46 / 139
幻夢境街戦略バトル
おにぎりとお味噌汁、それこそが至高なタイプのJK
しおりを挟む
今日は喫茶店dreamerでシュクレちゃんとクランの運営会議だ。ついでに今、巷で有名な号泣辣子鶏定食も一緒に出して上げる。
「アニーさん、話は変わるんですけど……」
「なぁに?」
「今度は、アニーさんの好きな料理も食べてみたいです」
「ほえ?」
「この辣子鶏定食は、アニーさんが私のことだけを考えて作ってくれた物ですよね? 私は料理には詳しくないですけど、それはわかります」
シマーズさんの配信が結構バズってなぜか他のプレイヤーにも人気だけど、この辣子鶏定食は純度100%、シュクレちゃんの為だけに考えた料理だ。
「うん、そのつもりだったよ?」
「だから、今度は私の為だけじゃなくって……アニーさんが好きな料理を食べてみたいなって思ったんです」
「……」
「アニーさん?」
黙っていると、シュクレちゃんが首を傾げて私の方を覗き込んできた。
「……考えたことなかった」
「へ?」
私にとって料理は、そう言う物じゃなかったから。
「私が、好きな料理……」
私が好きな料理。
私が好きな物。
「シュクレちゃん、好きってどんな感じ?」
「えっ? そうですね……何も考えていない時に、パッと思い浮かぶ物、じゃないですか?」
「……そっか、ちょっとやってみるね!」
テクテクと調理場に移動した。心の中から打算的な都合とか損得とかそう言う余計な思考を全て排除する。
「ふぅーー」
作り終わって、テクテクと歩いてシュクレの待つテーブルへ帰ってくる。彼女は丁度、辣子鶏定食を食べ終わったところだ。
「こんなんできた」
アイテムボックスから料理を取り出す。
「これは……おにぎりとお味噌汁?」
「うん、具材は昆布と鮭」
「じゃあ、いただきます!」
シュクレがおにぎりをパクリ。
もぐもぐ、お味噌汁をごくり。
「えへへー、優しくて美味しいです!」
「そっか、良かった」
嬉しそうにしているシュクレの頭を撫でる。なんだか、自分の好きな物が他の人から肯定されるのって、嬉しいね。
「アニーさんは、どうしてこのお料理が好きなんですか?」
「これはね、小学生の頃、ヨイニが作ってくれた料理なんだ。私が初めて料理を作ろうと思ったきっかけの料理」
「アニーさんって、ヨイニさんが好きなんですか?」
「うぐっっごほっゴホッ」
唐突な言葉の右ストレートが飛んできた。
今その言葉は私に効く。
「アニーさん!?」
「あっごめん、何でもない。でも、ありがとう」
「え?」
「シュクレちゃんのおかげで、クランの件……ちょっと整理がついた」
「えっ今の流れでですか?」
「うん。じゃ、ちょっと闘技場行ってくる!」
「あっ行ってらっしゃい……」
闘技場の戦闘エリアへ転送させる。
「赤コォナァー! 全戦圧勝! この闘技場に突如として舞い降りた殺戮の権化! "暴君"アニィィィ! キャノォォォォオオオオン!!!」
今日の実況者は特に熱気を帯びていて、その声が闘技場を揺らす。
「暴君ー!!」
「がんばれー!」
「装備返せー!!」
「伝説を作ってくれー!!!」
観客からも応援と罵声が沢山飛んでくる。
「青コォナァアー!! 連戦連勝! この闘技場の頂点!! "鉄拳"ゴングマァァァァアアアアアンン!!!!」
実況の声に合わせて、反対側から大柄スキンヘッドの男性が転送される。彼の体には、高いステータスアップ効果の装飾品がジャラジャラと付いている。だけど、鎧の類は見当たらない。唯一それらしいのは、両腕につけられた重厚なガントレットだけだ。
「チャンピオンーー!!」
「暴君を止めてくれー!!」
こっちにも歓声が飛ぶ。あれれ、おかしいぞ? 私の時は罵声も入ってたのにゴングマンにはないぞ?
「さぁあ! ゴングマンがチャンピオンの座を防衛するのか! アニー・キャノンが奪い取るのか! チャンピオンマッチ、開始です!!」
ばぁーん。
試合のゴングが鳴る。
「キヒヒヒッ。パイルバンカー!」
まずは小手調べ。
ゴングと同時に突っ込んでパイルバンカーをぶち込む。
「ふんっ」
おお、すごい。
ギリギリの所で僅かにそらされた。
空撃ちになったパイルバンカーが空気を振動させる。
「キヒッ」
やっぱりチャンピオン、相当なゲーマーだね。
まず第一に、キャラメイクがガチ。
筋力と運動能力の関係について考えてみよう。この世界において、AGIが同等なら筋肉の少ない方が早いと言うのが通説だ。だけどこれはちょっと間違っている。
筋肉が重量物なのは事実だけど、筋肉の大きい方が沢山の力が出るのもまた事実だ。要は、骨格に会った筋肉量を付けましょうってお話なんだよね。
それならメッチャ大きい体に適切な筋肉量を付ければ良いのかって言うとそう簡単でもない。
骨格的に一番、総合的な運動能力が高いサイズと言うのが存在する。彼はそれを目指したんだ。私では実現不可能だった、人類の最適解への挑戦。言うなれば人類2.0かな。
「おらぁあ!」
「遅い!」
お返しとばかりにノータイムでカウンター気味の裏拳が飛んでくる。習慣として無意識にやっていた片手の防御でそれを防ぐ。
「……上手じゃん」
「そっちもな」
お互いに一歩下がって仕切り直す。
ゴングマンがニヤリと笑って切り出した。
「まさか、同じ風間流の者に会うとはな」
「やっべ……」
「アニーさん、話は変わるんですけど……」
「なぁに?」
「今度は、アニーさんの好きな料理も食べてみたいです」
「ほえ?」
「この辣子鶏定食は、アニーさんが私のことだけを考えて作ってくれた物ですよね? 私は料理には詳しくないですけど、それはわかります」
シマーズさんの配信が結構バズってなぜか他のプレイヤーにも人気だけど、この辣子鶏定食は純度100%、シュクレちゃんの為だけに考えた料理だ。
「うん、そのつもりだったよ?」
「だから、今度は私の為だけじゃなくって……アニーさんが好きな料理を食べてみたいなって思ったんです」
「……」
「アニーさん?」
黙っていると、シュクレちゃんが首を傾げて私の方を覗き込んできた。
「……考えたことなかった」
「へ?」
私にとって料理は、そう言う物じゃなかったから。
「私が、好きな料理……」
私が好きな料理。
私が好きな物。
「シュクレちゃん、好きってどんな感じ?」
「えっ? そうですね……何も考えていない時に、パッと思い浮かぶ物、じゃないですか?」
「……そっか、ちょっとやってみるね!」
テクテクと調理場に移動した。心の中から打算的な都合とか損得とかそう言う余計な思考を全て排除する。
「ふぅーー」
作り終わって、テクテクと歩いてシュクレの待つテーブルへ帰ってくる。彼女は丁度、辣子鶏定食を食べ終わったところだ。
「こんなんできた」
アイテムボックスから料理を取り出す。
「これは……おにぎりとお味噌汁?」
「うん、具材は昆布と鮭」
「じゃあ、いただきます!」
シュクレがおにぎりをパクリ。
もぐもぐ、お味噌汁をごくり。
「えへへー、優しくて美味しいです!」
「そっか、良かった」
嬉しそうにしているシュクレの頭を撫でる。なんだか、自分の好きな物が他の人から肯定されるのって、嬉しいね。
「アニーさんは、どうしてこのお料理が好きなんですか?」
「これはね、小学生の頃、ヨイニが作ってくれた料理なんだ。私が初めて料理を作ろうと思ったきっかけの料理」
「アニーさんって、ヨイニさんが好きなんですか?」
「うぐっっごほっゴホッ」
唐突な言葉の右ストレートが飛んできた。
今その言葉は私に効く。
「アニーさん!?」
「あっごめん、何でもない。でも、ありがとう」
「え?」
「シュクレちゃんのおかげで、クランの件……ちょっと整理がついた」
「えっ今の流れでですか?」
「うん。じゃ、ちょっと闘技場行ってくる!」
「あっ行ってらっしゃい……」
闘技場の戦闘エリアへ転送させる。
「赤コォナァー! 全戦圧勝! この闘技場に突如として舞い降りた殺戮の権化! "暴君"アニィィィ! キャノォォォォオオオオン!!!」
今日の実況者は特に熱気を帯びていて、その声が闘技場を揺らす。
「暴君ー!!」
「がんばれー!」
「装備返せー!!」
「伝説を作ってくれー!!!」
観客からも応援と罵声が沢山飛んでくる。
「青コォナァアー!! 連戦連勝! この闘技場の頂点!! "鉄拳"ゴングマァァァァアアアアアンン!!!!」
実況の声に合わせて、反対側から大柄スキンヘッドの男性が転送される。彼の体には、高いステータスアップ効果の装飾品がジャラジャラと付いている。だけど、鎧の類は見当たらない。唯一それらしいのは、両腕につけられた重厚なガントレットだけだ。
「チャンピオンーー!!」
「暴君を止めてくれー!!」
こっちにも歓声が飛ぶ。あれれ、おかしいぞ? 私の時は罵声も入ってたのにゴングマンにはないぞ?
「さぁあ! ゴングマンがチャンピオンの座を防衛するのか! アニー・キャノンが奪い取るのか! チャンピオンマッチ、開始です!!」
ばぁーん。
試合のゴングが鳴る。
「キヒヒヒッ。パイルバンカー!」
まずは小手調べ。
ゴングと同時に突っ込んでパイルバンカーをぶち込む。
「ふんっ」
おお、すごい。
ギリギリの所で僅かにそらされた。
空撃ちになったパイルバンカーが空気を振動させる。
「キヒッ」
やっぱりチャンピオン、相当なゲーマーだね。
まず第一に、キャラメイクがガチ。
筋力と運動能力の関係について考えてみよう。この世界において、AGIが同等なら筋肉の少ない方が早いと言うのが通説だ。だけどこれはちょっと間違っている。
筋肉が重量物なのは事実だけど、筋肉の大きい方が沢山の力が出るのもまた事実だ。要は、骨格に会った筋肉量を付けましょうってお話なんだよね。
それならメッチャ大きい体に適切な筋肉量を付ければ良いのかって言うとそう簡単でもない。
骨格的に一番、総合的な運動能力が高いサイズと言うのが存在する。彼はそれを目指したんだ。私では実現不可能だった、人類の最適解への挑戦。言うなれば人類2.0かな。
「おらぁあ!」
「遅い!」
お返しとばかりにノータイムでカウンター気味の裏拳が飛んでくる。習慣として無意識にやっていた片手の防御でそれを防ぐ。
「……上手じゃん」
「そっちもな」
お互いに一歩下がって仕切り直す。
ゴングマンがニヤリと笑って切り出した。
「まさか、同じ風間流の者に会うとはな」
「やっべ……」
11
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
なんだこのギルドネカマしかいない! Ψギルドごと異世界に行ったら実は全員ネカマだったΨ
剣之あつおみ
ファンタジー
VR専用MMORPG〖ソーサラーマスターオンライン〗、略して〖SMO〗。
日本で制作された世界初の音声認識変換マイク付きフルフェイスマスク型インターフェイスを装着し、没入感溢れるVRMMOアクションが楽しめると話題を呼んだゲームである。
200名を超える人気声優を起用して、自分の声をAIで自動変換しボイスチャットが出来る画期的な機能を搭載。サービス開始当初、国内外問わず同時接続400万名以上を突破し社会現象にもなったゲーム。
このゲームをこよなく楽しんでいた女子高生「シノブ」はサービス終了日に一緒にプレイしていたギルドメンバーとゲームそっくりな異世界へと飛ばされる。
彼女の所属していたギルド〖深紅の薔薇〗はリアル女性限定と言う規約を掲げていた。
異世界に飛ばされた彼女は仲間達と再会するが、そこで衝撃の事実に直面する。
女性だと思っていたギルドメンバー達は実は全員男性だった。
リアルでの性別は男性、ゲーム内で自身をリアル女性を語るプレイスタイル・・・
続に言う「ネカマ」だったのだ。
彼女と5人のネカマ達はゲームの知識を活かし、現実世界に戻る為に奮闘する物語である。
アルゲートオンライン~侍が参る異世界道中~
桐野 紡
SF
高校生の稜威高志(いづ・たかし)は、気づくとプレイしていたVRMMO、アルゲートオンラインに似た世界に飛ばされていた。彼が遊んでいたジョブ、侍の格好をして。異世界で生きることに決めた主人公が家族になったエルフ、ペットの狼、女剣士と冒険したり、現代知識による発明をしながら、異世界を放浪するお話です。
現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する
にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
この作品は 旧題:金運に恵まれたが人運に恵まれなかった俺は、現実逃避するためにフルダイブVRゲームの世界に逃げ込んだ
の内容を一部変更し修正加筆したものになります。
宝くじにより大金を手に入れた主人公だったが、それを皮切りに周囲の人間関係が悪化し、色々あった結果、現実の生活に見切りを付け、溜まっていた鬱憤をVRゲームの世界で好き勝手やって晴らすことを決めた。
そして、課金したりかわいいテイムモンスターといちゃいちゃしたり、なんて事をしている内にダンジョンを手に入れたりする主人公の物語。
※ 異世界転移や転生、ログアウト不可物の話ではありません ※
※修正前から主人公の性別が変わっているので注意。
※男主人公バージョンはカクヨムにあります
ゲーミング自殺、16連射アルマゲドン
LW
ファンタジー
ゲーム感覚で世界を滅ぼして回ろう!
最強ゲーマー女子高生による終末系百合ライトノベル。
「今すぐ自殺しなければ! 何でも構わない。今ここで私が最速で死ぬ方法はどれだ?」
自殺癖持ちのプロゲーマー、空水彼方には信条がある。
それは決着したゲームを最速で完全に清算すること。クリアした世界を即滅ぼして即絶命する。
しかも現実とゲームの区別が付いてない戦闘民族系ゲーマーだ。私より強いやつに会いに行く、誰でも殺す、どこでも滅ぼす、いつでも死ぬ。
最強ゲーマー少女という災厄が異世界を巡る旅が始まる。
表紙イラスト:えすけー様(@sk_kun)
表紙ロゴ:コタツラボ様(@musical_0327)
#ゲーマゲ
不遇職「罠師」は器用さMAXで無双する
ゆる弥
SF
後輩に勧められて買ってみたVRMMOゲーム、UnknownWorldOnline(通称UWO(ウォー))で通常では選ぶことができないレア職を狙って職業選択でランダムを選択する。
すると、不遇職とされる「罠師」になってしまう。
しかし、探索中足を滑らせて落ちた谷底で宝を発見する。
その宝は器用さをMAXにするバングルであった。
器用さに左右される罠作成を成功させまくってあらゆる罠を作り、モンスターを狩りまくって無双する。
やがて伝説のプレイヤーになる。
ツインクラス・オンライン
秋月愁
SF
兄、愁の書いた、VRMMO系の長編です。私、妹ルゼが編集してブレるとよくないなので、ほぼそのまま書き出します。兄は繊細なので、感想、ご指摘はお手柔らかにお願いします。30話程で終わる予定です。(許可は得ています)どうかよろしくお願いします。
ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜
コアラ太
SF
世界会議で、MR(複合現実)技術を使って、人間が住める惑星を開発する企画が立つ。それに歓喜した頭のおかしい研究・開発者達がこぞって参加し、『Neo Earth Terraforming』という1つのゲームを作り上げた。空気や土壌を最適化する機体を送り込み、ファンタジー世界を投影したRPGをプレイすることにより、自動で浄化してくれる。
世界が待望したゲームを釣り好き男がプレイする。「新種の魚がいると聞いて。」
【火木土】更新。たまに日曜日に追加更新します。
『カクヨム』にも重複投稿しています。
【完結済み】VRゲームで遊んでいたら、謎の微笑み冒険者に捕獲されましたがイロイロおかしいです。<長編>
BBやっこ
SF
会社に、VRゲーム休があってゲームをしていた私。
自身の店でエンチャント付き魔道具の売れ行きもなかなか好調で。なかなか充実しているゲームライフ。
招待イベで魔術士として、冒険者の仕事を受けていた。『ミッションは王族を守れ』
同僚も招待され、大規模なイベントとなっていた。ランダムで配置された場所で敵を倒すお仕事だったのだが?
電脳神、カプセル。精神を異世界へ送るって映画の話ですか?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる