魔法と科学の境界線

北丘 淳士

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等価交換

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 旭はぐったりとコートに倒れ、明るい光を放つ天井を見上げた。第三体育館に連れてこられ、ボディースーツよりも着心地がいいウェアに着替えさせられていた。
「どう、初めてのフェンシングは?」
 フル装備のエディアは、緩やかにたわむ剣を肩にかけながら聞いてきた。
 旭は天井からエディアのマスクに目を向けた。
「……フォームだけで相当きついな」
「というか、アキラってば体力なさ過ぎよ! まだフォームの練習しかしてないじゃない」
「……何で俺がお前に合わせなくちゃいけないんだ」
 そう悪態つきながら半身を起こすと、エディアは手に持った剣を防具も着けていない旭の顔に突きつけてくる。旭は昼間のフォークを思い出した。
「あぁん!? 同じ趣味を持っていると色々と楽しいでしょ!」
 防具で表情は見えないが、なぜだか怒っているようだ。こめかみに一筋の汗が走りながら、旭は両手を上げて降参のポーズをする。
 エディアは剣を下ろした。
「汗掻きたいときでいいから、たまに顔出しなさいよ。LOTの使い方教えてくれる代わりに私がフェンシング教えてあげるから」
「わ、わかった……」
 これは等価交換になっていないのではないか、という疑問が湧出したが、おくびに出さないように気をつけた。
 その後もエディアからマンツーマンで指導を受け、フォームから基本の動きを教わっていた。
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