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幻夢境街戦略バトル
災禍を振り撒くタイプのJK
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「縮地ッ」
先に動いたのはシマーズさんの方だった。一瞬、彼の跨ぐ地面が圧縮される。
「四頭竜閃!」
一度の居合切りで4つの斬撃が放たれる。それぞれに龍の頭を模したエフェクトが施されていた。
この距離、このタイミング。
後や左右に避ける事はできない。
「影踏み!」
逆転の発想、前方への脱出。AGIの差がなければ間に合わなかっただろうけど、縮地と四頭竜閃の間にある僅かなタイムラグが幸いした。
「セットリボルビングパイル」
シマーズさんの背後へ着地する。
彼の背中へ鉄拳とパイルをお見舞いする。
「まだまだぁ!」
パイルは背中からシマーズさんの体を貫通して致命的な電撃ダメージを与える。だけど彼はまだ動き出した。
一度だけ死亡を免れる、踏ん張り系のスキルだ。
「キヒッ!」
「なんっ」
ガシャコン。
即座にもう一本のパイルが装填されてシマーズさんを串刺しにする。ふっふっふ、宴会芸みたいな多重発声と違ってリボルビングパイルは一斉発射と連射が選べるのだ。
「おるるぁぁああ!」
背後から私へ向かって巨大なハンマーが振り下ろされる。
「キヒッ」
振り返って正面からアッパーを合わせる。相手のハンマーが砕け散った。私の装備、凶悪すぎる。
「ば、馬鹿な……」
即座に相手の顎を掴む。
ガシャコン。
彼の頭部は串刺しになった。
「おらぁぁぁああ!」
この間にゴングマンさんが順当に1人を殴り倒す。さすがは元、闘技場のチャンピオンだ。
「トンズラッ!」
空蝉返しとトンズラのスキルで上空へ飛び上がる。何かを察したゴングマンさんが脱兎の如く逃げ出した。
「空の王が生み出せし星を紡ぐ光よ。その力もて暁よりも尚眩きもの、我にただ天空を貫く一筋の槍を与えん」
この詠唱も久々だったね。
文字通りの雷鳴が轟く。
「スピアーボルト!」
空から雷の槍が降ってきて私の手へ収まる。
「そんなん、もう反則だろ……」
この世界に反則なんて概念、無いんだよ。雷の槍を振り下ろす。
「ぎぃぃぃいいあああぁぁあああ!」
残りのプレイヤーが消し炭になって消えていく。
「よっと」
スッとその場に着地する。
「うーん、トヨキンTV、侮れないね」
「えっそうだった? 俺には一方的に惨殺している様にしか見えなかったんだが……」
シマーズさん、最近チャンネルの方が好調で本業の比重を減らしているらしい。前からトップ勢だったけど、より廃の者を感じる強さになってきた。
「この狩場は私達、メメント・モリで占拠したいねー」
「拠点からはちょっと距離があって使いにくく無いか?」
「ここを占拠しようって動く方が火種になって今後の展開が面白くなりそうじゃん?」
「私益かよ!」
「私が何のクランのクランマスターか忘れたの?」
「アニーさん、おかえりなさい!」
日が沈む頃に拠点の有った位置へ帰る。
「ただいまー」
帰ってきてできあがっている拠点を見上げる。
「おおーー良い感じじゃん!」
現実世界では3Dプリンター建築をしてもこんな速度でこんなクオリティの家は立たない。VRゲームのなせる技だね。
「周辺のMAPも埋まってきましたね」
「そうだねー」
北にはトヨキンTV、西にはPK反対連合なるクランが布陣していたらしい。南と東は木端クランが群雄割拠している状態。悪いけど、そっちはメメントモリのご飯だ。
「PKがしたい皆の衆と対人戦がしたい皆の衆ー!」
クランチャットで呼びかけると直ぐに返事が返ってきた。
「なんだー!」
「もうクラン内で始めちゃっても良いかー!?」
「MAPにマークした地点、トヨキンTVと狩場で紛争地帯になってるから楽しいよー! ついでにエネミーも狩っておいてー!」
「ひゃっはー!!」
「これからは悪魔の微笑む時代だぜ!!」
うんうん、楽しそうでなにより。
「私達の陣地側でそういう美味しい狩場は無いの?」
私の質問にシュクレが答えた。
「東側の比較的近い位置に一個、グラスゴーレムのリスポーン地点があってトヨキンTVの狩場を除けばそこが一番、高ポイントですね。そっちも私達よりもっと近いクランがあるんですけど……その」
「あーなるほどねー」
いかにメメントモリが統制という概念の希薄なクランだと言っても、かなり大規模クランであることに間違いはない。中堅クラスが十数人集まった程度のクラン相手なら無秩序にメンバーが勝手に浮くだけでも占領できる。
「PK反対連合の方は?」
名前しか知らないクランだけど、その名前からしてメメントモリと相性が良いとは思えない。
「今の所は、お互いに不干渉の状態が続いています」
おお、PKに脳が侵食された連中も我慢していたんだ。一見はっちゃけている様に見えるけど、まだまだ現実世界の良心と常識を捨てきれないのかな。
「その、建築に携わっていた魔法職の人はどうしますか?」
「自由にして良いよ?」
「ある程度、指示が欲しい人もいるみたいなんですけど……」
「あー、そういうパターンもあるよね」
んー、じゃあどうしようかなー。
とりあえずクランチャットで呼びかける。
「まだ遊び足りないけど何か指示が欲しいひとー!」
「「「はーい!」」」
「メメントモリの領域内で空いてる狩場があったら適当に狩りたまえー! あと皆、他のクランがメメントモリの方に入ってきたらクランチャットで教えたまえー」
1日目はこんなものかな。
あと2日、存分に遊び尽くそう。
先に動いたのはシマーズさんの方だった。一瞬、彼の跨ぐ地面が圧縮される。
「四頭竜閃!」
一度の居合切りで4つの斬撃が放たれる。それぞれに龍の頭を模したエフェクトが施されていた。
この距離、このタイミング。
後や左右に避ける事はできない。
「影踏み!」
逆転の発想、前方への脱出。AGIの差がなければ間に合わなかっただろうけど、縮地と四頭竜閃の間にある僅かなタイムラグが幸いした。
「セットリボルビングパイル」
シマーズさんの背後へ着地する。
彼の背中へ鉄拳とパイルをお見舞いする。
「まだまだぁ!」
パイルは背中からシマーズさんの体を貫通して致命的な電撃ダメージを与える。だけど彼はまだ動き出した。
一度だけ死亡を免れる、踏ん張り系のスキルだ。
「キヒッ!」
「なんっ」
ガシャコン。
即座にもう一本のパイルが装填されてシマーズさんを串刺しにする。ふっふっふ、宴会芸みたいな多重発声と違ってリボルビングパイルは一斉発射と連射が選べるのだ。
「おるるぁぁああ!」
背後から私へ向かって巨大なハンマーが振り下ろされる。
「キヒッ」
振り返って正面からアッパーを合わせる。相手のハンマーが砕け散った。私の装備、凶悪すぎる。
「ば、馬鹿な……」
即座に相手の顎を掴む。
ガシャコン。
彼の頭部は串刺しになった。
「おらぁぁぁああ!」
この間にゴングマンさんが順当に1人を殴り倒す。さすがは元、闘技場のチャンピオンだ。
「トンズラッ!」
空蝉返しとトンズラのスキルで上空へ飛び上がる。何かを察したゴングマンさんが脱兎の如く逃げ出した。
「空の王が生み出せし星を紡ぐ光よ。その力もて暁よりも尚眩きもの、我にただ天空を貫く一筋の槍を与えん」
この詠唱も久々だったね。
文字通りの雷鳴が轟く。
「スピアーボルト!」
空から雷の槍が降ってきて私の手へ収まる。
「そんなん、もう反則だろ……」
この世界に反則なんて概念、無いんだよ。雷の槍を振り下ろす。
「ぎぃぃぃいいあああぁぁあああ!」
残りのプレイヤーが消し炭になって消えていく。
「よっと」
スッとその場に着地する。
「うーん、トヨキンTV、侮れないね」
「えっそうだった? 俺には一方的に惨殺している様にしか見えなかったんだが……」
シマーズさん、最近チャンネルの方が好調で本業の比重を減らしているらしい。前からトップ勢だったけど、より廃の者を感じる強さになってきた。
「この狩場は私達、メメント・モリで占拠したいねー」
「拠点からはちょっと距離があって使いにくく無いか?」
「ここを占拠しようって動く方が火種になって今後の展開が面白くなりそうじゃん?」
「私益かよ!」
「私が何のクランのクランマスターか忘れたの?」
「アニーさん、おかえりなさい!」
日が沈む頃に拠点の有った位置へ帰る。
「ただいまー」
帰ってきてできあがっている拠点を見上げる。
「おおーー良い感じじゃん!」
現実世界では3Dプリンター建築をしてもこんな速度でこんなクオリティの家は立たない。VRゲームのなせる技だね。
「周辺のMAPも埋まってきましたね」
「そうだねー」
北にはトヨキンTV、西にはPK反対連合なるクランが布陣していたらしい。南と東は木端クランが群雄割拠している状態。悪いけど、そっちはメメントモリのご飯だ。
「PKがしたい皆の衆と対人戦がしたい皆の衆ー!」
クランチャットで呼びかけると直ぐに返事が返ってきた。
「なんだー!」
「もうクラン内で始めちゃっても良いかー!?」
「MAPにマークした地点、トヨキンTVと狩場で紛争地帯になってるから楽しいよー! ついでにエネミーも狩っておいてー!」
「ひゃっはー!!」
「これからは悪魔の微笑む時代だぜ!!」
うんうん、楽しそうでなにより。
「私達の陣地側でそういう美味しい狩場は無いの?」
私の質問にシュクレが答えた。
「東側の比較的近い位置に一個、グラスゴーレムのリスポーン地点があってトヨキンTVの狩場を除けばそこが一番、高ポイントですね。そっちも私達よりもっと近いクランがあるんですけど……その」
「あーなるほどねー」
いかにメメントモリが統制という概念の希薄なクランだと言っても、かなり大規模クランであることに間違いはない。中堅クラスが十数人集まった程度のクラン相手なら無秩序にメンバーが勝手に浮くだけでも占領できる。
「PK反対連合の方は?」
名前しか知らないクランだけど、その名前からしてメメントモリと相性が良いとは思えない。
「今の所は、お互いに不干渉の状態が続いています」
おお、PKに脳が侵食された連中も我慢していたんだ。一見はっちゃけている様に見えるけど、まだまだ現実世界の良心と常識を捨てきれないのかな。
「その、建築に携わっていた魔法職の人はどうしますか?」
「自由にして良いよ?」
「ある程度、指示が欲しい人もいるみたいなんですけど……」
「あー、そういうパターンもあるよね」
んー、じゃあどうしようかなー。
とりあえずクランチャットで呼びかける。
「まだ遊び足りないけど何か指示が欲しいひとー!」
「「「はーい!」」」
「メメントモリの領域内で空いてる狩場があったら適当に狩りたまえー! あと皆、他のクランがメメントモリの方に入ってきたらクランチャットで教えたまえー」
1日目はこんなものかな。
あと2日、存分に遊び尽くそう。
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