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幻夢境街戦略バトル

告白されるタイプのJK

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 昨日は結局、闘技場で楽しく遊んでちゃんとクランメンバーも募集したのになぜか誰1人として応募してくれなかった。
 かなちい。

「(与一君の用事って、何なんだろ?)」

 いつもの様に学校を速攻で出て公園で1人、与一君が来るのを待つ。登校中もダメで、チャットもダメ。科学の発展した現代においてそんな用事があるだろうか。私には想像もつかない。

「(思えば、この公園には色々と縁があるよね)」

 与一君と始めて会ったのもこの公園。小学生の頃は、この公園で沢山遊んだ。その頃の記憶は私の中でトロフィーの様にキラキラと飾られている。

 彼からIAFに誘われたのもこの公園だった。
 こんな事言ったら普通の人は大袈裟おおげさって言うだろうけど、IAFの存在を知って私はこの世界で生きていく希望みたいなのを見つけた。
 もし高校で彼と再会せず、IAFを始めていなかったら今も私は死んだ魚の様な目をして生活していただろう。

「お待たせ」

 ブランコに座ってそんな事を考えていたら、与一君の声が聞こえる。だけど顔を上げて周囲を見渡しても彼の姿がどこにも見えない。

「……あれ?」

 私の目の前には、高校の制服を着た高身長モデル体型の女の子しかいない。ベリーショートヘアのスポーティな可愛い女子高生だ。もし与一君が女の子だったらちょうどこんな感じなのかな?

「ここだよ」

 思わず周囲を見回すと、目の前の与一君似の女子高生が苦笑いを浮かべた。なんか、声もメチャクチャ与一君に似ている。

「……え?」

「実は俺……」

 目の前の女子高生はそこまで言って一度、首を左右に振って言い直す。

「僕、与那覇与一よなはよいちは……女の子なんだ」

「えっっッえええぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

「はははっおどろいただろ?」

 私の絶叫ぜっきょうに、与一君……ちゃん? が悪戯いたずらっぽく笑う。かわいい。
 ってそうじゃなくって!!

「ほ、本当に!?」

「……触ってみる?」

 ちょっと待って。脳の整理が追いつかない。でもとりあえず触る。そりゃ触って良いなら誰だって触るよね?

「……」

 さわさわ。

「んっ……」

 モミモミ。

「もっだめっ……」

 本物だーーーー!!!!
 しかも私より大きいぞーー!!!

「えっちょっと待って、ごめん、バカにも分かる様に説明して! えっ今までずっと一緒だった与一君は、与一ちゃんだったってこと???」

「まあ、そうだね」

 ダメだ奏音混乱! ちょっと落ち着こう。
 落ち着く為には……。

「……なんでまだ揉んでるの?」

「なんか落ち着くかなって」

 モミモミ。
 よし、ちょっと落ち着いてきたよ。

「それで……どうして男の子の振りをしていたの?」

「子供の頃は別に、男の子の振りをしていた訳じゃ無いよ?」

「あーーー」
 
 確かに子供の頃は男女の区別は曖昧あいまいだったりする。これは私が勝手に勘違いしていただけ、だよね?

「でも再会した時も、今までもずっと男子用の制服だったよね?」

「僕は……女の子が好きなんだ」

「ああ、なるほ……え?」

「ほら、僕の場合は男の子の格好している方が何かと便利でさ?」

「おまわりさーん!!」

 多様性が受け入れられた現代において、どんな性別だってどんな制服を着る権利はある。
 もちろん体格とかの物理的な問題で苦労はあるだろうけど。でも悪用はダメだよ! あっでも女の子だったら良いのかな? いやいやダメだよね?

「えっと……それで、与一く……はどうして今になってこんなカミングアウトを?」

「僕は、奏音に伝えたいことがある。とても、大切なことだ。でもそれは、僕が秘密を持ったままじゃどうしてもダメだったんだ。だからその前に……本当の僕を知って欲しかった」

 与一が真剣な表情で私の方を見つめる。

「奏音」

「う、うん」

 与一は一度、大きく深呼吸をした。
 そして決意を固めた様に私の目をじっと見て。

「ーー好きだ」

「それは……」

「I love you」

 衝撃しょうげきのカミングアウトで混乱していた脳に、さらに特大の右ストレートが打ち込まれる。
 思考回路はショート寸前すんぜんだ。

「ごめん……」

 私の言葉に、与一が悲しい表情を浮かべる。

「奏音は、ノーマルだもんね」

 与一の言葉を慌てて否定する。

「違うの! そう言う意味じゃなくって! 今はちょっと混乱中って言うか、私も……私の気持ちが分からないから」

 自分でも顔が真っ赤になっているのを感じる。頭を抱える私を頭を与一がそっと優しく撫でた。

「そっか、そうだよね。ゆっくりで良いから……落ち着いたら返事、ちょうだい?」

 私は人の感情をはかるのがあまり上手じゃ無い。それは他人へ対してだけじゃなくて、自分自身についても。とてもじゃ無いけど、今この場で答えを出すなんてことはできない。

「うん……わかった。絶対、ちゃんと返事するから」

「ありがとう。じゃ、またね!」

 与一はそう言って公園から駆け出して行ってしまった。私はそれを半ば呆然ぼうぜんと見送った。

「どうしよう……」

 ただでさえクランのメンバー探しで頭を抱えていたのに! 超弩級ちょうどきゅうで考えなきゃいけない事がさらに増えちゃったじゃん!

「どうしようーー!!!!!!!」


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