濁渦 -ダクカ-

北丘 淳士

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ハンター

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 その男は【獲物】を探していた。その男、ウォッド・クロストは自分の性の、はけ口を探すために街を徘徊する。性的コンテンツや売春が禁止されているこの街は、彼には何かと窮屈だった。今や彼の性的欲求は限界まで達しようとしていた。
 快活そうなホットパンツに白のカットソーの女性が上機嫌で横を通る。彼女からは増々体を火照らせるような良い香りがした。黒いボブカットも小さめの顔に合っていて美しい。ゆっくりと加速し、彼女と歩調を合わせる。
 彼女はガーリーな服が店頭に飾ってある店に入っていった。ウォッドも何食わぬ顔で入っていく。彼の身なりは、その店に合わない様な服装ではなかった。身なりは整えてある。自分の彼女の服でも探しに来たのか、といった体である。鼻歌を歌いながら、服を選ぶその彼女に強く興味を惹かれた。服を選ぶ様子を見せながら、時折その彼女の一挙手一投足を見守る。そして彼女は買う物が決まったのか、カウンターに向かい用紙に記入している。斜め後ろからウォッドは彼女の手元を見つめる。性別の欄の( )の欄に記入しているのを確認した。彼の口角が上がる。
 店員に見送られた彼女は次にカフェへと入っていく。
 ウォッドも続いて入りミネラルウォーターだけ頼んで、席に着く。彼女の姿を背後から眺める。外の景色を見ているフリをしながら、彼女のくびれたウェスト、細い腰を嘗め回すように視姦するも、彼の表情は変わらない。ただただタイミングに合わせてミネラルウォーターをチビチビと飲む。
 どうしようか……。
 思案しているうちに、彼女はペットボトルのミネラルウォーターを飲み切って、席を立つ。彼は飲み切ってないペットボトルを、その場に残し後を付ける。
 彼女が何かを探しているようだ。
 近くの案内板を見た彼女は、迷いなく真っすぐ進み、角を曲がる。その先はジェンダーレストイレだった。ウォッドは速足で後を追う。トイレのドアを開けた。彼女が今個室に入ろうとしていたところだった。入ろうとしていた彼女を突き飛ばすように個室に押し込む。
「きゃっ!!」
 叫び声は一瞬だった。鈍い音がした。
 彼女は押された拍子にトイレのタンクに頭を打ち、気を失っていた。
 後ろ手に個室のトイレのカギをかけたウォッドは、トイレットペーパーを丸めとり、艶やかな髪を掴んで引っ張っり、顔を上げさせて気を失っている彼女の口に突っ込んだ。そして彼女を抱えて便座に座らせ、ホットパンツと下着を乱暴に脱がせ、自らの剛直を出し荒々しい獣欲を振り乱した。

 鈍い痛みでシェズはうっすらと目を開けた。頭と下腹部が痛い。口の中に違和感を感じる。反射的に口の中のものを吐き出し咳き込む。
 あれ……、ここは……。
 まだボンヤリとした頭で自分の胸元を見る。胸と下半身ははだけ失禁していた。胸元まで上げられた白いカットソーには自分の血が滴っていた。
 私……。
 意識があるうちに動かせる体を動かし、とりあえず胸元まで上げられたブラジャーとカットソーだけ下ろしてトイレ内に設置された緊急ボタンを押した。

 午前中の講義を終えたフーリエは、シェズを探していた。
 ルーシーったら、また休みなのかしら。ここ一ヶ月ほど見かけてないし。
 普段の生活を送りながら、視線はルーシーを追っていた。講堂や行き来する廊下、食堂、駐車場。その内、自然と彼女の存在がフーリエの頭から薄れていった。
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