為はダメな事だよね?」
「当然だ!」
「じゃあさ、生まれつきや後天的に心に怪我をした人や、他の人より相手の気持ちを考えるのが苦手な人とか、考え方や趣味趣向が他の人とは違う様な少数派の人はどうして蔑ろにされなきゃならないの?」
「俺はそう言った人たちを蔑ろにした事はない!」
「いや、たった今したじゃん。他人を害する事に快感を覚える異常者をこの世界に邪魔な存在として排除したいって主張したじゃん」
十数秒待ってみるけど、返信は無い。
私は畳み掛ける様にタイプを続ける。
「無意識にそういう人達の都合を排除したよね? それってさ、バカと異常者はどうでも良いっていう前時代的で差別的な偏見じゃん。自分にとって都合の良い人間だけに生存権を認めて平和な世界を作るって言う理論なら私達に勝ち目は無いんだけどさ、カタンさんの描く平和な世界って凄く、非道徳的だよね」
「はぁ? 話が飛躍しすぎて何言ってるかよく分からねぇが、そんな事言ってねぇだろ!」
「嘘じゃん、PK反対連合ってクラン名を掲げている時点で矛盾しちゃうじゃん」
「うっるせぇぇぇえええぇ! んな事はどうでも良いんだよ!! 俺がやられて嫌な事をやられたからとにかくお前らが悪いんだよぉぉぉおおおお!!!」
あーあ、発狂してしまわれた。もし私が異世界転移した論破系の勇者だったら今頃、カタンは爆発四散しているだろう。
でも、さっきまでの主張よりは私はそっちの方が好きだ。だって少なくとも公平には扱われているもんね。
同盟関係になったシマーズさんへ事情を説明して別れた後、一応クランチャット機能を使って指揮を送ってみる。まあ多分話を聞いてくれるのは全体の半分ぐらいだろうけど。
こっちの統制の取れているメンバーはトヨキンTV攻略とカドル災害でそれなりに消耗していて、今PK反対連合側にいるプレイヤーはそもそも最初から指示とかに従う気の無いプレイヤーだ。
「トヨキンTV攻略のメンバーを急行させられませんか?」
本拠地に向かってダッシュしている中、半透明のウィンドウにシュクレちゃんからのフレンドチャットが表示される。
「数時間はかかるし移動速度に差があるから直接向かわせてもワンコ蕎麦みたいに到着した順番に倒されちゃうからむり」
「……PK反対連合にはドラゴンは見当たりません、しかし、彼らの戦術は数時間前に私たちがトヨキンTVに仕掛けたのと同じものです」
「こーれーはー、いるよね、内通者」
「そう、ですね」
ウィンドウをフレンとチャットからクランチャットに切り替えて、全体にメンションを飛ばす。
「勝ちたいメンバーは拠点前にしゅーごー!」
さあ、私も急いで帰らないとね。
ダーッシュ!
1時間後、夕日が見えなくなった頃にやっと拠点へ帰ってくる。ゲームだから疲れないけどなんか疲れた。
「あー、これはまずいね」
シュクレちゃんが用意してくれた拠点の上から前線の様子を確認する。PK反対連合の一団はもうすぐそこまで来ていた。
こっちの戦力も徐々に復活してきているけど、十分な数が集まるのに30分、陣形を整える時間を考えれば1時間は必要だ。
「このペースだと、10分後には拠点まで戦火が届いちゃいますね」
「そうだねー」
シュクレちゃんの言葉に頷く。PK反対連合の陣形は進行速度を優先してかなりの縦型になっている。私が単独で戦って負けるかと言われればその限りじゃ無いけど、天使像が守れるかどうかで言えば否だ。
「メメント・モリの首魁! アニー・キャノン! 聞こえるかー!」
シュクレちゃんと一緒に頭を悩ませていると、全体チャットで名前を呼ばれる。発信者名には"カタン"と表記されていた。とりあえず、今はできる事も無いので私も全体チャットで返事をする。
「お前は誰だー!」
「PK反対連合のクランマスターだ!」
「こっちが弱っている所をついて攻撃するなんて卑劣だぞー!」
「いやそんなの基本だろ、そもそも世界中でお前にだけは卑劣とか言われたく無いわ」
ぎゃふん! カタンの言い分に何も言い返せず、思わず拳を握る。確かに私でも同じ立場なら同じ事をやっている。
「もし"暴君"が今後2度とPKをしないって誓うなら、天使像は勘弁してやってもいいぞ?」
私が何も言わないと、カタンが本題を切り出してきた。なるほど、カリスマ潰しを狙っているのだろう。ここでNoと答えれば、私は私利私欲の為にクランの利益を捨てた事になる。Yesと答えれば、それはメメントモリがPK反対連合に完全敗北したということだ。
ただ単に隙をついて天使像を破壊するだけではなく、今後の展開を考えた欲張り戦略だね。
「そもそも、なんでPK反対なの?」
とりあえず返事は後回しにして、質問を投げかけてみる。欲張りなカタンの性格を考えるなら、乗ってきて欲しいな。
「俺たちはモンスターを倒したり、アイテムの採取や生産をするとか、そういうごく普通の事ができれば満足なんだよ! それなのに、お前たちみたいな迷惑プレイヤーがいるせいでどうしたって対人戦のことを考えないといけない! 一方的に奪われる奴と奪う奴がいるなんて不平等だろ!!」
なるほど、カタンの主張はもっともだ。
だけど、彼が自分達の立場を"正義の側"という主張を持っているならその理論には付け入る隙がある。
「ふーん、じゃあ確認なんだけどさ、生まれつきや事故でハンディキャップを持つ人にも普通の人間と同等の権利があるし、そういう人を蔑ろにする行為はダメな事だよね?」
「当然だ!」
「じゃあさ、生まれつきや後天的に心に怪我をした人や、他の人より相手の気持ちを考えるのが苦手な人とか、考え方や趣味趣向が他の人とは違う様な少数派の人はどうして蔑ろにされなきゃならないの?」
「俺はそう言った人たちを蔑ろにした事はない!」
「いや、たった今したじゃん。他人を害する事に快感を覚える異常者をこの世界に邪魔な存在として排除したいって主張したじゃん」
十数秒待ってみるけど、返信は無い。
私は畳み掛ける様にタイプを続ける。
「無意識にそういう人達の都合を排除したよね? それってさ、バカと異常者はどうでも良いっていう前時代的で差別的な偏見じゃん。自分にとって都合の良い人間だけに生存権を認めて平和な世界を作るって言う理論なら私達に勝ち目は無いんだけどさ、カタンさんの描く平和な世界って凄く、非道徳的だよね」
「はぁ? 話が飛躍しすぎて何言ってるかよく分からねぇが、そんな事言ってねぇだろ!」
「嘘じゃん、PK反対連合ってクラン名を掲げている時点で矛盾しちゃうじゃん」
「うっるせぇぇぇえええぇ! んな事はどうでも良いんだよ!! 俺がやられて嫌な事をやられたからとにかくお前らが悪いんだよぉぉぉおおおお!!!」
あーあ、発狂してしまわれた。もし私が異世界転移した論破系の勇者だったら今頃、カタンは爆発四散しているだろう。
でも、さっきまでの主張よりは私はそっちの方が好きだ。だって少なくとも公平には扱われているもんね。
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