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砥石採取とカルナの特訓
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「カルナの表情、明るかったわね」
「ホント、これで少しでも心を開いてくれればいいけど」
「何か、ずっと我慢してきたような感じだったですからね」
無事、宮殿を出ることが出来た三人は、南の鍛冶屋に向かって歩いていた。
途中住人に聞いたりして、やっと目的の鍛冶屋に着く。
「ここが……、鍛冶屋?」
ベルハルドが首を傾げるのも無理はない。普通の民家のようで、武具の陳列も出来ないような様子だったからだ。
「とりあえず、入ってみるか」
「ここは武器の研磨はしておらんのじゃ」
綺麗に禿げ上がった頭に長い髭の店主は、表情一つ変えず、ベルハルドの依頼にそう返した。
「この国は魔法が主力だから、武器の研磨技術が発展していない。農機具の研磨ならしておるが」
「もう一つあるという武器屋も同じですか?」
エリオットの言葉に、店主は頷きで返す。
「まいったな、次のエルサントで砥いでもらうか」
その言葉に店主は少しだけ目を開いた。
「エルサント……、あそこは今、魔物が跋扈していて、ブランノールにいる間に研磨しておいた方が身のためだぞ」
「えっ!? そんな事態になっているのですか」
「そんなに武器の研磨がしたいなら、ケルドの森にある砥石を取ってきてくれたら研磨してやる。今ここにある砥石は荒くて、武器の研磨に向いていない」
「分かりました取ってきます。ケルドの森ってどこにあるのですか?」
「ここブランノールから南東に半日行ったところじゃ。お前さんたちの若さなら、その半分で行けるだろうよ」
「分かりました。砥石を取ってきますので、その時はお願いしますね」
その店主はグッと親指を立てた。
三人は、トラステリアが送り込む弱い魔物を倒しながらケルドの森奥深くに到達した。その岩場には明らかに砥石を採掘したであろう跡が残っていた。
「とりあえず採石場までは来たが、どういうのがいいのか聞いてなかったな」
「そうですね……。手あたり次第持っていきますか」
結局彼らは二十個ほどの砥石を抱えて来た道を戻り、砥石を置いては魔物と戦うという余計な苦労を重ねた。
「二個だな」
「二個ですか」
二十個あった砥石の中で合格点を貰えたのは二個だけだった。
「私もう疲れたわ。お酒でも飲みましょ」
三人が休み、カルナが魔法の特訓をしている間、武器の研磨は終了した。
四人が揃ったのはカルナが特訓に入ってから八日後だった。再び宮殿の大広間に四人がクラーレを待っている。
「特訓……、地獄でした」
特訓漬けだったカルナはゲッソリとした表情を隠せない。
そりゃそうだ。一ヶ月かかるのを一週間って言ってたもの。
エリオットは少しやつれたカルナに同情した。
その時、壇上から靴の音が響く。クラーレが姿を現した。
「さて、勇者諸君、これからが本題です。実はここから西のバルザナ墓地に毎晩魔物が出現して地域の住民が恐怖に陥っています。宮殿の魔導士も人手不足です。良ければ討伐してくれませんか?」
「はい、住民が困っているのであれば」
エリオットは片膝ついて片手を胸に置き、恭しく誓った。
「バルザナ墓地は私の故郷カナティーニにあります。良ければ母に会って、そこで一泊しませんか?」
宮殿を出てカルナはベルハルドたちに催促する。
「そうだな、宿代も浮くし、お邪魔しよう」
「カルナのお母さんも魔導士なんだろ? 宮殿で暮らしてないのかい?」
エリオットはまともな疑問を投げかける。
「宮殿を離れて暮らしている魔導士も何人かいます。母もその一人で、その村で慈善活動をしていました。ですが、ある日突然、原因不明の病に倒れたのです。お義姉さんが言ったように今、数名の魔導士で治療をしているらしいのですが」
「そうか……、とりあえず向かおう。お母さんにも、甘いものを食べさせたいだろ」
「はい、無事であって欲しいです」
エリオットは騎士剣を抜いて、良く研磨された刃を見た。
「よし、行こう!」
「ホント、これで少しでも心を開いてくれればいいけど」
「何か、ずっと我慢してきたような感じだったですからね」
無事、宮殿を出ることが出来た三人は、南の鍛冶屋に向かって歩いていた。
途中住人に聞いたりして、やっと目的の鍛冶屋に着く。
「ここが……、鍛冶屋?」
ベルハルドが首を傾げるのも無理はない。普通の民家のようで、武具の陳列も出来ないような様子だったからだ。
「とりあえず、入ってみるか」
「ここは武器の研磨はしておらんのじゃ」
綺麗に禿げ上がった頭に長い髭の店主は、表情一つ変えず、ベルハルドの依頼にそう返した。
「この国は魔法が主力だから、武器の研磨技術が発展していない。農機具の研磨ならしておるが」
「もう一つあるという武器屋も同じですか?」
エリオットの言葉に、店主は頷きで返す。
「まいったな、次のエルサントで砥いでもらうか」
その言葉に店主は少しだけ目を開いた。
「エルサント……、あそこは今、魔物が跋扈していて、ブランノールにいる間に研磨しておいた方が身のためだぞ」
「えっ!? そんな事態になっているのですか」
「そんなに武器の研磨がしたいなら、ケルドの森にある砥石を取ってきてくれたら研磨してやる。今ここにある砥石は荒くて、武器の研磨に向いていない」
「分かりました取ってきます。ケルドの森ってどこにあるのですか?」
「ここブランノールから南東に半日行ったところじゃ。お前さんたちの若さなら、その半分で行けるだろうよ」
「分かりました。砥石を取ってきますので、その時はお願いしますね」
その店主はグッと親指を立てた。
三人は、トラステリアが送り込む弱い魔物を倒しながらケルドの森奥深くに到達した。その岩場には明らかに砥石を採掘したであろう跡が残っていた。
「とりあえず採石場までは来たが、どういうのがいいのか聞いてなかったな」
「そうですね……。手あたり次第持っていきますか」
結局彼らは二十個ほどの砥石を抱えて来た道を戻り、砥石を置いては魔物と戦うという余計な苦労を重ねた。
「二個だな」
「二個ですか」
二十個あった砥石の中で合格点を貰えたのは二個だけだった。
「私もう疲れたわ。お酒でも飲みましょ」
三人が休み、カルナが魔法の特訓をしている間、武器の研磨は終了した。
四人が揃ったのはカルナが特訓に入ってから八日後だった。再び宮殿の大広間に四人がクラーレを待っている。
「特訓……、地獄でした」
特訓漬けだったカルナはゲッソリとした表情を隠せない。
そりゃそうだ。一ヶ月かかるのを一週間って言ってたもの。
エリオットは少しやつれたカルナに同情した。
その時、壇上から靴の音が響く。クラーレが姿を現した。
「さて、勇者諸君、これからが本題です。実はここから西のバルザナ墓地に毎晩魔物が出現して地域の住民が恐怖に陥っています。宮殿の魔導士も人手不足です。良ければ討伐してくれませんか?」
「はい、住民が困っているのであれば」
エリオットは片膝ついて片手を胸に置き、恭しく誓った。
「バルザナ墓地は私の故郷カナティーニにあります。良ければ母に会って、そこで一泊しませんか?」
宮殿を出てカルナはベルハルドたちに催促する。
「そうだな、宿代も浮くし、お邪魔しよう」
「カルナのお母さんも魔導士なんだろ? 宮殿で暮らしてないのかい?」
エリオットはまともな疑問を投げかける。
「宮殿を離れて暮らしている魔導士も何人かいます。母もその一人で、その村で慈善活動をしていました。ですが、ある日突然、原因不明の病に倒れたのです。お義姉さんが言ったように今、数名の魔導士で治療をしているらしいのですが」
「そうか……、とりあえず向かおう。お母さんにも、甘いものを食べさせたいだろ」
「はい、無事であって欲しいです」
エリオットは騎士剣を抜いて、良く研磨された刃を見た。
「よし、行こう!」
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