魔法と科学の境界線

北丘 淳士

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挑発

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「それは、俺がその現象に立ち会った当事者だからだ。ちょっと待ってろ」
 そう言って、旭は一度自分の部屋に戻り、最近焼き増ししたリータの写真を手に持ってきた。
 写真を受け取ったエディアが、それを見て絶句する。しばらく手にとって眺めていた。そして、感動した面持ちで旭を見る。
「写真だなんて……。アキラんとこって古美術商!?」
 やっぱそのリアクションか。
 旭は額を押さえた。

「へーっ。で、またその女の子に会いたいってわけなのね、このロリコン」
「ロリコンって、昔の話だって言ってんだろ! 今のリータは成長して大人になっているはずだよ。それに会えるかどうかまだ分からないしな」
「……会ったらどうする気なの? 告白するの? 会っても触れられないんだから、現実の女の子にしたらどう? こっちの女の子なら触りたい放題よ!」と、リータの写真をぞんざいに置きながらエディアは顔を近づける。
「だからなんでそんなに話を膨らますんだ……。写真を見せたいだけだよ。リータは物凄く楽しみにしていたのに、叶わなかったからな」
「へーっ。じゃあ今日は私も一緒に立ち会うわ」
「じゃあ、が接続詞の意味を成してないぞ! たいして面白くもないから帰ってくれよ」
「ひょっとして、教授が来るとか言ってやっぱり女と会うんじゃないの?」
 エディアがさらにグイッと身を乗り出してくる。甘い香りと小さく整った顔が近くに迫り、旭は少し緊張して一瞬顔を背けてしまった。
 それに気付いたのか、エディアは目を細め、ニヤニヤしながら旭の脇腹をツンツン突っついてくる。
「どーなのよ」
 そのときタイミングよくチャイムが鳴った。
 恐らく北野教授だろう。予定よりも随分と早い。
 そう思った旭はスッと立ち上がってエディアを置き去りにする。
 エディアは旭に寄りかかろうとしていたのか、支えるものがなくなって、ソファにばたっと倒れこんで、むぎゅ、と声を上げた。
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