上 下
26 / 139
万年寒鉄を求めて

ポイント交換をするタイプのJK

しおりを挟む
「イベントクリアおめでとうございます。思考加速を解除、通常フィールドに戻ります」

 ゲームアナウンスが響くと、私たちは噴水前に戻される。
 そこにはたくさんのプレイヤーとNPCが集まっていて、イベントに参加した私たちを拍手で出迎えてくれていた。

「見てたぜ!」

「おめでとう!」

「よくやった!」

「この街を守ってくれて、ありがとう!!」

 照れくさくなって視線を逸らすと、いつの間にか隣にいたヨイニが私の頭に手を乗せてポンポンとしてくる。

「……へへ」

「よかったな、アニー」

「うん」

 頑張ってよかった。
 ゲームの中ではあるけど、私もこの世界の一員として認められた様な気持ちになる。

「おい、どこにいくんだ?」

「イベント報酬確認したいから拠点に行こうかなって。それに、なんか……恥ずかしいし」

「おう、そっか……じゃあ、また学校でな」

「うん」

 テクテクと歩いて貧民街の入り口近くにある拠点へ帰る。
 カオスルーラーの子供達は先に帰っていた様で、いつも通りに色々と作業をしていた。

「おうさまっおかえりなさい」

「ただいまー」

 カオスルーラーの子達との挨拶もそこそこに、椅子に座ってイベントアイテムを眺める。
 余談だけどこの椅子、カオスルーラーの子達が用意してくれたやつなんだけどすごく悪役っぽい。

「ドラゴンの卵……」

 半透明のウィンドウに浮かび上がる"スペシャル"のタブの一番上に表示されたアイテムをタップして詳細を表示する。

【ドラゴンの卵】
所有者のペット、又は相棒として活躍するドラゴンの卵。
所有者の行動や人格を元に成長する。
消費ポイント:2500

「んー、消費ポイント高いなぁ」

 今回のイベントで私が得たポイントは5580ポイントだ。
 ほぼ半分近くを持っていかれるけど、ペットは欲しい。

「ぽちぃ!」

 思い切って取得する。
 これで残りは3080ポイントだ。

「さて、次は……」

 スペシャルタブに表示されたドラゴンの卵のすぐ下にあったアイテムへ視線を向ける。

【英雄の証】
白樺しらかばの木で作られた短剣。
丁寧に研磨されツルリとした手触りで、豪華で細やかな装飾が彫られている。
所有しているとNPCからの有効度が上昇する。
消費ポイント:300
交換数:0/5

「カオスルーラーのデバフ解除じゃん!」

 ポチポチポチポチポチィ!
 最初に大きな買い物をしたから次の交換に対する心理的な障壁がかなり軽くなった。
 気軽に5つ交換する。
 これで残りポイントは1580ポイントだ。

「うーん……」

 スペシャルのタブを更に下へスクロールしていく。

【フォートシュロフ親衛隊の重兜】
防御力+20、STR+20
消費ポイント:100
【フォートシュロフ親衛隊のマント】
防御力+25、STR+15
消費ポイント:100
【フォートシュロフ親衛隊の重鎧】
防御力+50、STR+10
消費ポイント:100
【フォートシュロフ親衛隊のガントレット】
防御力+30、物理攻撃力+30
消費ポイント:100
【フォートシュロフ親衛隊の足鎧】
防御力+20、AGI-5
消費ポイント:100
【フォートシュロフ親衛隊の靴鎧】
防御力+20、STR+15、AGI-5
消費ポイント:100
【フォートシュロフ親衛隊のタリスマン】
防御力+30
消費ポイント:100
【フォートシュロフ親衛隊シリーズセット効果】
Ⅰ.防御力+20
Ⅱ.MP自動回復(小)
Ⅲ.HP自動回復(小)
Ⅳ.オートプロテス
Ⅴ.与ダメージ上昇+5%

「装備はなぁ……」

 カオスルーラーは自分の体を自由に色々と弄れる代わりに、凡人種を対象とした装備が身につけられなくなる。
 ポイント交換の装備はどれも高性能だけど、装備できなかったらただのゴミだ。

「こっちかなぁ」

 スペシャルのタブから建築のタブへ切り替える。

【フォートシュロフのタイプA物件権利書】
フォートシュロフで使用可能な小さな部屋の権利書。
リスポーン指定:許可
倉庫の利用(小):許可
商用利用:不可
鍛冶:不可
木工:許可(限定)
調理:不可
消費ポイント:500
【フォートシュロフのタイプB物件権利書】
フォートシュロフで利用可能な中規模の家の権利書。
リスポーン指定:許可
倉庫の利用(中):許可
商用利用:許可
鍛冶:不可
木工:許可
調理:許可
消費ポイント:1000
【フォートシュロフのタイプC物件権利書】
フォートシュロフで利用可能な大きな屋敷の権利書。
リスポーン指定:許可
倉庫の利用(大):許可
商用利用:許可
鍛冶:許可
木工:許可
調理:許可
消費ポイント:1500

「フォートシュロフの物件はもう持ってるからなー」

 今いる場所がまさに中規模の物件だ。
 タイプCは気になるけどあんまり欲しくない。

「お、これは良いかも」

 しばらくスクロールしていくと、気になる物件を見つけた。

幻夢境街げんむきょうがいのタイプC物件権利書】
商用利用可能で利用可能な大きな屋敷の権利書。
リスポーン指定:許可
倉庫の利用(大):許可
商用利用:許可
鍛冶:許可
木工:許可
調理:許可
消費ポイント:1500

 幻夢境街は次に開放される街だ。
 3Dの外観を見た感じ、五重塔みたいな感じで間取りも正方形で使いやすそう。

「うーん、えいっ!」

 画面をタップして交換を完了させる。
 これで残り80ポイントだ。

「後はそうだなー」

 最後に"パック"と書かれたタブへ移動する。
 生物素材パック、鉱石素材パック、料理素材パックと行った素材系のアイテムがまとめ売りされていた。
 それぞれのポイント消費量は50、一個だけ交換できるね。

「料理素材パックかなー」

 ゲーム開始序盤ということもあるけど、まだまだ素材のバリエーションが少ない。
 ここでまとめて色々な種類をゲットできるのはありがたい。

「こんなもんかなー」

 今日はログアウトしようかな。
 明日は休日だし早起きしてログインしよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魯坊人外伝~魯坊丸日記~

牛一/冬星明
SF
俺、魯坊丸は戦国の覇者である織田信長の弟だ。 勝ち組に生まれたと喜んだ。 のんびりダラダラと過ごしていた俺の前に立ちふさがる生活の壁にぶち当たり、意図しない生活改善を始めた。 戦国時代は滅茶苦茶だ。 安全を確保していると、勝手に仕事が舞い込んでくる。 もういい加減にしてくれ。 まったく、どうしてこうなったか? 思い返すと頭が痛くなった。 さて、数え三歳になった頃に母上から字の練習で日記を書くように言い付けられた。 何でも日記とは、昔の事を思い出して書く事もあるそうだ。 これまで父の右筆に任せてきたが、親父(織田信秀)に出す手紙はなるべく直筆がよいとか? まぁいいか。 転生とか下手な事は掛けないが、色々と思い返す事を書きつづろう。 俺の愚痴を聞いてくれ。

クリスマスプレゼント

奈落
SF
TSFの短い話です

コレクターガールの憂鬱な日常

MOKO
SF
女子高生の立川遥香は、ある日 全宇宙指名手配中の凶悪宇宙人トレモロと 宇宙警察との争いに巻き込まれ 宇宙人トレモロに寄生され その日を境に遥香の日常生活は激変する。 妙な宇宙人に絡まれるわ 宇宙警察に目をつけられるわ 目立たず騒がず静かに背景と同化し 地味に過ごしまったり送るはずの 女子高生ライフが一変…。 トレモロの体を取り戻すし 健全な身体を取り戻すために 遥香は立ち上がる。 このお話は遥香とトレモロの非常識な日常です。

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~

一色 遥
SF
スキル制VRMMORPG<Life Game> それは自らの行動が、スキルとして反映されるゲーム。 そこに初めてログインした少年アキは……、少女になっていた!? 路地裏で精霊シルフと出会い、とある事から生産職への道を歩き始める。 ゲームで出会った仲間たちと冒険に出たり、お家でアイテムをグツグツ煮込んだり。 そんなアキのプレイは、ちょっと人と違うみたいで……? ------------------------------------- ※当作品は小説家になろう・カクヨムで先行掲載しております。

深淵から来る者たち

zip7894
SF
火星周回軌道で建造中の巨大ステーション・アビスゲート。 それは火星の古代遺跡で発見された未知のテクノロジーを利用した星間移動用のシステムだった。 航宙艦キリシマは月で建造されたアビスゲート用のハイパー核融合炉を輸送する輸送船の護衛任務につく。 月の演習に参加していたパイロットのフェルミナ・ハーカーは航宙艦キリシマの航空部隊にスカウトされ護衛任務に参加する事になった。 そんな中、アビスゲートのワームホールテストと同時に月と地球半球に広範囲の電子障害が発生したが……

大事なのは

gacchi
恋愛
幼いころから婚約していた侯爵令息リヒド様は学園に入学してから変わってしまった。いつもそばにいるのは平民のユミール。婚約者である辺境伯令嬢の私との約束はないがしろにされていた。卒業したらさすがに離れるだろうと思っていたのに、リヒド様が向かう砦にユミールも一緒に行くと聞かされ、我慢の限界が来てしまった。リヒド様、あなたが大事なのは誰ですか?

前々前世オンライン 〜前世スピノサウルスだった私、ラスボス扱いされてて泣きたいけど鳴くしかできないから代わりに全プレイヤーを泣かしてやる

虎戸リア
SF
【前々前世オンラインVerβ】 それは前世の姿を占い、実際にその姿となって仮想空間で過ごせるVRオンラインゲーム 最近不幸が続く主人公はそんな現実を変えるべく、軽い気持ちでこのまずこのゲームの体験版に手を出したのだが…… 「前世が見たかっただけなのになんでえええええ!」 操作ミスでサバイバルモードにしてしまった主人公を待っていたのは、プレイヤー同士が前世の姿で殺し合うシビアな死にゲーだった。 ゲーム知識も経験も皆無な主人公だったが、前世がチートキャラ——【スピノサウルス】なのを良いことに、徐々にこのゲームにハマっていく これは、野生のラスボスと化した主人公の、ランキング一位になるまでの物語である 小説家になろう様にてVRジャンル日間ランキング1位、週間ランキング2位!! *この作品は小説家になろう様、ノベルアップ+様でも投稿しております

処理中です...