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なあなあ
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「ねえアキラー、3ヶ月前にアキラたちを襲った2人組の話聞いてるー?」
「ああ、あれな。あの2人に寮の開錠許可を出したのは、SSBEにも係わっている古典物理学の小日向教授だったんだって」
「へーっ。あのコヒナタ教授が、キタノのおっさんとヤマシロ教授を調査してたんだ」
「いや、そうじゃないらしい」
エディアは旭のベッドでうつ伏せになって、LOTを弄りながら足をパタパタさせている。
結局、旭は部屋にエディアの侵入を許してしまった。2週間前にアシンベルに戻ってきてからというもの、すっかり彼女は旭の家に入り浸るようになった。
旭は旭で、アフリカの謎の物体の発掘作業の進捗状況を定期的に北野から聞いては、リータとの再開を想像してあまり勉強が手につかず、たまに上の空で中空を見つめていると、不機嫌になったエディアからポカッと叩かれる日々を過ごしている。抓まれるような痛みはない。
「そうじゃないって?」
「小日向教授を含め、俺たちを尾行していた2人は宗教団体『降臨の日』に脅迫されていたらしい。脅迫内容までは聞かせてもらえなかったけど、今は更迭されてるんじゃないかな」
「その降臨の日はヤマシロ教授が目当てだったのかしら。今度はある程度実験内容を公表するらしいから、総責任者の名前もそのうち知られるだろうし、弱みを握って実験を潰す計画だったのかもね」
「そうだな、たぶん」
「で、その降臨の日はどうやってアシンベルに侵入して、コヒナタ教授らとコンタクト取ったのかな……?」
「さぁな。多分まだアシンベルに内偵者が潜んでいるんだろうよ。……っていうか、俺の枕の匂い嗅ぐの止めろ」
「えーっ! いいじゃん。減るものじゃないし」
旭は椅子から立ち上がって、エディアが抱き締めている枕を引っ手繰る。
「嗅ぐな、恥ずかしい」
「だっていい匂いなんだもん。……私匂いフェチかも」
「今度匂い嗅いだら、ベッドを使わせないからな!」
突然エディアは半身を起こし、首まで真っ赤にして慌て出した。
いまさら気付いたのか――。
「ところで、今週末にはザンビアでの発掘作業が、目標地点まで到達するみたいだぞ」
「あっ、あの謎の物体? ……へーっ」
さっきまであたふたしていたエディアだったが、急に白けたのかコテンとベッドに倒れこんだ。
「何が出てくるんだろうな……。全く想像がつかない」
「ホントにそれが目的なんだか……」
今度は旭の毛布に丸まりながら顔だけ出し、半眼で彼を見ていた。
「ああ、あれな。あの2人に寮の開錠許可を出したのは、SSBEにも係わっている古典物理学の小日向教授だったんだって」
「へーっ。あのコヒナタ教授が、キタノのおっさんとヤマシロ教授を調査してたんだ」
「いや、そうじゃないらしい」
エディアは旭のベッドでうつ伏せになって、LOTを弄りながら足をパタパタさせている。
結局、旭は部屋にエディアの侵入を許してしまった。2週間前にアシンベルに戻ってきてからというもの、すっかり彼女は旭の家に入り浸るようになった。
旭は旭で、アフリカの謎の物体の発掘作業の進捗状況を定期的に北野から聞いては、リータとの再開を想像してあまり勉強が手につかず、たまに上の空で中空を見つめていると、不機嫌になったエディアからポカッと叩かれる日々を過ごしている。抓まれるような痛みはない。
「そうじゃないって?」
「小日向教授を含め、俺たちを尾行していた2人は宗教団体『降臨の日』に脅迫されていたらしい。脅迫内容までは聞かせてもらえなかったけど、今は更迭されてるんじゃないかな」
「その降臨の日はヤマシロ教授が目当てだったのかしら。今度はある程度実験内容を公表するらしいから、総責任者の名前もそのうち知られるだろうし、弱みを握って実験を潰す計画だったのかもね」
「そうだな、たぶん」
「で、その降臨の日はどうやってアシンベルに侵入して、コヒナタ教授らとコンタクト取ったのかな……?」
「さぁな。多分まだアシンベルに内偵者が潜んでいるんだろうよ。……っていうか、俺の枕の匂い嗅ぐの止めろ」
「えーっ! いいじゃん。減るものじゃないし」
旭は椅子から立ち上がって、エディアが抱き締めている枕を引っ手繰る。
「嗅ぐな、恥ずかしい」
「だっていい匂いなんだもん。……私匂いフェチかも」
「今度匂い嗅いだら、ベッドを使わせないからな!」
突然エディアは半身を起こし、首まで真っ赤にして慌て出した。
いまさら気付いたのか――。
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「あっ、あの謎の物体? ……へーっ」
さっきまであたふたしていたエディアだったが、急に白けたのかコテンとベッドに倒れこんだ。
「何が出てくるんだろうな……。全く想像がつかない」
「ホントにそれが目的なんだか……」
今度は旭の毛布に丸まりながら顔だけ出し、半眼で彼を見ていた。
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