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古代文明展の怪
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考古学が好きな男性D さんの話。
D さんはある博物館にやってきていた。
その博物館では特別展としてとある古代文明の遺産を展示していた。
目玉の展示物として、豪華な装飾品と共に王族のミイラが展示されていた。
日本での展示は、およそ数十年ぶりということで、考古学ファンは大いに盛り上がった。
Dさんも例に漏れず、王族の姿をその目に焼き付けようと県外から遠い距離をやってきたのだった。
数時間ほど博物館に滞在し、Dさんは心ゆくまで堪能した。
中でも、王族のミイラには心ときめいた。
暴虐の王として知られるそのミイラは、干からびた遺骸をしながらも、威厳と恐ろしさを備えていた。
装飾品に身を包み、宝石と陶器でこしらえた表情のない仮面をつけていた。
きらびやかであり、不気味でもあった。
Dさんは余韻に浸りながら、高速道路を走って帰宅していた。
突然、鳥がDさんの車のフロントガラスに直撃し、ガラスが砕け散った。
ガラスの破片が目に入り、Dさんはパニックになる。
ハンドルを切りそこね、ガードレールに衝突し、路肩の方へ車は暴走する。
不幸中の幸で、Dさんは路肩の法面に突っ込んで停止した。
Dさんはハンドルで片目をしたたかに打った。
Dさんは激痛にうめき病院に運ばれた。
幸い、目は無事だったがガラスが入り込んで打撲したせいで、角膜をひどく傷つけた。
視力が戻るまでしばらく通院を余儀なくされたのだった。
Dさんは不穏なものを感じ、同じ王族のミイラを見に行った考古学仲間に連絡を取った。
なんと連絡を取った仲間のほとんどが、目に怪我をしたり、眼病を患っていたりした。
驚愕するDさんに、仲間の一人が言った。
「あの王族のミイラはね。現地では『見るべきではない者』と言われてるそうだ。王の暴虐ぶりを嫌った呪術師が、『王の崇拝者らの目を潰すように』と自らを生贄にして呪いをかけたらしい。実際、学者さんや学芸員さんに目のトラブルが起きたりしたらしいぜ」
それを聞いてDさんは手が震えた。
だが、そのおぞましき言い伝えを聞くと、より一層件の王族に興味が湧き、魅入られそうな気がしたそうだ。
【おわり】
D さんはある博物館にやってきていた。
その博物館では特別展としてとある古代文明の遺産を展示していた。
目玉の展示物として、豪華な装飾品と共に王族のミイラが展示されていた。
日本での展示は、およそ数十年ぶりということで、考古学ファンは大いに盛り上がった。
Dさんも例に漏れず、王族の姿をその目に焼き付けようと県外から遠い距離をやってきたのだった。
数時間ほど博物館に滞在し、Dさんは心ゆくまで堪能した。
中でも、王族のミイラには心ときめいた。
暴虐の王として知られるそのミイラは、干からびた遺骸をしながらも、威厳と恐ろしさを備えていた。
装飾品に身を包み、宝石と陶器でこしらえた表情のない仮面をつけていた。
きらびやかであり、不気味でもあった。
Dさんは余韻に浸りながら、高速道路を走って帰宅していた。
突然、鳥がDさんの車のフロントガラスに直撃し、ガラスが砕け散った。
ガラスの破片が目に入り、Dさんはパニックになる。
ハンドルを切りそこね、ガードレールに衝突し、路肩の方へ車は暴走する。
不幸中の幸で、Dさんは路肩の法面に突っ込んで停止した。
Dさんはハンドルで片目をしたたかに打った。
Dさんは激痛にうめき病院に運ばれた。
幸い、目は無事だったがガラスが入り込んで打撲したせいで、角膜をひどく傷つけた。
視力が戻るまでしばらく通院を余儀なくされたのだった。
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なんと連絡を取った仲間のほとんどが、目に怪我をしたり、眼病を患っていたりした。
驚愕するDさんに、仲間の一人が言った。
「あの王族のミイラはね。現地では『見るべきではない者』と言われてるそうだ。王の暴虐ぶりを嫌った呪術師が、『王の崇拝者らの目を潰すように』と自らを生贄にして呪いをかけたらしい。実際、学者さんや学芸員さんに目のトラブルが起きたりしたらしいぜ」
それを聞いてDさんは手が震えた。
だが、そのおぞましき言い伝えを聞くと、より一層件の王族に興味が湧き、魅入られそうな気がしたそうだ。
【おわり】
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