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消された人間
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「亜空間に飛び込んだのは、ある教授なんだけど。他言出来ないの……、ごめんね」と苦い顔をした香苗は、当時のことを思い出していたようだった。
「いえ、大丈夫です。山代教授に聞いたんですが、その教授の情報って抹消されているんですか?」
「あら、山代君から聞いたの? ……そうなの、アシンベル退出時にLOTを検索されて、消されちゃったの。居残り組は分からないけど、多分アシンベルのデータベースからは綺麗に無くなっているわよ。政府も極秘でやっていたから、開闢実験に携わっていた議員の何人かが事故が起きてすぐに一気に火消しにかかったみたい。国のデータベースにも残ってないんじゃないかしら」
次期SSBEの総責任者山代教授を、山代君呼ばわりか。母さんの役職を聞かないほうがいいかもしれない、と旭は思った。
「当時の総責任者の名前も……、秘密ですよね」
エディアの問いに、香苗が申し訳なさそうにコクンと頷く。
「最後に、もう1つお聞きしたいのですが、その教授に子供がいたとか聞いてますか?」
しばらく答えていいものかどうか悩んでいる素振りだったが、香苗はエディアの目を見て頷いた。
「旭と同じぐらいの小さいお子さんがいたとは聞いていたけど……」
「その子は男の子ですか? それとも女の子ですか!? 国籍は分かりますか!?」
テーブルに両手をついて身を乗り出しながらエディアが聞いてくる。
「エディアちゃん、ごめん。そこまで分からないわ」
身を乗り出した自分に気付き、エディアはサッと居住まいを正した。
「申し訳ありません、……ありがとうございました。色々と答えにくい質問に答えていただき」
2人の話を傍らで聞いていた旭は、エディアは自分の肉親を探すためアシンベル付設アカデミーに入学したのだろう、と思惟した。エディアは以前、旭の家の近くにあるアカデミーの寮に1人で住んでいると言っていた。親がアシンベル関係者の場合、親と一緒に住むことが出来るが、そのほかの生徒には寮が宛がわれる。
最近は旭と一緒にいるせいか、エディアは同じクラスの女の子と上手くいっていないように彼は感じている。
「ううん、いいのよ。私の娘になるかもしれないのだから」
「え? 母さん……、エディアを養子縁組にでもする気?」
香苗は目を輝かせながら呟く。
「何言っているの、旭の嫁さん候補じゃない」
「ちょっと待て!」
「えっ、お、お母様! じゃあ、これからお母様のこと、お、お母さん……って御呼びしてもいいですか!?」
「いいわよ、何ならここに引っ越してきなさい! アシンベルには申請しておくから」
「待てよ! 勝手に話を進めるな!」
エディアは顔を赤らめ、再び身を乗り出してくる。
「ええっ! お母様、いや、お母さん、そんな……。急に1つ屋根の下だなんて」
「それはダメ!」
「旭、別にいいじゃない。未来のお嫁さんなんだから」
「嫁じゃない! それにダメなものはダメ!! エディアが同居するなら、俺は別の寮に引越すから!!」
侃々諤々の討論の末、エディアの同居は阻止したものの、彼女の好きなときに遊びに来ていいという話に決着した。
「いえ、大丈夫です。山代教授に聞いたんですが、その教授の情報って抹消されているんですか?」
「あら、山代君から聞いたの? ……そうなの、アシンベル退出時にLOTを検索されて、消されちゃったの。居残り組は分からないけど、多分アシンベルのデータベースからは綺麗に無くなっているわよ。政府も極秘でやっていたから、開闢実験に携わっていた議員の何人かが事故が起きてすぐに一気に火消しにかかったみたい。国のデータベースにも残ってないんじゃないかしら」
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「当時の総責任者の名前も……、秘密ですよね」
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「最後に、もう1つお聞きしたいのですが、その教授に子供がいたとか聞いてますか?」
しばらく答えていいものかどうか悩んでいる素振りだったが、香苗はエディアの目を見て頷いた。
「旭と同じぐらいの小さいお子さんがいたとは聞いていたけど……」
「その子は男の子ですか? それとも女の子ですか!? 国籍は分かりますか!?」
テーブルに両手をついて身を乗り出しながらエディアが聞いてくる。
「エディアちゃん、ごめん。そこまで分からないわ」
身を乗り出した自分に気付き、エディアはサッと居住まいを正した。
「申し訳ありません、……ありがとうございました。色々と答えにくい質問に答えていただき」
2人の話を傍らで聞いていた旭は、エディアは自分の肉親を探すためアシンベル付設アカデミーに入学したのだろう、と思惟した。エディアは以前、旭の家の近くにあるアカデミーの寮に1人で住んでいると言っていた。親がアシンベル関係者の場合、親と一緒に住むことが出来るが、そのほかの生徒には寮が宛がわれる。
最近は旭と一緒にいるせいか、エディアは同じクラスの女の子と上手くいっていないように彼は感じている。
「ううん、いいのよ。私の娘になるかもしれないのだから」
「え? 母さん……、エディアを養子縁組にでもする気?」
香苗は目を輝かせながら呟く。
「何言っているの、旭の嫁さん候補じゃない」
「ちょっと待て!」
「えっ、お、お母様! じゃあ、これからお母様のこと、お、お母さん……って御呼びしてもいいですか!?」
「いいわよ、何ならここに引っ越してきなさい! アシンベルには申請しておくから」
「待てよ! 勝手に話を進めるな!」
エディアは顔を赤らめ、再び身を乗り出してくる。
「ええっ! お母様、いや、お母さん、そんな……。急に1つ屋根の下だなんて」
「それはダメ!」
「旭、別にいいじゃない。未来のお嫁さんなんだから」
「嫁じゃない! それにダメなものはダメ!! エディアが同居するなら、俺は別の寮に引越すから!!」
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