6 / 12
6.乳首責め
しおりを挟む
6日後、俺は久々の休みなのに普段通りの時間に起きていた。
スーツを纏って出掛ける支度をする。憂鬱なのに尻穴だけはヒクついているのが分かって更に心が重くなった。
1週間以内に電車に乗れと痴漢の犯人は言った。もう二度とあんな目には遭いたくないと思う一方で、写真をばら撒かれたら俺は社会的に終わる。数日間考えたが今は従うより他に無かった。
……いや、本当はわかっている。被害を警察か何かに訴えて、約束の場所に行って捕まえればいい。だがそんな通報すらも俺は躊躇した。警察官は守秘義務を守ってくれたとしても、絶対に変な目で見られるに決まっている。そんな屈辱は避けたかった。
だったら自分で何とかするしかない。どうせあんな相手、金には困っているだろうから買い取るなり何なり出来るだろう。俺の輝かしい人生にこれ以上の汚点を付ける訳にはいかない。
だからこれは、交渉に赴くのだ。決して痴漢されに行く訳ではない。
俺は誰に対してでもなく言い訳をしながら家を出た。
駅のホームで電車を待つ。
あのあと数日は下痢が続いて大変だった。尻の中に異物を入れられた所為だろう。今は何とか回復したがあの時の感覚は記憶に新しい。
おまけに今でも排泄をすると快感を得てしまうのは変わらなかった。あの時ほど強烈ではないものの、勃起してしまうこともあり俺は自分の身体が恐ろしくもあった。俺の身体はあいつに作り替えられてしまった。
やって来た電車に乗り込む。今日は土曜日なので平日よりは空いていたものの、それでもかなりの人が乗っていた。子供連れの家族の姿も見え、俺の罪悪感は増した。前と同じドア横の角へ向かうのも一苦労だ。
電車のドアが閉まり、発車する。何食わぬ顔をしつつも俺は緊張していた。痴漢を待っているなんて周囲の人は思いもよらないだろう。
あの男が近くに居るかどうかさり気なく周囲に目を走らせつつ、もし出会えなかったらどうしようと思った。念の為期日に余裕を持たせたが出来れば仕事に影響の出ない今日済ませてしまいたい。
しかしいざその時が来ると、俺は心の平穏を保てなかった。
(……!?)
尻を撫でられた。男の手のひら全体で包み込むように揉まれ、そして次第に強弱を付けながら揉んでくる。遂に来たかと思いつつも、抵抗するのもおかしいし声を出そうにも今更だったしで迷っているうちに手はエスカレートしていた。
尻から太股の付け根辺りまでをゆっくりと往復し始める指先にぞわぞわとしたものが背筋を走るのを感じたがそれでもなお何も言えない。
「よぉ、久し振り。待ってたぜ」
俺の耳元であの低い声が囁く。最早恒例行事となっているかのような言い草に反発したいものの、背後に密着されると身体が熱くなりつつあった。
犯人はまだ硬さは無い腰を俺の尻に押し当てつつ、片手を前に回して俺の太ももの内側を触ってきた。
そして同時に、もう片方の手で胸を掴む。ジャケットの下、ワイシャツ越しに胸筋を揉まれるが俺は生憎女じゃない。
何をしているのかという素直な疑問が浮かんだ。だが、すぐにその疑問は解消された。俺の胸の先端を、服越しに探り当てて爪でカリカリと刺激してきたからだ。
「っ……!?」
(なにしてんだこいつ!?)
俺は思わず声を上げそうになったがそれを必死に飲み込んだ。今ここで声を出したら周囲の人にバレてしまう。それ以上にこんな場所で快感を得てしまっている自分への戸惑いもあった。
そんな俺を嘲笑うかのように犯人は更に刺激を続けた。だが乳首はこれまで自分でも弄ったことはない。男でも性感帯になり得るらしいが半信半疑だった。今は擽ったいような微かに痛いような、そんな感覚しかない。
「乳首は感じねぇのか。じゃあここで開発しような」
犯人は耳元で恐ろしいことを囁き、指を動かし続けた。シャツ越しに胸全体を揉まれ、そして乳輪をなぞられる。その指使いは巧みで、俺の乳首が次第に芯を持ち始めるのを感じると同時に股間にも熱が溜まっていった。
俺はそれを悟られないよう必死に耐えていたがやがて限界が訪れたのか下半身に違和感が生じ始めた。
(やば……勃ってきた……)
だがその勢いはこれまでに比べれば緩慢だ。太腿をスリスリと擦っていた手がもう少し上にくればもっとはっきりとした快感を得られるだろうに、焦らすように竿には触れてこないのがもどかしい。
俺の吐息に徐々に熱がこもって震える。乳首は弄られ過ぎてジンジンしてきていたし、不思議なことにまだ触れられていない反対側にもそれは伝播しつつあった。
(なんだ、これ……♡)
俺が困惑している間も、痴漢の手は止まらない。胸全体を包み込むように揉みつつ乳首を爪で優しく引っ掻かれると頭の中に快楽物質が溢れ出すような錯覚に陥った。
更に足をいやらしく撫でられる度にじわじわとした快感が生まれてくるのだ。俺はその感覚を必死に否定しようとするものの、身体はどんどん昂っていく一方だった。
(あ……っ♡)
やがて太腿から手が離れ、ずっと触れられていなかった方の乳首へと指が伸びる。そして乳輪を優しくなぞり始めた時、俺はとうとう我慢が出来なくなった。
(……っ♡ これ、おかしい……♡)
初めはピリッと電気が走るような微かな感覚だけだったのにいつの間にかその感覚がどんどん強くなっていた。まるで電流を流し込まれているかのようだと思うもそんな訳はない。
ただ俺の身体がおかしくなっているだけだと分かってはいるのだがそれでもなお混乱してしまうのだ。
「どうした?物欲しそうな顔して」
犯人は耳元で囁きながら乳首を摘んできた瞬間だった。ビリリッ!と脳天を突き抜けるような快感が走り、腰が跳ね上がってしまう。
(あっ……♡ これダメだ♡)
俺はようやく悟った。今すぐやめさせないとマズいことになる。この行為を甘く見ていた。
咄嗟に犯人の手を掴むものの、引き剥がそうとする前に犯人は指の腹で乳首をグリグリと捏ねた。その瞬間に再び電撃のような快感が走り、俺はまたも身体を跳ねさせてしまう。
しかも今度はそれだけではなかった。乳首からビリビリとした刺激が全身へ広がっていくようで腰がガクガク震えるのを感じたのだ。
その感覚はまるで亀頭を愛撫された時のようでもあったし、尿道口を穿られる時とも似ていた気がする。それより快感は低いものの、ずっと続けられたらおかしくなることは容易に想像が出来た。
「や、やめて……」
俺はか細い声を漏らしたが、犯人が言うことを聞く筈なかった。むしろ逆効果だったようで今度は乳首を指先でピンッ♡と弾かれた瞬間、全身に電流が走ったかと思う程の衝撃に襲われる。
(お゛っ!?)
俺は慌てて口を噤んだものの遅かったようだ。背後に密着した痴漢には俺が性的な快感を得ていることを悟られてしまったらしい。それを証明するかのように指の動きは更にエスカレートしていく一方である。
爪先でカリカリッと掻いたり摘み上げられたりと様々な方法で俺の両乳首を痛めつけてきたおかげですっかり勃ち上がってしまっているのが自分でも分かるほどだったし、下半身も窮屈になってきてしまっていたのだ。
「なんだ、すげぇ感じてるじゃん。やっぱり自分で弄ってた?」
犯人の揶揄する囁きで強烈な恥辱が襲うも、首を横に振ることしか出来ない。性感帯の開発というのはもっと時間を掛けるものじゃないのか、それとも皆こうなんだろうか。
どちらにせよ、電車の中で乳首を弄られて悶えるのは尋常じゃないということは分かる。俺は手摺りを掴んで必死に理性を保とうとした。
そう、今日はこの男に写真を消すよう交渉しに来たのだ。毅然としなければならない。性器ならまだしも、男が胸を触られたぐらいで動じるなどあってはならない筈なのだ。
(……あっ♡ ああんっ♡ なにこれぇっ♡)
だが犯人は俺の両方の乳首を摘み、引っ張りながら激しく擦る。痛い筈なのにそれ以外の感覚が俺を貫いた。胸はどんどん敏感になっていくようで、乳首から送り込まれる快感によって身体中が火照っていくのを感じる。
己の身体の変化についていけない自分が情けなかったし、こんな場所で完全に発情してしまいかけている自分に困惑せざるを得なかった。
乳首を弄られ続けてもうどれほど経っただろうか? 時間の感覚が麻痺した頃、電車は次の駅に到着する。乗客が乗り降りする間、ようやく犯人は俺の両胸を解放した。俺は安堵して一息吐くも、その直後に愕然とする。
乳首には未だジンジンとした感覚が残っていた。指ではなく服の布地に触れているだけで気になってしまう。下を向くとシャツ越しでも突起が浮かび上がっているのが見えた。
(くそ……恥ずかしい……)
俺は俯いたまま発車を待っていると、再び手が伸びて来て胸全体を揉みしだいてきた。指の付け根で左右の乳首を挟みつつクニクニと押し潰される感覚にまたもや声が出そうになったが何とか堪えた。
俺の股間はパンパンに膨らんで、スラックスにテントを張っていた。触られたいと思うもそんなこと口には出せない。乳首への刺激は気持ち良いが、それだけではどうにも足りないもどかしさがあった。もっと直接的な刺激が欲しいと思ってしまう。
スラックスの中で張り詰めた性器は最早痛い程で、俺は無意識の内に内腿を摺り合わせていた。だがそれも犯人は目敏く気付く。
「チンコ、弄ってほしいのか?」
「……っ♡」
俺の心臓が高らかに跳ねて顔が熱くなる。図星だった。俺は今、乳首を弄られて勃起してしまっている上に更には射精までしたいという浅ましい欲望に支配されている。
だがここで頷く訳には行かないとなけなしのプライドを総動員させて首を左右に振るが犯人はそれを鼻で笑い飛ばしただけだった。
そして俺のワイシャツのボタンを上から数個外す。まさかと思った時には、開いた前から手を突っ込まれて胸に直接触れられた。
「チンコよりこっちの方がいいか」
服の上から触られるのとはまた違う感覚が襲った。生暖かくてゴツゴツした手が俺の胸を這い回る。乳首に爪が立てられ、カリッと引っ掻かれた瞬間に俺は思わず声を漏らしてしまった。
「ンッ……♡」
慌てて口を塞ぐものの時既に遅く。顔が熱くなるのを感じると同時に羞恥心に襲われた。目を固く閉じて身を縮める。周囲を見るのが怖い。気付かれたかどうか確認する勇気も無かった。
だが同時に快感も覚えてしまい困惑するしかない俺をよそに犯人は手を動かし続けた。服の上から触られるよりも数倍気持ち良かったし、何より直接触れられた方がより敏感になってしまうようだ。俺は犯人の手技によって完全に骨抜きにされてしまっていた。
犯人の手つきは巧みだった。まるで女を抱くかのように愛撫してくるものだから堪らない気持ちになる。俺は男だというのに胸を揉まれ、乳首を摘まれる度に甘い吐息を漏らした。
(やば……声出る……♡)
こんな場所で感じているなんて絶対にバレたくないと思うのにどうしても出てしまう。必死に我慢しようとするものの、その度に犯人が責め方を変えてくるからどうしようもなかった。両手で口を塞いでいなかったら周囲にも聞こえていただろう。
ぷっくりと膨れ上がった乳首を見て犯人は笑みを漏らした。その息遣いが耳にかかって背筋がゾクッとした。だが不意にその手が両方共離れて行く。
「乳首、そんなに気持ち良いなら自分でやってみな」
俺は荒い息を吐きながら愕然とした。シャツの襟元を乱し、前を半分程開いた俺は明らかに不穏な何かをされたと分かる格好をしている。その下ではパンパンに膨らんだ乳首が熱を持って存在を主張していた。
ここは電車の中だ。行うべきは服を整えることの方だと辛うじて残る理性が告げている。はしたないことをしてはいけない。そんなことは分かっていた。しかし、それでも俺の手は止まらなかった。
寧ろワイシャツのボタンをひとつずつ外すと先程まで弄られていたせいで赤く色付いた突起が現れる。ツンと上を向いているそれをそっと摘み上げてみた瞬間だった。俺はあまりの快感に耐えきれず思わず喘いでしまう。
「はぁぁ……っ♡」
そんな様子を見て痴漢が笑ったような気がした。そんなことに構っている余裕は無いほど快感に浸っていた俺だったが、そこでハッとする。
慌てて周囲を見渡したのだが幸いにも誰も俺のことなど気にも留めていないようだ。ホッとすると同時に、俺は自分が今どんな状況なのかを改めて認識させられてしまった。
(俺……電車の中でこんな……っ!)
羞恥心で死にたくなるも手は止まらない。それどころか今度は両手で両方の乳首を弄り始める始末だ。親指と人差し指を使ってクリクリと転がすと腰が抜けそうになるほどの快感に襲われた。
同時に股間の疼きが激しくなるのを感じてしまい泣きそうになるがここで止めることなど出来そうにないし何よりこの行為にハマってしまっている俺がいた。
シャツ越しでも分かる程に肥大したそこを指で弾いたり摘んだりしつつ、爪を立てると痛い筈なのに快感が勝ってしまい俺はまたも甘い声を漏らした。
「くぅっ……んっ♡ はぁっ♡」
「あーあ、チクニーにもハマっちゃったか。やっぱあんた、変態の才能あるよ」
犯人はクツクツと笑いながら言うと、俺の太股へ手を滑らせた。そして内腿を撫でる。それすらも今の状態にとっては耐え難い刺激だったし、何よりその手が股間まで伸びてきたらと思うと期待に震えてしまう自分がいた。
だが実際はそうではなく俺の太股を優しく撫で上げただけでまたも離れていってしまった手に俺は落胆の吐息を漏らした。
もっとしてほしいなんて言える筈がないのだがそんな思いとは裏腹に乳首への愛撫は止められなかった。自分で慰めているうちにどんどん快感が増してくる。
(あ……やばい♡)
自分の意思とは関係なく身体が動いてしまいそうになる程の快楽に襲われていたが、背後には犯人の巨軀があり自分から腰を押し付ける形となってしまう。
すぐに動きを止めたが、何もしなければ欲望は急速に募る。俺は唇を噛み締めながら必死に耐えようとしたが無駄だった。
「っふ、んっ……♡ はぁっ……♡」
いつしか自分のものとは思えない程に甘い吐息が出るようになってしまっていることにも気付かず、ただひたすらに胸への刺激を楽しんでいた。
そしてまた次の停車駅のアナウンスが流れた時だった。服越しに股間を優しく揉まれた瞬間の衝撃といったら凄まじく、同時に今まで感じたことの無い程の快楽が全身を走り抜けたものだから思わず仰け反ってしまう。
「ふっぐぅぅっ……♡」
必死に歯を噛み締めて声を殺す。それでも尚手は止まらないどころか激しくなる一方で俺の口からは今にも悲鳴のような声を上げてしまいそうだった。
犯人はカリカリと頂点を引っ掻きながら俺のベルトを外していく。あっという間にスラックスの前が開けられ、今度は下着越しに股間を触られた。既に先走りでびしょ濡れになっていたそこは、少し触れらただけで水音を立てたほどだった。
痴漢の手つきはとてもいやらしかった。ゆっくりとした動きだが確実に俺を高めようとしているのが分かる手付きだ。俺は今にも絶頂を迎えそうになっていた。
「あ゛っ♡ やっ、ダメぇえっ♡」
出来るだけ声を抑えながら訴えたが犯人が応じてくれるわけもない。それどころか更に強く押し潰されてしまい俺はとうとう絶頂を迎えてしまった。
その瞬間、全身がビクビクと痙攣するような感覚に襲われて目の前が真っ白になる。それと同時に下着の中に熱い液体が広がるのを感じた。
「はぁ……っ♡ あっ……♡」
(嘘だろ……また、俺こんな所でイっちまった……)
呆然としながら下を見るとパンツには恥ずかしいシミが広がっていた。そして耳元で犯人が囁く。
「今日もこの後、シてくだろ?」
シャツを乱され、社会の窓を開けられ、電車の中にあるまじき淫らな格好をしている俺はまるでレイプされた後のようだった。だがこの身体は知っている。
この後が本番で、無理矢理ではなく、求めてしまっている。
……いいや違う、これは写真を撮られたから、仕方無く従っているだけだ。俺の方から欲しがっているなんてことは絶対に無い。
だから俺は渋々と頷いた。小さく笑った犯人は、全てに気付いているようだった。
スーツを纏って出掛ける支度をする。憂鬱なのに尻穴だけはヒクついているのが分かって更に心が重くなった。
1週間以内に電車に乗れと痴漢の犯人は言った。もう二度とあんな目には遭いたくないと思う一方で、写真をばら撒かれたら俺は社会的に終わる。数日間考えたが今は従うより他に無かった。
……いや、本当はわかっている。被害を警察か何かに訴えて、約束の場所に行って捕まえればいい。だがそんな通報すらも俺は躊躇した。警察官は守秘義務を守ってくれたとしても、絶対に変な目で見られるに決まっている。そんな屈辱は避けたかった。
だったら自分で何とかするしかない。どうせあんな相手、金には困っているだろうから買い取るなり何なり出来るだろう。俺の輝かしい人生にこれ以上の汚点を付ける訳にはいかない。
だからこれは、交渉に赴くのだ。決して痴漢されに行く訳ではない。
俺は誰に対してでもなく言い訳をしながら家を出た。
駅のホームで電車を待つ。
あのあと数日は下痢が続いて大変だった。尻の中に異物を入れられた所為だろう。今は何とか回復したがあの時の感覚は記憶に新しい。
おまけに今でも排泄をすると快感を得てしまうのは変わらなかった。あの時ほど強烈ではないものの、勃起してしまうこともあり俺は自分の身体が恐ろしくもあった。俺の身体はあいつに作り替えられてしまった。
やって来た電車に乗り込む。今日は土曜日なので平日よりは空いていたものの、それでもかなりの人が乗っていた。子供連れの家族の姿も見え、俺の罪悪感は増した。前と同じドア横の角へ向かうのも一苦労だ。
電車のドアが閉まり、発車する。何食わぬ顔をしつつも俺は緊張していた。痴漢を待っているなんて周囲の人は思いもよらないだろう。
あの男が近くに居るかどうかさり気なく周囲に目を走らせつつ、もし出会えなかったらどうしようと思った。念の為期日に余裕を持たせたが出来れば仕事に影響の出ない今日済ませてしまいたい。
しかしいざその時が来ると、俺は心の平穏を保てなかった。
(……!?)
尻を撫でられた。男の手のひら全体で包み込むように揉まれ、そして次第に強弱を付けながら揉んでくる。遂に来たかと思いつつも、抵抗するのもおかしいし声を出そうにも今更だったしで迷っているうちに手はエスカレートしていた。
尻から太股の付け根辺りまでをゆっくりと往復し始める指先にぞわぞわとしたものが背筋を走るのを感じたがそれでもなお何も言えない。
「よぉ、久し振り。待ってたぜ」
俺の耳元であの低い声が囁く。最早恒例行事となっているかのような言い草に反発したいものの、背後に密着されると身体が熱くなりつつあった。
犯人はまだ硬さは無い腰を俺の尻に押し当てつつ、片手を前に回して俺の太ももの内側を触ってきた。
そして同時に、もう片方の手で胸を掴む。ジャケットの下、ワイシャツ越しに胸筋を揉まれるが俺は生憎女じゃない。
何をしているのかという素直な疑問が浮かんだ。だが、すぐにその疑問は解消された。俺の胸の先端を、服越しに探り当てて爪でカリカリと刺激してきたからだ。
「っ……!?」
(なにしてんだこいつ!?)
俺は思わず声を上げそうになったがそれを必死に飲み込んだ。今ここで声を出したら周囲の人にバレてしまう。それ以上にこんな場所で快感を得てしまっている自分への戸惑いもあった。
そんな俺を嘲笑うかのように犯人は更に刺激を続けた。だが乳首はこれまで自分でも弄ったことはない。男でも性感帯になり得るらしいが半信半疑だった。今は擽ったいような微かに痛いような、そんな感覚しかない。
「乳首は感じねぇのか。じゃあここで開発しような」
犯人は耳元で恐ろしいことを囁き、指を動かし続けた。シャツ越しに胸全体を揉まれ、そして乳輪をなぞられる。その指使いは巧みで、俺の乳首が次第に芯を持ち始めるのを感じると同時に股間にも熱が溜まっていった。
俺はそれを悟られないよう必死に耐えていたがやがて限界が訪れたのか下半身に違和感が生じ始めた。
(やば……勃ってきた……)
だがその勢いはこれまでに比べれば緩慢だ。太腿をスリスリと擦っていた手がもう少し上にくればもっとはっきりとした快感を得られるだろうに、焦らすように竿には触れてこないのがもどかしい。
俺の吐息に徐々に熱がこもって震える。乳首は弄られ過ぎてジンジンしてきていたし、不思議なことにまだ触れられていない反対側にもそれは伝播しつつあった。
(なんだ、これ……♡)
俺が困惑している間も、痴漢の手は止まらない。胸全体を包み込むように揉みつつ乳首を爪で優しく引っ掻かれると頭の中に快楽物質が溢れ出すような錯覚に陥った。
更に足をいやらしく撫でられる度にじわじわとした快感が生まれてくるのだ。俺はその感覚を必死に否定しようとするものの、身体はどんどん昂っていく一方だった。
(あ……っ♡)
やがて太腿から手が離れ、ずっと触れられていなかった方の乳首へと指が伸びる。そして乳輪を優しくなぞり始めた時、俺はとうとう我慢が出来なくなった。
(……っ♡ これ、おかしい……♡)
初めはピリッと電気が走るような微かな感覚だけだったのにいつの間にかその感覚がどんどん強くなっていた。まるで電流を流し込まれているかのようだと思うもそんな訳はない。
ただ俺の身体がおかしくなっているだけだと分かってはいるのだがそれでもなお混乱してしまうのだ。
「どうした?物欲しそうな顔して」
犯人は耳元で囁きながら乳首を摘んできた瞬間だった。ビリリッ!と脳天を突き抜けるような快感が走り、腰が跳ね上がってしまう。
(あっ……♡ これダメだ♡)
俺はようやく悟った。今すぐやめさせないとマズいことになる。この行為を甘く見ていた。
咄嗟に犯人の手を掴むものの、引き剥がそうとする前に犯人は指の腹で乳首をグリグリと捏ねた。その瞬間に再び電撃のような快感が走り、俺はまたも身体を跳ねさせてしまう。
しかも今度はそれだけではなかった。乳首からビリビリとした刺激が全身へ広がっていくようで腰がガクガク震えるのを感じたのだ。
その感覚はまるで亀頭を愛撫された時のようでもあったし、尿道口を穿られる時とも似ていた気がする。それより快感は低いものの、ずっと続けられたらおかしくなることは容易に想像が出来た。
「や、やめて……」
俺はか細い声を漏らしたが、犯人が言うことを聞く筈なかった。むしろ逆効果だったようで今度は乳首を指先でピンッ♡と弾かれた瞬間、全身に電流が走ったかと思う程の衝撃に襲われる。
(お゛っ!?)
俺は慌てて口を噤んだものの遅かったようだ。背後に密着した痴漢には俺が性的な快感を得ていることを悟られてしまったらしい。それを証明するかのように指の動きは更にエスカレートしていく一方である。
爪先でカリカリッと掻いたり摘み上げられたりと様々な方法で俺の両乳首を痛めつけてきたおかげですっかり勃ち上がってしまっているのが自分でも分かるほどだったし、下半身も窮屈になってきてしまっていたのだ。
「なんだ、すげぇ感じてるじゃん。やっぱり自分で弄ってた?」
犯人の揶揄する囁きで強烈な恥辱が襲うも、首を横に振ることしか出来ない。性感帯の開発というのはもっと時間を掛けるものじゃないのか、それとも皆こうなんだろうか。
どちらにせよ、電車の中で乳首を弄られて悶えるのは尋常じゃないということは分かる。俺は手摺りを掴んで必死に理性を保とうとした。
そう、今日はこの男に写真を消すよう交渉しに来たのだ。毅然としなければならない。性器ならまだしも、男が胸を触られたぐらいで動じるなどあってはならない筈なのだ。
(……あっ♡ ああんっ♡ なにこれぇっ♡)
だが犯人は俺の両方の乳首を摘み、引っ張りながら激しく擦る。痛い筈なのにそれ以外の感覚が俺を貫いた。胸はどんどん敏感になっていくようで、乳首から送り込まれる快感によって身体中が火照っていくのを感じる。
己の身体の変化についていけない自分が情けなかったし、こんな場所で完全に発情してしまいかけている自分に困惑せざるを得なかった。
乳首を弄られ続けてもうどれほど経っただろうか? 時間の感覚が麻痺した頃、電車は次の駅に到着する。乗客が乗り降りする間、ようやく犯人は俺の両胸を解放した。俺は安堵して一息吐くも、その直後に愕然とする。
乳首には未だジンジンとした感覚が残っていた。指ではなく服の布地に触れているだけで気になってしまう。下を向くとシャツ越しでも突起が浮かび上がっているのが見えた。
(くそ……恥ずかしい……)
俺は俯いたまま発車を待っていると、再び手が伸びて来て胸全体を揉みしだいてきた。指の付け根で左右の乳首を挟みつつクニクニと押し潰される感覚にまたもや声が出そうになったが何とか堪えた。
俺の股間はパンパンに膨らんで、スラックスにテントを張っていた。触られたいと思うもそんなこと口には出せない。乳首への刺激は気持ち良いが、それだけではどうにも足りないもどかしさがあった。もっと直接的な刺激が欲しいと思ってしまう。
スラックスの中で張り詰めた性器は最早痛い程で、俺は無意識の内に内腿を摺り合わせていた。だがそれも犯人は目敏く気付く。
「チンコ、弄ってほしいのか?」
「……っ♡」
俺の心臓が高らかに跳ねて顔が熱くなる。図星だった。俺は今、乳首を弄られて勃起してしまっている上に更には射精までしたいという浅ましい欲望に支配されている。
だがここで頷く訳には行かないとなけなしのプライドを総動員させて首を左右に振るが犯人はそれを鼻で笑い飛ばしただけだった。
そして俺のワイシャツのボタンを上から数個外す。まさかと思った時には、開いた前から手を突っ込まれて胸に直接触れられた。
「チンコよりこっちの方がいいか」
服の上から触られるのとはまた違う感覚が襲った。生暖かくてゴツゴツした手が俺の胸を這い回る。乳首に爪が立てられ、カリッと引っ掻かれた瞬間に俺は思わず声を漏らしてしまった。
「ンッ……♡」
慌てて口を塞ぐものの時既に遅く。顔が熱くなるのを感じると同時に羞恥心に襲われた。目を固く閉じて身を縮める。周囲を見るのが怖い。気付かれたかどうか確認する勇気も無かった。
だが同時に快感も覚えてしまい困惑するしかない俺をよそに犯人は手を動かし続けた。服の上から触られるよりも数倍気持ち良かったし、何より直接触れられた方がより敏感になってしまうようだ。俺は犯人の手技によって完全に骨抜きにされてしまっていた。
犯人の手つきは巧みだった。まるで女を抱くかのように愛撫してくるものだから堪らない気持ちになる。俺は男だというのに胸を揉まれ、乳首を摘まれる度に甘い吐息を漏らした。
(やば……声出る……♡)
こんな場所で感じているなんて絶対にバレたくないと思うのにどうしても出てしまう。必死に我慢しようとするものの、その度に犯人が責め方を変えてくるからどうしようもなかった。両手で口を塞いでいなかったら周囲にも聞こえていただろう。
ぷっくりと膨れ上がった乳首を見て犯人は笑みを漏らした。その息遣いが耳にかかって背筋がゾクッとした。だが不意にその手が両方共離れて行く。
「乳首、そんなに気持ち良いなら自分でやってみな」
俺は荒い息を吐きながら愕然とした。シャツの襟元を乱し、前を半分程開いた俺は明らかに不穏な何かをされたと分かる格好をしている。その下ではパンパンに膨らんだ乳首が熱を持って存在を主張していた。
ここは電車の中だ。行うべきは服を整えることの方だと辛うじて残る理性が告げている。はしたないことをしてはいけない。そんなことは分かっていた。しかし、それでも俺の手は止まらなかった。
寧ろワイシャツのボタンをひとつずつ外すと先程まで弄られていたせいで赤く色付いた突起が現れる。ツンと上を向いているそれをそっと摘み上げてみた瞬間だった。俺はあまりの快感に耐えきれず思わず喘いでしまう。
「はぁぁ……っ♡」
そんな様子を見て痴漢が笑ったような気がした。そんなことに構っている余裕は無いほど快感に浸っていた俺だったが、そこでハッとする。
慌てて周囲を見渡したのだが幸いにも誰も俺のことなど気にも留めていないようだ。ホッとすると同時に、俺は自分が今どんな状況なのかを改めて認識させられてしまった。
(俺……電車の中でこんな……っ!)
羞恥心で死にたくなるも手は止まらない。それどころか今度は両手で両方の乳首を弄り始める始末だ。親指と人差し指を使ってクリクリと転がすと腰が抜けそうになるほどの快感に襲われた。
同時に股間の疼きが激しくなるのを感じてしまい泣きそうになるがここで止めることなど出来そうにないし何よりこの行為にハマってしまっている俺がいた。
シャツ越しでも分かる程に肥大したそこを指で弾いたり摘んだりしつつ、爪を立てると痛い筈なのに快感が勝ってしまい俺はまたも甘い声を漏らした。
「くぅっ……んっ♡ はぁっ♡」
「あーあ、チクニーにもハマっちゃったか。やっぱあんた、変態の才能あるよ」
犯人はクツクツと笑いながら言うと、俺の太股へ手を滑らせた。そして内腿を撫でる。それすらも今の状態にとっては耐え難い刺激だったし、何よりその手が股間まで伸びてきたらと思うと期待に震えてしまう自分がいた。
だが実際はそうではなく俺の太股を優しく撫で上げただけでまたも離れていってしまった手に俺は落胆の吐息を漏らした。
もっとしてほしいなんて言える筈がないのだがそんな思いとは裏腹に乳首への愛撫は止められなかった。自分で慰めているうちにどんどん快感が増してくる。
(あ……やばい♡)
自分の意思とは関係なく身体が動いてしまいそうになる程の快楽に襲われていたが、背後には犯人の巨軀があり自分から腰を押し付ける形となってしまう。
すぐに動きを止めたが、何もしなければ欲望は急速に募る。俺は唇を噛み締めながら必死に耐えようとしたが無駄だった。
「っふ、んっ……♡ はぁっ……♡」
いつしか自分のものとは思えない程に甘い吐息が出るようになってしまっていることにも気付かず、ただひたすらに胸への刺激を楽しんでいた。
そしてまた次の停車駅のアナウンスが流れた時だった。服越しに股間を優しく揉まれた瞬間の衝撃といったら凄まじく、同時に今まで感じたことの無い程の快楽が全身を走り抜けたものだから思わず仰け反ってしまう。
「ふっぐぅぅっ……♡」
必死に歯を噛み締めて声を殺す。それでも尚手は止まらないどころか激しくなる一方で俺の口からは今にも悲鳴のような声を上げてしまいそうだった。
犯人はカリカリと頂点を引っ掻きながら俺のベルトを外していく。あっという間にスラックスの前が開けられ、今度は下着越しに股間を触られた。既に先走りでびしょ濡れになっていたそこは、少し触れらただけで水音を立てたほどだった。
痴漢の手つきはとてもいやらしかった。ゆっくりとした動きだが確実に俺を高めようとしているのが分かる手付きだ。俺は今にも絶頂を迎えそうになっていた。
「あ゛っ♡ やっ、ダメぇえっ♡」
出来るだけ声を抑えながら訴えたが犯人が応じてくれるわけもない。それどころか更に強く押し潰されてしまい俺はとうとう絶頂を迎えてしまった。
その瞬間、全身がビクビクと痙攣するような感覚に襲われて目の前が真っ白になる。それと同時に下着の中に熱い液体が広がるのを感じた。
「はぁ……っ♡ あっ……♡」
(嘘だろ……また、俺こんな所でイっちまった……)
呆然としながら下を見るとパンツには恥ずかしいシミが広がっていた。そして耳元で犯人が囁く。
「今日もこの後、シてくだろ?」
シャツを乱され、社会の窓を開けられ、電車の中にあるまじき淫らな格好をしている俺はまるでレイプされた後のようだった。だがこの身体は知っている。
この後が本番で、無理矢理ではなく、求めてしまっている。
……いいや違う、これは写真を撮られたから、仕方無く従っているだけだ。俺の方から欲しがっているなんてことは絶対に無い。
だから俺は渋々と頷いた。小さく笑った犯人は、全てに気付いているようだった。
33
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる