【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

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フォートシュウロフ防衛戦

尻尾が完成するタイプのJK

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「ヒヒヒッ。ヒハ、ヒハハハハハ!!」

 あぁああキルが楽しいぃぃぃいいいい!

 道中に現れるゴブリンを次々と破壊していく。まずは、ヨイニがスタンボールで敵の動きを止めてくれる。コレは威力0だけど、動きさえ止まっていれば私が一撃で倒せるから問題にならない。
 抵抗する相手を壊すのも楽しいけど、無抵抗の相手を一方的に壊すのもまた違った趣があって非常に良いね。

「情報によれば、この辺りでボスが出るらしいぞ」

 ヨイニの言葉に呼応する様に、洞窟に怒号が響く。これまでのゴブリンとは明らかに体格の違う、立派な体躯を持った大男が大槍を携えて現れた。ジェネラルゴブリンだ。

「聞いていた話と比べて大きいな……スタンボール!」

 ヨイニがジェネラルゴブリンの着地に合わせてスタンボールを放つ。

「キヒヒッ」

 それに合わせて突撃する。

「ヴァァァアアア!」

 ジェネラルゴブリンはヨイニのスタンボールで一瞬だけ硬直して、すぐに咆哮と共に大槍を横薙よこなぎにふるった。

「わぁっお」

 私の顔面へジェネラルゴブリンの大槍の刃が迫ってくる。既に走り出していた私はそれをジャンピングイナバウアーで何とか避ける。鼻先をかすめていく刃に私の顔が反射して写っているのが見えた。

「キャハッ。パイルバンカー!」

 そのまま勢いを殺さずにジェネラルゴブリンの懐に入り込み、ここまで温存していた必殺技を叫ぶ。
 発声に合わせて生成された魔力で構成されたパイル太釘が右アッパーと共にモンスターの脇腹に突き刺さる!

「グルゥア!?」

 衝撃波が洞窟を振動させ、ジェネラルゴブリンの体がわずかに浮かび上がる。彼は脇腹を抑えてわずかに後退する。

「スタンボール!」

 その隙を見逃す事なく、ヨイニがスタンボールを放つ。スーパーボールの様な薄黄色の球体が洞窟の内壁を反射しながら私を避ける様にジェネラルゴブリンへ襲いかかる。

「パイルバンカァー!」

 ヨイニのスタンボールがジェネラルゴブリンへ当たる瞬間に合わせて、パイルバンカーを打ち込む。

「スタンボール!」

「パイルバンカァー!」

 あっこれパターン入ってるね。
 まぁ、問題は私たちのMPが持つかなんだけど。

「スタンボール!」

「パイルバンカァァァ!」

「スタンボール!」

「パイル・バンカァァァァァアアアア!」

 全身を釘まみれにされたジェネラルゴブリンが仰向けに倒れる。割と大変だったね?

「レベルアップしました。称号【大物殺しジャイアント・キリング】を獲得しました」

 脳内にアナウンスが流れる。

「おお、レベル上がった」

「俺もだ……それよりこれ、レアボスだな」

「れあぼす?」

「話に聞いていたよりずっと強いボスだったんだよ。やたらタフだったろ?」

「そんなのあったんだ」

「いや、俺も知らないけど……多分そういう事なんだろう」

「そっかー、おっアイテム選択できるみたいだよ!」

 空中に2つの宝箱が浮いている。
 片方がヨイニので、もう片方が私のだろう。

「俺の方は蛮族の王冠? チェンジだな。アニーは足鎧か、どうする?」

「えっなにチェンジって? そんなのできるの?」

「ああ、凡人種の専用スキルだ」

 なにそれずるい。
 そんなのドロップ効率が全然違うじゃん。

「脚鎧はねー、装備できないんだよねー構造的にー。チェンジで」

「おう、分かった」

 ヨイニが画面を操作すると、再抽選が行われて宝箱の中身が変化する。

「俺は大槍で、アニーは腰鎧だな。あと1回だけチェンジできるけど、どうする?」

「ヨイニが大槍で良いならもうもっかい!」

「よし、ラストチャンスだ!」

 再び抽選が行われる。

「おお……小鬼将軍のバンクル、これなら装備できるんじゃ無いか?」

「よぉし! やったぁ!」

 落下してきた宝箱の中身を確認して、装備をゲットした。

「ねね、レベルアップでキャラクター弄りたいからちょっとログインルームに行ってきて良い?」

「いいよ、俺もスキルとか考えたいし。10分後に再ログインってことでどうかな?」

「おっけー」

「じゃあ、また後でね」

 ステータスを割り振るぐらいなら別にログインしたままでも良いんだけどね。私はほら、カオスルーラーだから……。






「AIさーん、種族レベル上げて尻尾を伸ばしたいでーす」

 ログイン画面に戻って、AIに声をかける。種族レベルを上げれば自動で種族スキルが手に入る他の種族とは違って、カオスルーラーは毎回、変更ポイントを使って体をいじっていく必要があった。

「カオスルーラーのレベルが5に達成しました。専用スキル【異形部位】を獲得しました」

 私の声に答えて、レベルポイントを消費してアニーの種族レベルを上昇させる。ここで聞きなれない単語が返ってきた。

「へ? なにそれ?」

「アイテムを装備可能な部位として、体の一部を設定できます。また、望む場合はこれまでの行動データを元に体型の最適化が行えます」

 つまり、今まで頭を捻りまくって体のバランスとか構造とか考えていたのをAIが汲み取って良い感じにしてくれるってことかな? この手の事はAIの方が得意なのは明白だし、それはありがたいね!

「つまり、この尻尾をちゃんとした尻尾にしてくれるってこと?」

「はい、特異部位の設定と体型の最適化を行いますか?」

「はぁい!」

 私はAIの言葉に元気よく答えた。冷静に考えて、何処にでもいるごく普通の女子高生ほんにんだんである私にカオスルーラーのキャラビルドは難易度が高すぎる。ティラノサウルスの足の構造とか尻尾と上半身のバランスとか大まかなアイディアは別として、細かい所はAIにやってもらう方が良い。

「最適化を開始します……最適化が完了しました」

「おおー、尻尾が良い感じに! あとちょっと背が伸びたかな?」

 くるりとキャラクターの全身を確認する。尻尾がより伸びてしなやかに、足の構造もややシャープになったかな?

「おー、本当に装備部位が増えてる!」

 ステータス画面を確認すると、確かに尻尾という装備部位が追加されていた。この尻尾は元々、体のパーツから伸ばしていたから、見てくれは尻尾だけどゲーム的な判定は体という状態だった。

 トカゲの尻尾切りでもしよう物ならその場で致命傷という冗談みたいな状態からはこれで脱した。

「おお、抜群の安定感! 走りながらジャンプしたりしゃがんだりもできちゃう!」

 試しに、周りを走ってみる。体が大きくなった分、理論上は被弾面積が増えちゃったけどそんなデメリットを遥かに上回る機動力と見た目の良さが手に入った。

「って尻尾が勝手に動いてる!!」

「これまでの戦闘データから異形部位のセミオート制御が可能になりました」

「おおー、便利……。あとはいつものステータス配分だね」

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