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第15話 コールサイン「無策」
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「始め!」
4日間にも及ぶ魔物の大量発生は王国騎士団によって沈静化され、オーム領警備隊共に死者は出なかった――と、そんな吉報を聞くことができたのはわずか10分前のこと。父さんがわざわざ試験会場まで来て教えてくれた。
これでひとまず安心の僕は、記述試験に集中する。ひと月の間に副隊長からみっちり仕込まれたのだから、今日はそれを存分に発揮すれば良いだけ。案の定、問題はどれも予習したものばかりでスラスラと筆が進む。
「そこまで」
試験時間2時間の内、半分以上は睡魔との戦いだった。見直しを何度も何度も繰り返しては飽きるのも無理はない。
続いては屋外の訓練場へ出ての体力試験だ。基礎的な体力に加え、持っている者は自己申告制で魔力の属性を計測する。属性は大まかに【火】【水】【土】【光】【闇】に分かれている。では、何を計測するのか。簡単に言うと“どの属性が得意か”を見極めるのだ。
僕にはそこまで魔力は無いので今回は魔力測定には参加しなかったが。
*****
名前:バルト・クラスト
年齢:10
レベル:1
腕力:25
器用:25
頑丈:25
俊敏:30
魔力:15
知力:30
運:20
スキル【普通】
*****
元々は人並みのステータスだったが、隊長との訓練でそれぞれ10くらいずつアップしている。俊敏に関しては2倍だ。
「なんというか……平均的だな」
試験官は苦笑いを浮かべていたが関係ない。あれだけ多くの人にお世話になったのだ。僕はこの超平均的なステータスで必ず騎士団に入ってみせる。
次は【実践的模擬剣闘試験】だ。長ったらしい名称だが戦争練習といえば早い。
その名の通り実践に則した形でA、Bチームに分かれて模擬戦を行い、勝利またはその戦況が有利であり、更には秀でた活躍をした者が試験結果に優位というわけだ。チームとして勝つことはもちろん、個人としても何か結果を出さなければならない。
公平を期するため班分けはクジで行われる。それぞれが指定された場所に集められ、顔合わせと作戦会議が始まる。
「よろしく。僕は――」
Aチームに入り最初に声を出したのは僕とそう変わらない年代の少年。しかし、彼の勇気は悉く粉砕された。
「自己紹介なんていつでもできんだろうが。早く作戦を考えるぞ」
「あ、はい、すみません……」
これぞ熱血系といった雰囲気の青年にたじろぐ少年。これはチーム戦であるが、あくまでも試験は個人戦。むやみに仲良くなる必要は無いのかもしれない。
ピリピリとした雰囲気の中、作戦が練られる。
「10対15か……」
「こちらの方が若干少ないんだよね」
状況はこちらが少々不利。戦場に設定されている訓練場は小高い丘を挟んで向こう側がBチームの本陣。周りには石壁が積まれて、そこから出ても死亡判定となる。
「まずは君たちの得意を知る必要がある」
「ステータスは個人情報だ。初対面の相手に教えてくれたぁ無理な話だ」
「こちらから石壁伝いに数名を置いて――」
「それだとこちらが手薄になる。数が少ないのだから分裂するのは良くない」
試験が始まるまでの1時間、こんな調子でそれぞれの意見が拮抗した結果、ようやく作戦が決まった。
「おりゃああああ!」
「喰らえええ!」
「うおオオオオオオオオ」
作戦名『当たって砕けろ』
4日間にも及ぶ魔物の大量発生は王国騎士団によって沈静化され、オーム領警備隊共に死者は出なかった――と、そんな吉報を聞くことができたのはわずか10分前のこと。父さんがわざわざ試験会場まで来て教えてくれた。
これでひとまず安心の僕は、記述試験に集中する。ひと月の間に副隊長からみっちり仕込まれたのだから、今日はそれを存分に発揮すれば良いだけ。案の定、問題はどれも予習したものばかりでスラスラと筆が進む。
「そこまで」
試験時間2時間の内、半分以上は睡魔との戦いだった。見直しを何度も何度も繰り返しては飽きるのも無理はない。
続いては屋外の訓練場へ出ての体力試験だ。基礎的な体力に加え、持っている者は自己申告制で魔力の属性を計測する。属性は大まかに【火】【水】【土】【光】【闇】に分かれている。では、何を計測するのか。簡単に言うと“どの属性が得意か”を見極めるのだ。
僕にはそこまで魔力は無いので今回は魔力測定には参加しなかったが。
*****
名前:バルト・クラスト
年齢:10
レベル:1
腕力:25
器用:25
頑丈:25
俊敏:30
魔力:15
知力:30
運:20
スキル【普通】
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元々は人並みのステータスだったが、隊長との訓練でそれぞれ10くらいずつアップしている。俊敏に関しては2倍だ。
「なんというか……平均的だな」
試験官は苦笑いを浮かべていたが関係ない。あれだけ多くの人にお世話になったのだ。僕はこの超平均的なステータスで必ず騎士団に入ってみせる。
次は【実践的模擬剣闘試験】だ。長ったらしい名称だが戦争練習といえば早い。
その名の通り実践に則した形でA、Bチームに分かれて模擬戦を行い、勝利またはその戦況が有利であり、更には秀でた活躍をした者が試験結果に優位というわけだ。チームとして勝つことはもちろん、個人としても何か結果を出さなければならない。
公平を期するため班分けはクジで行われる。それぞれが指定された場所に集められ、顔合わせと作戦会議が始まる。
「よろしく。僕は――」
Aチームに入り最初に声を出したのは僕とそう変わらない年代の少年。しかし、彼の勇気は悉く粉砕された。
「自己紹介なんていつでもできんだろうが。早く作戦を考えるぞ」
「あ、はい、すみません……」
これぞ熱血系といった雰囲気の青年にたじろぐ少年。これはチーム戦であるが、あくまでも試験は個人戦。むやみに仲良くなる必要は無いのかもしれない。
ピリピリとした雰囲気の中、作戦が練られる。
「10対15か……」
「こちらの方が若干少ないんだよね」
状況はこちらが少々不利。戦場に設定されている訓練場は小高い丘を挟んで向こう側がBチームの本陣。周りには石壁が積まれて、そこから出ても死亡判定となる。
「まずは君たちの得意を知る必要がある」
「ステータスは個人情報だ。初対面の相手に教えてくれたぁ無理な話だ」
「こちらから石壁伝いに数名を置いて――」
「それだとこちらが手薄になる。数が少ないのだから分裂するのは良くない」
試験が始まるまでの1時間、こんな調子でそれぞれの意見が拮抗した結果、ようやく作戦が決まった。
「おりゃああああ!」
「喰らえええ!」
「うおオオオオオオオオ」
作戦名『当たって砕けろ』
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