勇者が来る!!

北丘 淳士

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自爆行為

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 山の下りということもあって、二日半で首都オルガニゼに一行は戻ってきた。そしてそのまま宮殿へと足を運ぶ。白い大きな包みを抱え、再びエリオットたちはドグマス帝の前に座った。
「本当に巨人がいたのか?」
「はい、その巨人から首を頂いてまいりました」
 道中でも中身を確認しなかったエリオットは、初めてその白い包みを解いた。すると中から高さ一メートルほどの首のミイラが姿を現した。
 その異様な姿にドグマスとエイナは仰け反った。
「これは……、これはミイラ化しているではないか!」
「はい、借りてきた巨人の首です」
 くそっ、本当に首を持ってきやがった。だが、俺は勇者など認めない!
「余が欲しいと言ったのは生首だ! これは作り物かもしれない。そうだ、そうに違いない。私は認めないぞ!」
 その言葉にエリオットはカチンときた。
「巨人たちは里で大人しく暮らしています。その巨人を攻撃することなんて私には出来ません!」
「うるさい! 勇者を語る偽者め、即刻出ていけ!」
 頭に来ていたエリオットは何も言わず、その包みを元に戻した。そして抱え上げ、一礼もせずに謁見の間を辞した。

「なによ、あの皇帝。頭硬いんじゃないの?」
「あの態度はないよな、人の上に立つものとして」
 宮殿の廊下を戻るウィスとベルハルドは文句を言っていたが、エリオットは怒りで文句を口には出さなかった。
「とりあえず路銀が危ういですけど、巨人族の長に返しに行きましょう」

 トラステリアも怒りの頂点に来ていた。
 あの皇帝のせいで、どれだけの人々が犠牲になるか分かっているのかしら!
「魔物はどうしますか?」
 問うシノビに、トラステリアは投げやりに返した。
「その辺に捨てていきましょ。どうなっても知らないわ」

 エリオットたちが巨人の首を返して、コルデ高地からオルガニゼ方面を見た時、小さな光の筋が一本走った。その光の筋はオルガニゼの宮殿へと飛んでいく。
 小さな隕石はオルガノフ宮殿へ直撃した。
 腹に響き、鼓膜を破るような轟音を立て、宮殿にぶつかったその隕石は衝撃波をもって宮殿を半壊し、多数の負傷者を出した。衝撃波は周辺の建物の窓ガラスも粉砕した。
 就寝中のドグマスの足元に宮殿の一部が落ち、彼は両足を骨折して特に重傷だった。
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