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第二章 美談
第二十一話 新たな闘い
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シントの参戦により、サンドル帝国軍はバモナウツ王国の城壁手前で足止めを余儀なくされていた。しかし、依然として帝国の兵力は増すばかり。
「魔力も武器もまるで足りないぞ!」
「このままではジリ貧だ」
兵士たちの予想通り、刻一刻と時が過ぎると同時に、王国軍は絶体絶命の窮地に追いやられ始める。
対する帝国軍は湯水の如く兵士を次々に注ぎ足し、その中には女性や、年端もいかないような子供までこちらに殺意を向けて身一つで突進してくる。
「こんなの間違ってる……」
帝国も闇雲に兵を注ぎ込んでいるわけではなかった。持久戦に持ち込めば勝利は確実。加えて、戦争とはいえ、女子供を手にかけたとなれば、王国軍兵士を精神的に攻撃することもできる。
正に一石二鳥の作戦なのだ。
三日三晩そんな戦いを強いられた王国軍は、やがて疲弊し始め、とうとう城壁数十メートルにまで迫られていた。
「みなさん! このアーティファクトを使ってください」
両軍の攻撃が一時的に止んだ日の晩、俯く兵士たちにシントはある物を手渡した。
「シント殿、これは……?」
「睡眠作用のあるアーティファクトです。これで敵を穿てば、被弾者は魔力や気力を一気に失い、戦闘不能になります」
それは見たこともない形状をした武器だった。
鉄で覆われ、何かが飛び出してきそうな穴が空いていた。
「これを使えば、殺さずして勝つことができるというわけか!」
「しかし、これはどうやって扱えば……」
兵士たちに感激と不安の表情が浮かぶと、シントは不敵に微笑んだ。
「この引き金を引けば、自動で魔力が矢のように飛び出すのさ。扱い方は実戦で慣れてほしい」
シントは丁寧に使い方をレクチャーした。
これは後に許可がある者しか扱えないよう改良され、『鉄砲』と名付けられる。
歴史を動かす大きな発明となるとは、この時は誰も予見していなかった。
明くる朝、バモナウツ王国はたった10丁の新武器で帝国軍を圧倒した。だが、被弾者は殺されず眠るだけなので直ぐに前線へと戻ってくる。
これが『バモナウツの千日手』である。
「帝国兵の逃げっぷりは最高だぜ!」
水を得た魚のように、意気揚々と自身の戦果を語り合う兵士とは裏腹に、シントはひとり状況を冷静に分析していた。
今までの帝国の攻撃手段から言えば、ここで退却するのは不自然だと感じていたからだ。何か裏があるのでは、と眉を顰めていた。
「貴方がシントさんね。隣、座っても良いかしら?」
「ええっと、貴女は……」
短く切られた散切りの髪、細長く伸びる腕と脚は、戦地にいる女性とは思えないほど可憐だった。
「皆からは魔女マリーと呼ばれているわ」
「ああ、噂のマリーさんでしたか」
「噂?」
前言を撤回する。彼女は冒険者でありながら、あらゆる戦場を駆け回り、報酬は一切受け取らないという戦闘狂の魔女なのだ。
「そんなことより貴方も帝国の動きが気になるの?」
「ええ……」
シントは感じている違和感を全てマリーに伝えた。どうやら彼女も同様に違和感を感じていたようだ。
2人は「明日は慎重に動かないと」とお互いに言い聞かせるように頷いた。
「それにしても、貴方のアーティファクトは素晴らしいわね」
「いえ、もっと上手く作られると良かったのですけど」
マリーはその謙虚な姿勢に感心したようで、シントの背中をポンっと叩いた。
どこかアロに似ているが、彼女に比べたら叩かれた痛みなんてあって無いようなものに感じられる。
シントは少し苦笑いを浮かべると、薄らと雲のかかった星空を見上げた。
◇◇◇◇◇
「帝国軍の加勢が明日到着する」
「十個大隊、約五万の軍勢か……」
「奴らが合流次第、戦艦を投入してこの戦争に終止符を打つ!」
この日、バモナウツ王国軍参謀本部は、遂に切り札を使用することを決定した。
◇◇◇◇◇
太陽が真上まで昇っても、まだサンドル帝国は姿を見せなかった。
初めは「領地まで逃げたのでは」という憶測が飛んでいたが、斥候部隊が森に潜伏中であると報告したことで、やがて緊張が募りはじめた。
ピンと張り詰めた糸が揺らぎ始めたのは、轟々と鳴り響く地鳴りの正体が判明した瞬間だった。
「伝令、伝令! 北門、正門、東門に帝国軍の姿が!」
「東門だと?! あそこは数名しか配置されていないのだぞ!」
「どうやって回り込んだのだ!」
戦地には混乱の嵐が吹き荒れた。
◇◇◇◇◇
「お待ちしておりましたぞ、アズボンド殿」
「エル、どうして君がここに?」
エルロイドは鼻を鳴らすと、一振りの剣を彼に手渡した。
「これは、シリエルの――」
「それはもうアズボンド殿の物です。それでは急ぎましょう」
エルロイドはアズボンドの手を取ると、一頭の手綱を握らせ、馬に跨った。
彼は自身の剣を腰に刺し、エルロイドを見上げる。
「彼はどこに向かえって?」
「何やら西の森に不穏な気配がありましてな」
それから2人は『深淵の墓地』近くの森へ向け馬を走らせた。何の因果かは分からないが、シリエルの踏破した深淵の墓地に向かう事に、少々心がざわついていた。
「まったく、主人殿も人遣いが荒い御方ですなぁ!」
「……そうだね」
彼が居れば何とかなるかもしれない、とは思えなかった。前の勇者である弟が4人がかりで攻略した場所にたった2人で向かわなくてはならないのだから。
「でも僕は、俺は――」
きっとまた、生きて君に会う。そして、心から謝罪しなくてはならない。
「大丈夫ですとも。アズボンド殿が居れば……ね」
「ああ、必ず帰るさ」
だって、俺は新しい勇者なのだから。
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「魔力も武器もまるで足りないぞ!」
「このままではジリ貧だ」
兵士たちの予想通り、刻一刻と時が過ぎると同時に、王国軍は絶体絶命の窮地に追いやられ始める。
対する帝国軍は湯水の如く兵士を次々に注ぎ足し、その中には女性や、年端もいかないような子供までこちらに殺意を向けて身一つで突進してくる。
「こんなの間違ってる……」
帝国も闇雲に兵を注ぎ込んでいるわけではなかった。持久戦に持ち込めば勝利は確実。加えて、戦争とはいえ、女子供を手にかけたとなれば、王国軍兵士を精神的に攻撃することもできる。
正に一石二鳥の作戦なのだ。
三日三晩そんな戦いを強いられた王国軍は、やがて疲弊し始め、とうとう城壁数十メートルにまで迫られていた。
「みなさん! このアーティファクトを使ってください」
両軍の攻撃が一時的に止んだ日の晩、俯く兵士たちにシントはある物を手渡した。
「シント殿、これは……?」
「睡眠作用のあるアーティファクトです。これで敵を穿てば、被弾者は魔力や気力を一気に失い、戦闘不能になります」
それは見たこともない形状をした武器だった。
鉄で覆われ、何かが飛び出してきそうな穴が空いていた。
「これを使えば、殺さずして勝つことができるというわけか!」
「しかし、これはどうやって扱えば……」
兵士たちに感激と不安の表情が浮かぶと、シントは不敵に微笑んだ。
「この引き金を引けば、自動で魔力が矢のように飛び出すのさ。扱い方は実戦で慣れてほしい」
シントは丁寧に使い方をレクチャーした。
これは後に許可がある者しか扱えないよう改良され、『鉄砲』と名付けられる。
歴史を動かす大きな発明となるとは、この時は誰も予見していなかった。
明くる朝、バモナウツ王国はたった10丁の新武器で帝国軍を圧倒した。だが、被弾者は殺されず眠るだけなので直ぐに前線へと戻ってくる。
これが『バモナウツの千日手』である。
「帝国兵の逃げっぷりは最高だぜ!」
水を得た魚のように、意気揚々と自身の戦果を語り合う兵士とは裏腹に、シントはひとり状況を冷静に分析していた。
今までの帝国の攻撃手段から言えば、ここで退却するのは不自然だと感じていたからだ。何か裏があるのでは、と眉を顰めていた。
「貴方がシントさんね。隣、座っても良いかしら?」
「ええっと、貴女は……」
短く切られた散切りの髪、細長く伸びる腕と脚は、戦地にいる女性とは思えないほど可憐だった。
「皆からは魔女マリーと呼ばれているわ」
「ああ、噂のマリーさんでしたか」
「噂?」
前言を撤回する。彼女は冒険者でありながら、あらゆる戦場を駆け回り、報酬は一切受け取らないという戦闘狂の魔女なのだ。
「そんなことより貴方も帝国の動きが気になるの?」
「ええ……」
シントは感じている違和感を全てマリーに伝えた。どうやら彼女も同様に違和感を感じていたようだ。
2人は「明日は慎重に動かないと」とお互いに言い聞かせるように頷いた。
「それにしても、貴方のアーティファクトは素晴らしいわね」
「いえ、もっと上手く作られると良かったのですけど」
マリーはその謙虚な姿勢に感心したようで、シントの背中をポンっと叩いた。
どこかアロに似ているが、彼女に比べたら叩かれた痛みなんてあって無いようなものに感じられる。
シントは少し苦笑いを浮かべると、薄らと雲のかかった星空を見上げた。
◇◇◇◇◇
「帝国軍の加勢が明日到着する」
「十個大隊、約五万の軍勢か……」
「奴らが合流次第、戦艦を投入してこの戦争に終止符を打つ!」
この日、バモナウツ王国軍参謀本部は、遂に切り札を使用することを決定した。
◇◇◇◇◇
太陽が真上まで昇っても、まだサンドル帝国は姿を見せなかった。
初めは「領地まで逃げたのでは」という憶測が飛んでいたが、斥候部隊が森に潜伏中であると報告したことで、やがて緊張が募りはじめた。
ピンと張り詰めた糸が揺らぎ始めたのは、轟々と鳴り響く地鳴りの正体が判明した瞬間だった。
「伝令、伝令! 北門、正門、東門に帝国軍の姿が!」
「東門だと?! あそこは数名しか配置されていないのだぞ!」
「どうやって回り込んだのだ!」
戦地には混乱の嵐が吹き荒れた。
◇◇◇◇◇
「お待ちしておりましたぞ、アズボンド殿」
「エル、どうして君がここに?」
エルロイドは鼻を鳴らすと、一振りの剣を彼に手渡した。
「これは、シリエルの――」
「それはもうアズボンド殿の物です。それでは急ぎましょう」
エルロイドはアズボンドの手を取ると、一頭の手綱を握らせ、馬に跨った。
彼は自身の剣を腰に刺し、エルロイドを見上げる。
「彼はどこに向かえって?」
「何やら西の森に不穏な気配がありましてな」
それから2人は『深淵の墓地』近くの森へ向け馬を走らせた。何の因果かは分からないが、シリエルの踏破した深淵の墓地に向かう事に、少々心がざわついていた。
「まったく、主人殿も人遣いが荒い御方ですなぁ!」
「……そうだね」
彼が居れば何とかなるかもしれない、とは思えなかった。前の勇者である弟が4人がかりで攻略した場所にたった2人で向かわなくてはならないのだから。
「でも僕は、俺は――」
きっとまた、生きて君に会う。そして、心から謝罪しなくてはならない。
「大丈夫ですとも。アズボンド殿が居れば……ね」
「ああ、必ず帰るさ」
だって、俺は新しい勇者なのだから。
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