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7.撮影

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「あんっ♡あんっ♡」

 次に止まった駅の多目的トイレで、俺は溢れる嬌声を止められずにいた。
 立ったままズボンとパンツを足首まで落とし、壁に手を付き尻を突き出した状態で後ろから犯される。腰を掴まれ激しいピストンをされるのは、性欲処理にだけ使われているかのようで屈辱と快感が同時に襲った。
 パンッパァンッと肉同士がぶつかり合う音が響く。それと同時に俺の口からは甲高い声が出てしまうのだがそれも気にする余裕が無い程に俺は快楽に溺れていた。

「やっ、ああっ♡」

 腰を掴まれているから逃げられないし動くことも出来ない。ただひたすらに犯されるだけの存在になった俺だったが、それでも自ら腰を動かしてしまっていたことに気付き愕然とするしかなかった。

(なんだよこれっ……なんでこんな事になってるんだよ……!)

 そうは思うが身体は正直で、もっともっとと強請るように尻を押し付けてしまっているのを感じると羞恥心でいっぱいになってしまうのだ。

「んぁ、ああっ♡」

 イイ所ばかりを攻められて頭の中が真っ白になる。俺は無意識に自らも腰を動かして快楽を得ようとしていたらしくそれに気付いた犯人に嘲笑われてしまった。だがそんなことを気にする余裕などある筈も無くただ喘ぎ続けることしかできなかった。

「ケツ掘られるのも慣れてきたか? 良い具合になってるぜ」

 犯人が耳元で囁くがそんな言葉は聞きたくない。そうアピールするかのように首を横に振ったが何の意味も無かった。
 代わりに、背後でポコンッという電子音がした。聞き覚えのあるそれを訝しんで肩越しに振り返る。そして思わず眼を見開いた。

「お、丁度良いな。こっち向けよ」
「や、やぁっ……!」

 犯人はカメラを構えていた。恐らく動画を撮影しているのだろう。俺は咄嗟に前を向いて顔を隠す。
 だがピストンは続けられ、接合部からは卑猥な水音が起こり続ける。捲り上げられたり押し込まれたりする尻穴の縁も、泡立つローションや腸液も、震えて汗ばむ尻や背中も撮られていると思うとゾッとするが逃れられない。

「チッ、まぁいいか。じゃあ声だけでも出しな」
「や……んっ、んっ……!」
「お、我慢するつもりか? いつまで保つかな?」

 犯人は背後からスマホで動画を撮影しながら尚も激しいピストンを続けた。俺は必死に唇を噛み締めて耐えようとするものの、弱い所ばかりを攻められてはどうしようもない。

「んぐっ!♡ んっ、ふ……っ♡」

 声を抑えようとしてもどうしても漏れ出してしまうし、それが余計に犯人を楽しませてしまっているようだ。
 その証拠に背後で笑う気配がする。そして更に強く奥を突き上げられた瞬間だった。俺の口から甲高い悲鳴が上がったのは。

「ひぅぅぅっ!♡」

 もう我慢できなかった。一度決壊してしまったら後はもうなし崩しである。俺はまるで自分から媚びるように尻を突き出しながら喘ぎ声を上げることしか出来なかった。

「あんっ♡ あっ、やっ♡ んっ♡」

 激しいピストンに身体は完全に屈服しているし思考回路は靄がかかったかのようにぼやけ始めている。完全に発情した雌犬と化していた俺に後ろから犯人がクツクツと笑う気配がするのだがそんなことを気にしている場合ではない程に与えられる快感に夢中だった。
 やがて限界が訪れるのを感じ取り全身がビクビク震えるのを感じた瞬間のことだった。中に熱い飛沫を叩きつけられ、その衝撃で俺も絶頂を迎えた。

「あ゛っ♡ イく、イッちゃ……ぁあああっ!♡」

 ビクビクと身体を痙攣させながら俺は達した。同時に中に出されている感覚があり、それすらも快感となって俺を苛む。
 足元に捏ねられたスラックスやパンツの上に、勢い無く溢れた俺の精液がパタパタと落ちた。射精と呼べるような状態ではなく、情けなさが襲う。

 俺の膝が揺れ、崩れ落ちそうになるところで後ろから抱き留められた。そして便器の上に座らされるが、俺は四肢が脱力して何の抵抗も出来ない。
 ただ涙に滲む視界の中、スマホのカメラを向けられていることは分かった。そのままプチプチとシャツのボタンが全て外され、前を完全に開く。

「あ……あ……♡」

 そこに居たのは、両乳首と性器をいやらしく勃起させ、尻穴から白濁液を漏らし、顔を上気させた淫らな男だった。到底駅のトイレという公共の場に居てはいけない姿の俺をカメラで撮られている。しかも今度は顔もだ。
 今更重い手を持ち上げて隠したところで手遅れだろうが、やらずにはいられなかった。

「ハハッ、すげぇエロい身体……痴漢されてこんなんなってるとか、本当に素人かよ」

 犯人の言葉に恥辱が襲うも、尻穴はひくつき中身を漏らしてしまう。力を入れようとしても上手く入らず、ブプッ、ブピッと汚らしい音を上げながら犯された証を便器に垂れ流した。

「もう、撮るなぁ……!」
「だーめ。俺のオカズにすんだから。でも売ったら良い値段になりそうだな」
「ひっ……!」

 そう言いながら犯人は俺の片方の足を持ち上げて尻穴を更に前側に露出させた。そのまま、座位面対位の形で未だ猛ったままの肉棒を突っ込んで来る。
 ぬぷぷっ……と粘着質な音がして簡単に入ってしまう。既に何度も犯されているそこは、すっかり性器に成り果てていた。そしてまたも激しい抽挿が始まるのだ。俺はただ喘ぎながら受け入れることしか出来ない。

 パンパンと肌同士がぶつかり合う音が響く度に俺の口からは甘い悲鳴が上がった。もう声を抑えることも出来ずにいるが、それでも何とか唇を噛み締めて耐えようとするものの無駄だったようですぐに決壊してしまったのは言うまでもないだろう。

「あぁっ!♡ あんっ、んっ♡」
「あーあ、また声出てんじゃん。この淫乱」

 そう言いながら犯人は激しく突いてくる。その度に俺は甲高い声を上げて善がり狂ってしまうのだがどうしても抑えることができない。
もう限界だったようで目の前が真っ白になった瞬間のことだった。ドクンドクンと脈打ちながら熱い飛沫を注がれる感覚があった。

(あ……♡ また中出しされてる……♡)

 そんなことを考える間もなく俺の意識はそこで途切れたのだった。

 パシャッパシャッと遠くで音がしている。
 瞼が酷く重くて堪らなかったが、俺は無理矢理眼を開けた。気を失っていたのは数分で、周囲の風景はあまり変わっていなかった。
 多目的トイレの中、シャツの前を開いてズボンと下着を下ろして便器に座る俺。すっかり緩んでしまった尻穴から白濁液が流れ落ちていた。

 だが違ったのは、犯人がそんな俺の目の前に小さな紙切れを掲げつつスマホを向けていた。パシャッ、という音の意味をようやく理解する。
 それはカメラのシャッター音で、その紙切れはサイズから言って名刺だった。その裏面には覚えがありすぎる。英語表記の名前、会社の名前、電話番号に会社の所在地、URL。

「お、おい、何して……」
「スーツも時計も靴に鞄もぜーんぶ高そうって思ってたら、社長さんだったとはな。それでこんな変態ってマジ?」

 カメラを下ろした犯人が俺の名刺をヒラヒラさせながら嘲笑った。どうしてそれを持っているのかと視界を巡らせると、足元に転がった鞄が目に入る。あの中には確かに名刺入れも入っていた。中身を漁られたのだろう。
 遂に素性まで割れて俺の血の気が引いて行く。こんな姿の写真まで撮られたら終わりだ。週刊誌に持ち込まれでもしたらスキャンダルは免れない。前回はまだ身分や名前までは知られていないという最後の一線があったが、それすらも崩されてしまった。

「……それをどうする気だ」

 俺はもう半分諦めていた。公共の場で変態行為をした俺が悪いのだ。天罰を食らってもおかしくはない。すまない会社のみんな。それだけが心残りだった。
 だが犯人はスマホを顎に当ててどうするか考えているようだった。金でもせびる気だろうか。それでもいい、そのままでも高く買い取る所はありそうだが金で始末出来るなら楽な話だ。本来、今日赴いた理由はそれでもある。

「……なぁ、これ握ってたらもう1回言うこと聞く?」
「まだ何かする気なのか?」
「ああ。自分じゃ出来ねぇってか、他人がやってるの見てぇんだ」
「……な、内容による」

 どういう訳か、俺は金の提案をする前にそう言ってしまった。この男が勿体ぶって言うからにはどうせ淫らなことだろうが、不思議と断りたい気持ちと聞いてみたい気持ちが同居していた。
 犯人はそんな俺を見て口角を上げると、耳元に唇を寄せた。

「それはな——」
「……ッ!」

 告げられた内容にかぁっと顔が熱くなる。
 そんなもの許される筈がない。だが、もしそれをしたら——どれだけの快楽を得られるだろう。
 達し切った俺の身体がヒクンと疼くのを感じる。そんなことしてはいけないと思う程胸が高鳴る。

「……どうだ、やるか?」
「そん、な、こと……」
「少し考える時間をやるよ。やりたくなったらまた来な」

 犯人は脅すようなことは言わなかった。そのまま俺の側から離れて身支度を整える。
 それが逆に腹立たしくもあった。脅迫されていたなら従うしかなかったと言えるのに、自由を与えられたらまるで……自分から欲しがっているようにもなってしまうじゃないか。
 俺はセックスの感覚が残るアナルを抱えながら、仕方無く日常へと戻るのだった。
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