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4.自慰
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「……大丈夫ですか? 分かりますか?」
遠くで誰かの声がした。俺は眼を開けたくない。とても疲れていて眠っていたかった。
だが声は何度も繰り返され、身体が揺さぶられる。聞き覚えのある青年の声だった。あまりにしつこいので仕方無く眼を開ける。それと同時に一気に意識が覚醒し、全身の感覚が戻って来た。
「う……!」
「良かった、目が覚めたんですね!」
俺を覗き込んでいたのは、前回ダンジョンの出口付近で遭遇した駆け出しの冒険者パーティの1人である戦士風の青年だった。本気で俺を気遣っていたのだろう、安堵の微笑みを浮かべるその顔からは見るからにお人好しそうな雰囲気が感じられる。
だが俺が思い出したのは以前下痢を垂れ流しているのを見られてしまったという苦い記憶と、現状の痴態だった。俺の股間には彼らが気遣ったのだろう、タオルで目隠しはされているが尻の下には漏らした精液が広がっていた。腹はまだ少し膨らんだままで、身体中の精液は多少拭いてくれたようだが各所に拭い切れなかった分が残っている。
蛇に犯され尽くされていた俺を見て新人はどう思ったのだろう。無様すぎて死にたくなる俺を、突然強烈な排泄欲が襲った。
「はっ、あ……ああっ!」
グギュゥウウーッ! ビヂィイイーッ!! ブリッブリィイイッ!! ビュルルルーッ!!
瞬く間に大量の白濁液が尻の下に飛び散る。俺は数秒たりとも我慢することが出来ず、恥ずかしげもなく排泄してしまっていた。アナルは最早開きっぱなしだった。
先程あれだけの大蛇に中出しされたのだ、当然である。しかも止まらない。尻から漏れ出す勢いは増す一方で、俺の腹からはゴロゴロと嫌な音がしていた。腸内に溜まった精液を全て排出するまで止まることはないのだろうと直感的に悟った。
新人は呆然としていたが、やがて我に返ると俺の身体を抱き抱えるようにして支えてくれた。そして優しく背中を摩ってくれる。その温もりが心地良くて、俺は思わず彼の胸に顔を埋めてしまった。
だがそれも束の間のこと。俺の腹がまたも激しく鳴り出し、耐えようのない便意が襲う。
「あ、あっ……出るっ!!」
ブビュルルルルーッ!! ブリュリュリューーッ!! ブリリリリリリィーーッ!!
俺は新人にしがみついたまま漏らしに漏らした。既に俺の尻穴は蛇のペニスで拡張されている為か、大蛇の精液を簡単に排泄してしまう。その快感たるや凄まじく、俺はそれだけでドライオーガズムを迎えていた。
新人はそんな俺を優しく抱き締めてくれていた。彼の体温が伝わってくるようで心地良い。だが同時に羞恥心も芽生えてきた。こんな姿を見られたくないという気持ちが湧き上がってきたのだが、喉が掠れてそれを口に出すことも出来ない。
俺の様子に気付いたパーティメンバー達が近寄って来る気配があった。だが白濁液を噴き出している様子に臆したか、すぐ側まで来たのは神官の少女だけだった。
靴が汚れるのも気にせず俺達の前へ来ると杖を振って治癒魔術を掛ける。使い過ぎた肛門のヒリヒリとした痛みが緩和し、少しだけ排泄の勢いが弱まるも出続けることに代わりは無かった。
「全部出したいですよね……大丈夫ですよ。そのままで」
戦士の若者はそう言って俺の膨れた腹を撫でた。俺はお言葉に甘えてその中身の排出を続ける。円を描くように触れる手は温かく心地良かった。
だが俺は同時に、掛けていたタオルが少しずれて俺の下腹の肌が見えた。そこには前回よりも色や輪郭がはっきりとした淫紋が浮かび上がっていた。進行していると直感して俺は恐れ慄いた。
こんなことをしていてはいけない。俺はそう思ったが、今の欲求には逆らえずただ若者に縋り付いていた。
***
時間を掛けて腹の中を空にした後、俺はパーティに助けられる形でダンジョンを脱出して冒険者の宿へ戻った。
ダンジョン攻略狂いの事実上の敗北はギルドでちょっとした噂になった。一体何にやられたんだ、そんなに恐ろしいモンスターが居るのかと騒然となったが、俺を助けた若者達は詳細は伏せてくれていた。蛇に犯されて精液塗れで転がっていたなんて情報が流れたらギルドに居られなくなるところだった。
だがパーティは自分達には何があったか説明してほしいと俺に言った。それは無理も無い話だし、恩もある以上隠しておくのは無礼だろう。
俺は宿の一室にパーティメンバーを集めると事情を語った。恥ずかしいことは間違い無いのだが勇気を出した。軽蔑されることも覚悟の上だ。
「邪神と思しきものから力を授かった後、モンスターに犯されるようになった……と」
「そうだ。おかしな話だと思うかもしれないが、本当なんだ」
冒険者達は顔を見合わせたり、怪訝そうに考え込んだりしていた。俺だったら正直与太話だと思って笑い飛ばすだろう。信じられなくてもおかしくはない。何なら俺だって信じたくはないのだ。
だがこの身に刻み付けられた快感の記憶が本当のことだと告げている。あの甘く狂おしい感覚は思い出すだけで身震いする程だ。
あの行為で俺は確かに快楽を得ていた。それは否定しようのない事実である。
「成程……貴方が大変な目に遭ったことは分かりました」
俺の話を一通り聞いた後でもパーティメンバー達は半信半疑といった様子だったが、それでも一応信じてくれるようだった。俺が嘘をついていないことを感じ取ったのだろうと思う。だが同時に彼らは困惑していた。無理もないだろう。
「でもさ、これからどうするんだよ。そんな状態でダンジョンに行くの、自殺行為じゃね?」
「今回は私達が通り掛かったから助けられたけど、次に同じことがあったら貴方、他のモンスターに食べられちゃってたかもよ?」
斥候と魔術師が問い掛ける。確かにその通りだ。幸いダンジョンの外では変化は無いようだから、あそこに足を踏み入れないというのが一番だろう。
「……でも俺は、ずっとダンジョン攻略で食ってきた。他に何が出来るか分からないんだ。だが迷惑も掛けたくない。……少し考えてみる」
俺は正直な気持ちを告げた。側から見れば何を甘いことをと言われるかもしれない。だが俺はずっとダンジョン攻略が生き甲斐だった。こんな状況でさえ、俺はダンジョンに心惹かれていたのだ。
「……分かりました。僕達ももう少しあのダンジョンを見て回るつもりなので、何か助けになれることがあったら言って下さい。こうなったのも何かの縁です」
若者達は少々呆れた顔をした者も居たが、俺の気持ちを汲んでくれたようだった。
そもそもそこまで口出しする程の関係ではないというのも確かだ。だがリーダーの戦士はやはりお人好しのようで、真剣な表情で言った後にこりと笑った。
後ろでは仲間達がまたかと言わんばかりに肩を竦めたり微笑んだりしている。だが何も言われない辺り信用はされているのだろう。
「ありがとう」
俺はその優しさと若い真っ直ぐさに心を打たれ、自然と握手を交わしていた。だが手がぎゅっと握られた瞬間、俺の尻穴や腹の奥がキュンと切なく締まった。
——この青年のペニスはどんな大きさでどんな形をしていて、どんな風に、どんな顔で俺を犯すのだろう。
たった一瞬、無意識に俺はそんなことを考えてしまった。いけないと思って慌てて手を離す。青年は小さく首を傾げたが特に追及はしなかった。
「では、疲れてるでしょうし僕達はこれで失礼します」
「ちゃんと休むんだぜオッサン」
「お腹のお薬、ここに置いておきますね」
各々好きな言葉を残して冒険者達は俺の部屋を出て行った。俺はそれを見送った後、打ちのめされたようにベッドに倒れ伏した。
何故あんなことを考えてしまったのだろう。彼らは俺を助けてくれたのに。いけないと思っても、眼を瞑ると先程の青年の顔が浮かぶ。何なら他のパーティメンバーですら、脳裏に浮かべるとすぐに俺の身体を愛撫する想像をしてしまう。
「っ……くそ……!」
平時でさえこんなことを考えてしまうなんて、俺は本当に壊れてしまったのかもしれない。必死で振り払おうとすればする程、青年の甘い声を思い浮かべてしまう。下腹部が切なく疼いて止まらない。
俺は身体の火照りに耐えきれず、パンツに手を突っ込むとアナルに手を這わせた。既にそこは柔らかく解れていて、雄を求めヒクついていた。
(あぁ……♡ 俺、期待しているのか……?)
自分の浅ましい欲望を自覚して更に身体が熱くなった。いけないと思う理性と欲しいと思う本能がぶつかり合い、膨らんだ尻穴の縁を指でなぞるのをやめられない。だがここで指を突き入れてしまったら本当に止まれなくなる自覚があった。
俺は暫く悩みながら冒険者達の出て行った扉に視線を向けつつ、尻穴に指を這わしていた。先程よりも敏感になっているのかそれだけでも興奮してしまう自分が情けないが止められない。そしてそんな自分を責めるような思考回路すらも快感へ変わっていくのだ。
(こんな姿……あいつらに見られたら幻滅されるだろうな)
脳裏に浮かぶのはあの青年の姿だった。彼は今何をしているのだろう。俺のことをどう思っているのだろうか。パーティメンバーの中に好きな子が居るのだろうか。
そんなことを考えているとまた腹の奥がきゅんと疼いた気がした。だがそこで俺はハッと我に返り、慌てて指を離した。
(何を考えているんだ……)
俺は自分の思考回路が信じられなかった。相手は年下の青年で、俺よりも若くて将来性がある冒険者だ。そんな彼に対してこんな劣情を抱くなんてどうかしているとしか思えないし、そもそも彼は俺の恩人なのだ。そんな相手に邪な感情を抱くなど言語道断だろう。
しかし一度意識してしまうともう駄目だった。俺は自分が勃起していることに気付いた。このままでは眠れそうもない。
俺は震える手でズボンを脱ぐと、尻を高く上げるような格好をした。再度恐る恐る尻穴に指を這わせ、無意識にこちらを使おうとしていることに気付いて再度絶望する。ペニスを弄るよりアナルの方がいいと身体に刻み込まれてしまっている証拠だった。
(あぁ……ダメだ……♡ でももう我慢できない♡)
俺は耐え切れず、ゆっくりと尻穴に指を挿入していった。中は既に柔らかく蕩けていて、少し動かすだけで快感が走るほどだった。だがそれでもまだ物足りない気がして、更に激しく指を動かす。
グチュッグチャッ! ズブブッ!! ジュプゥウウッ!!
卑猥な音が部屋中に響き渡る。その音を聞くだけで興奮が増していくようで、俺は夢中で手を動かした。
最早我慢の限界だった。早くこの疼きを鎮めたい。あの青年に犯されたい。そんな思いに支配されるまま、俺は空いた方の手で自らのペニスを扱いた。既に勃起しているそれは少し触れただけでも十分な快感を生み、あっという間に上り詰めてしまいそうになる。
こんな俺を見て彼らはきっと軽蔑するだろう。気色悪いと嫌悪感を露わにするかもしれない。あのお人好しの青年でさえも顔を顰めるだろうか。どういう訳か、俺はそうされたいと願い、無意識にそのシーンを妄想していた。
『貴方の手助けをするとは言いましたが、こんなことをさせるなんて……最低ですね』
そう吐き捨てるように言いながら彼は勃起しきったペニスで俺の尻を容赦無く掘り進める。あり得ないのに声が聞こえた気がして手を動かす速度を早めた。
「うぅ……もっと罵ってぇ……♡」
俺の口からは媚びるような声が零れる。尻穴の襞が指に吸い付くように蠢くのを感じた。まるで喜んでいるかのように蠢き続けるそこは、もう完全に雄を喜ばせるための器官へと変貌していた。
自分の浅ましさに嫌気が差しつつも手を動かし続けた。俺は自分にこんなにも被虐嗜好があったことも知らなかった。だが俺がそうして自慰に耽っている最中も、頭の中は妄想で埋め尽くされていた。
あの青年が俺を罵りながら犯す姿ばかりが浮かんでくるのだ。俺は想像の中の彼に媚びるように尻穴を締め付け、前立腺を押し潰すように指を動かし続けた。
『こんなことばっかりしたがって……淫乱の変態め!』
「ごめ、なさい……お尻で気持ち良くなってごめんなさい……♡」
グチュッ!グチョッ!ヌチャァッ!!
激しい水音と自分の荒い呼吸音が耳に入る度に興奮が増していく。もう限界だった。早く絶頂を迎えたいという思いから自然と手の動きが速くなる。
そしてとうとうその時が訪れた。目の前が真っ白になり、全身が痙攣するような感覚に襲われる。だが俺はそれでも手を止めなかった。寧ろ更に激しく指を動かして快楽に没頭する。
ドピュルルルーーッ!! ビュククッ! ビュウウーッ!!!
(あぁ……♡ 俺って最低だ……♡)
勢い良く放たれた精液はそのままシャワーのように身体を汚した。その生暖かい感触と青臭い匂いを感じながら、俺の意識は遠のいていった。
遠くで誰かの声がした。俺は眼を開けたくない。とても疲れていて眠っていたかった。
だが声は何度も繰り返され、身体が揺さぶられる。聞き覚えのある青年の声だった。あまりにしつこいので仕方無く眼を開ける。それと同時に一気に意識が覚醒し、全身の感覚が戻って来た。
「う……!」
「良かった、目が覚めたんですね!」
俺を覗き込んでいたのは、前回ダンジョンの出口付近で遭遇した駆け出しの冒険者パーティの1人である戦士風の青年だった。本気で俺を気遣っていたのだろう、安堵の微笑みを浮かべるその顔からは見るからにお人好しそうな雰囲気が感じられる。
だが俺が思い出したのは以前下痢を垂れ流しているのを見られてしまったという苦い記憶と、現状の痴態だった。俺の股間には彼らが気遣ったのだろう、タオルで目隠しはされているが尻の下には漏らした精液が広がっていた。腹はまだ少し膨らんだままで、身体中の精液は多少拭いてくれたようだが各所に拭い切れなかった分が残っている。
蛇に犯され尽くされていた俺を見て新人はどう思ったのだろう。無様すぎて死にたくなる俺を、突然強烈な排泄欲が襲った。
「はっ、あ……ああっ!」
グギュゥウウーッ! ビヂィイイーッ!! ブリッブリィイイッ!! ビュルルルーッ!!
瞬く間に大量の白濁液が尻の下に飛び散る。俺は数秒たりとも我慢することが出来ず、恥ずかしげもなく排泄してしまっていた。アナルは最早開きっぱなしだった。
先程あれだけの大蛇に中出しされたのだ、当然である。しかも止まらない。尻から漏れ出す勢いは増す一方で、俺の腹からはゴロゴロと嫌な音がしていた。腸内に溜まった精液を全て排出するまで止まることはないのだろうと直感的に悟った。
新人は呆然としていたが、やがて我に返ると俺の身体を抱き抱えるようにして支えてくれた。そして優しく背中を摩ってくれる。その温もりが心地良くて、俺は思わず彼の胸に顔を埋めてしまった。
だがそれも束の間のこと。俺の腹がまたも激しく鳴り出し、耐えようのない便意が襲う。
「あ、あっ……出るっ!!」
ブビュルルルルーッ!! ブリュリュリューーッ!! ブリリリリリリィーーッ!!
俺は新人にしがみついたまま漏らしに漏らした。既に俺の尻穴は蛇のペニスで拡張されている為か、大蛇の精液を簡単に排泄してしまう。その快感たるや凄まじく、俺はそれだけでドライオーガズムを迎えていた。
新人はそんな俺を優しく抱き締めてくれていた。彼の体温が伝わってくるようで心地良い。だが同時に羞恥心も芽生えてきた。こんな姿を見られたくないという気持ちが湧き上がってきたのだが、喉が掠れてそれを口に出すことも出来ない。
俺の様子に気付いたパーティメンバー達が近寄って来る気配があった。だが白濁液を噴き出している様子に臆したか、すぐ側まで来たのは神官の少女だけだった。
靴が汚れるのも気にせず俺達の前へ来ると杖を振って治癒魔術を掛ける。使い過ぎた肛門のヒリヒリとした痛みが緩和し、少しだけ排泄の勢いが弱まるも出続けることに代わりは無かった。
「全部出したいですよね……大丈夫ですよ。そのままで」
戦士の若者はそう言って俺の膨れた腹を撫でた。俺はお言葉に甘えてその中身の排出を続ける。円を描くように触れる手は温かく心地良かった。
だが俺は同時に、掛けていたタオルが少しずれて俺の下腹の肌が見えた。そこには前回よりも色や輪郭がはっきりとした淫紋が浮かび上がっていた。進行していると直感して俺は恐れ慄いた。
こんなことをしていてはいけない。俺はそう思ったが、今の欲求には逆らえずただ若者に縋り付いていた。
***
時間を掛けて腹の中を空にした後、俺はパーティに助けられる形でダンジョンを脱出して冒険者の宿へ戻った。
ダンジョン攻略狂いの事実上の敗北はギルドでちょっとした噂になった。一体何にやられたんだ、そんなに恐ろしいモンスターが居るのかと騒然となったが、俺を助けた若者達は詳細は伏せてくれていた。蛇に犯されて精液塗れで転がっていたなんて情報が流れたらギルドに居られなくなるところだった。
だがパーティは自分達には何があったか説明してほしいと俺に言った。それは無理も無い話だし、恩もある以上隠しておくのは無礼だろう。
俺は宿の一室にパーティメンバーを集めると事情を語った。恥ずかしいことは間違い無いのだが勇気を出した。軽蔑されることも覚悟の上だ。
「邪神と思しきものから力を授かった後、モンスターに犯されるようになった……と」
「そうだ。おかしな話だと思うかもしれないが、本当なんだ」
冒険者達は顔を見合わせたり、怪訝そうに考え込んだりしていた。俺だったら正直与太話だと思って笑い飛ばすだろう。信じられなくてもおかしくはない。何なら俺だって信じたくはないのだ。
だがこの身に刻み付けられた快感の記憶が本当のことだと告げている。あの甘く狂おしい感覚は思い出すだけで身震いする程だ。
あの行為で俺は確かに快楽を得ていた。それは否定しようのない事実である。
「成程……貴方が大変な目に遭ったことは分かりました」
俺の話を一通り聞いた後でもパーティメンバー達は半信半疑といった様子だったが、それでも一応信じてくれるようだった。俺が嘘をついていないことを感じ取ったのだろうと思う。だが同時に彼らは困惑していた。無理もないだろう。
「でもさ、これからどうするんだよ。そんな状態でダンジョンに行くの、自殺行為じゃね?」
「今回は私達が通り掛かったから助けられたけど、次に同じことがあったら貴方、他のモンスターに食べられちゃってたかもよ?」
斥候と魔術師が問い掛ける。確かにその通りだ。幸いダンジョンの外では変化は無いようだから、あそこに足を踏み入れないというのが一番だろう。
「……でも俺は、ずっとダンジョン攻略で食ってきた。他に何が出来るか分からないんだ。だが迷惑も掛けたくない。……少し考えてみる」
俺は正直な気持ちを告げた。側から見れば何を甘いことをと言われるかもしれない。だが俺はずっとダンジョン攻略が生き甲斐だった。こんな状況でさえ、俺はダンジョンに心惹かれていたのだ。
「……分かりました。僕達ももう少しあのダンジョンを見て回るつもりなので、何か助けになれることがあったら言って下さい。こうなったのも何かの縁です」
若者達は少々呆れた顔をした者も居たが、俺の気持ちを汲んでくれたようだった。
そもそもそこまで口出しする程の関係ではないというのも確かだ。だがリーダーの戦士はやはりお人好しのようで、真剣な表情で言った後にこりと笑った。
後ろでは仲間達がまたかと言わんばかりに肩を竦めたり微笑んだりしている。だが何も言われない辺り信用はされているのだろう。
「ありがとう」
俺はその優しさと若い真っ直ぐさに心を打たれ、自然と握手を交わしていた。だが手がぎゅっと握られた瞬間、俺の尻穴や腹の奥がキュンと切なく締まった。
——この青年のペニスはどんな大きさでどんな形をしていて、どんな風に、どんな顔で俺を犯すのだろう。
たった一瞬、無意識に俺はそんなことを考えてしまった。いけないと思って慌てて手を離す。青年は小さく首を傾げたが特に追及はしなかった。
「では、疲れてるでしょうし僕達はこれで失礼します」
「ちゃんと休むんだぜオッサン」
「お腹のお薬、ここに置いておきますね」
各々好きな言葉を残して冒険者達は俺の部屋を出て行った。俺はそれを見送った後、打ちのめされたようにベッドに倒れ伏した。
何故あんなことを考えてしまったのだろう。彼らは俺を助けてくれたのに。いけないと思っても、眼を瞑ると先程の青年の顔が浮かぶ。何なら他のパーティメンバーですら、脳裏に浮かべるとすぐに俺の身体を愛撫する想像をしてしまう。
「っ……くそ……!」
平時でさえこんなことを考えてしまうなんて、俺は本当に壊れてしまったのかもしれない。必死で振り払おうとすればする程、青年の甘い声を思い浮かべてしまう。下腹部が切なく疼いて止まらない。
俺は身体の火照りに耐えきれず、パンツに手を突っ込むとアナルに手を這わせた。既にそこは柔らかく解れていて、雄を求めヒクついていた。
(あぁ……♡ 俺、期待しているのか……?)
自分の浅ましい欲望を自覚して更に身体が熱くなった。いけないと思う理性と欲しいと思う本能がぶつかり合い、膨らんだ尻穴の縁を指でなぞるのをやめられない。だがここで指を突き入れてしまったら本当に止まれなくなる自覚があった。
俺は暫く悩みながら冒険者達の出て行った扉に視線を向けつつ、尻穴に指を這わしていた。先程よりも敏感になっているのかそれだけでも興奮してしまう自分が情けないが止められない。そしてそんな自分を責めるような思考回路すらも快感へ変わっていくのだ。
(こんな姿……あいつらに見られたら幻滅されるだろうな)
脳裏に浮かぶのはあの青年の姿だった。彼は今何をしているのだろう。俺のことをどう思っているのだろうか。パーティメンバーの中に好きな子が居るのだろうか。
そんなことを考えているとまた腹の奥がきゅんと疼いた気がした。だがそこで俺はハッと我に返り、慌てて指を離した。
(何を考えているんだ……)
俺は自分の思考回路が信じられなかった。相手は年下の青年で、俺よりも若くて将来性がある冒険者だ。そんな彼に対してこんな劣情を抱くなんてどうかしているとしか思えないし、そもそも彼は俺の恩人なのだ。そんな相手に邪な感情を抱くなど言語道断だろう。
しかし一度意識してしまうともう駄目だった。俺は自分が勃起していることに気付いた。このままでは眠れそうもない。
俺は震える手でズボンを脱ぐと、尻を高く上げるような格好をした。再度恐る恐る尻穴に指を這わせ、無意識にこちらを使おうとしていることに気付いて再度絶望する。ペニスを弄るよりアナルの方がいいと身体に刻み込まれてしまっている証拠だった。
(あぁ……ダメだ……♡ でももう我慢できない♡)
俺は耐え切れず、ゆっくりと尻穴に指を挿入していった。中は既に柔らかく蕩けていて、少し動かすだけで快感が走るほどだった。だがそれでもまだ物足りない気がして、更に激しく指を動かす。
グチュッグチャッ! ズブブッ!! ジュプゥウウッ!!
卑猥な音が部屋中に響き渡る。その音を聞くだけで興奮が増していくようで、俺は夢中で手を動かした。
最早我慢の限界だった。早くこの疼きを鎮めたい。あの青年に犯されたい。そんな思いに支配されるまま、俺は空いた方の手で自らのペニスを扱いた。既に勃起しているそれは少し触れただけでも十分な快感を生み、あっという間に上り詰めてしまいそうになる。
こんな俺を見て彼らはきっと軽蔑するだろう。気色悪いと嫌悪感を露わにするかもしれない。あのお人好しの青年でさえも顔を顰めるだろうか。どういう訳か、俺はそうされたいと願い、無意識にそのシーンを妄想していた。
『貴方の手助けをするとは言いましたが、こんなことをさせるなんて……最低ですね』
そう吐き捨てるように言いながら彼は勃起しきったペニスで俺の尻を容赦無く掘り進める。あり得ないのに声が聞こえた気がして手を動かす速度を早めた。
「うぅ……もっと罵ってぇ……♡」
俺の口からは媚びるような声が零れる。尻穴の襞が指に吸い付くように蠢くのを感じた。まるで喜んでいるかのように蠢き続けるそこは、もう完全に雄を喜ばせるための器官へと変貌していた。
自分の浅ましさに嫌気が差しつつも手を動かし続けた。俺は自分にこんなにも被虐嗜好があったことも知らなかった。だが俺がそうして自慰に耽っている最中も、頭の中は妄想で埋め尽くされていた。
あの青年が俺を罵りながら犯す姿ばかりが浮かんでくるのだ。俺は想像の中の彼に媚びるように尻穴を締め付け、前立腺を押し潰すように指を動かし続けた。
『こんなことばっかりしたがって……淫乱の変態め!』
「ごめ、なさい……お尻で気持ち良くなってごめんなさい……♡」
グチュッ!グチョッ!ヌチャァッ!!
激しい水音と自分の荒い呼吸音が耳に入る度に興奮が増していく。もう限界だった。早く絶頂を迎えたいという思いから自然と手の動きが速くなる。
そしてとうとうその時が訪れた。目の前が真っ白になり、全身が痙攣するような感覚に襲われる。だが俺はそれでも手を止めなかった。寧ろ更に激しく指を動かして快楽に没頭する。
ドピュルルルーーッ!! ビュククッ! ビュウウーッ!!!
(あぁ……♡ 俺って最低だ……♡)
勢い良く放たれた精液はそのままシャワーのように身体を汚した。その生暖かい感触と青臭い匂いを感じながら、俺の意識は遠のいていった。
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