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ダウジング
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中学生A君の話。
A君はショート動画アプリで、埋蔵品を探し出す動画を見かけた。
投稿者がL字型の金属棒を使い、ダウジングを始めると、あっという間にアクセサリーや埋蔵品を見つけてしまう。
影響されやすいA君は「自分も宝を見つけたい」とダウジングをすることにした。
A君は友達を誘って、ホームセンターでアルミの棒を買い、手作りのダウジング棒を作った。
「ゲン担ぎにまじないを掛けよう」
A君は近所の祖父方を訪れた。
祖父方は蔵や納屋のある大きな農家だった。
A君が蔵に入ると、お札のようなものを取り出して来た。
古ぼけて何を書いてあるか読めない。
以前、祖父から「家に伝わる大事なもの」だと聞いていた。
何か大きな徳を授けてくれるんじゃないかと期待して、ダウジング棒にこすりつけた。
さらにポケットに入れると、A君たちは早速付近の裏山でダウジングを始めた。
聞いた話では、この辺りはかつて村があって、史跡も見つかっているらしい。
A君たちは期待してダウジングを始める。
数時間後、夕闇が迫りA君達もうんざりし始めた時事態は動いた。
ダウジングが反応し始めた。
手のひらの中で、勝手に動く棒にA君は恐怖しながらも高揚した。
しばらく歩くと、田んぼのあぜ道で激しくダウジング棒は回転し始めた。
「ここだ!掘ろう」
興奮状態のA君は、友人と共にスコップを手に取って掘り返した。
深く掘り返したとき、土に汚れた白いものが現れた。
「宝だろうか、化石だろうか」A君は期待して慎重に掘り返していく。
掘り出していくうちに、A君たちは青ざめていった。
細長い白いもの、どこかで見慣れた骨の形、土が詰まったあばら骨……挙句の果てには標本のような頭蓋骨が出て来た。
大きさはA君達よりも大きい。
大人かもしれない。
夕暮れ時の田舎のあぜ道に、白骨体が掘り返されたのだ。
友達の一人は大声で叫ぶと走り去った。
A君は震える声で110番通報した。
警察が来て大騒ぎにはなったが、結果は思いもよらぬものだった。
警察の捜査によると、明治期の白骨死体だと言う事だった。
特定のしようもなく、集落の人間が亡くなったのか、放浪した人間がなくなった行旅死亡人だろうということだった。
A君は肝を冷やしたが、ダウジングの効果に戦慄したという。
後日、A君が祖父に話をすると祖父は大笑いした。
A君が何がそんなにおかしいのかと聞くと、A君の持っていた件のお札を指さして言った。
「そいつは、確かに大切なもんだ。わしも自分のじいさんから聞いたことがあるが、そいつは『借用書』らしいぞ。結局金は返してもらってないそうだ。ひょっとすると、骨になってたのは借主かも知れんなあ」
A君はいずれにせよ気味が悪くなってダウジングはやめたそうだ。
【おわり】
A君はショート動画アプリで、埋蔵品を探し出す動画を見かけた。
投稿者がL字型の金属棒を使い、ダウジングを始めると、あっという間にアクセサリーや埋蔵品を見つけてしまう。
影響されやすいA君は「自分も宝を見つけたい」とダウジングをすることにした。
A君は友達を誘って、ホームセンターでアルミの棒を買い、手作りのダウジング棒を作った。
「ゲン担ぎにまじないを掛けよう」
A君は近所の祖父方を訪れた。
祖父方は蔵や納屋のある大きな農家だった。
A君が蔵に入ると、お札のようなものを取り出して来た。
古ぼけて何を書いてあるか読めない。
以前、祖父から「家に伝わる大事なもの」だと聞いていた。
何か大きな徳を授けてくれるんじゃないかと期待して、ダウジング棒にこすりつけた。
さらにポケットに入れると、A君たちは早速付近の裏山でダウジングを始めた。
聞いた話では、この辺りはかつて村があって、史跡も見つかっているらしい。
A君たちは期待してダウジングを始める。
数時間後、夕闇が迫りA君達もうんざりし始めた時事態は動いた。
ダウジングが反応し始めた。
手のひらの中で、勝手に動く棒にA君は恐怖しながらも高揚した。
しばらく歩くと、田んぼのあぜ道で激しくダウジング棒は回転し始めた。
「ここだ!掘ろう」
興奮状態のA君は、友人と共にスコップを手に取って掘り返した。
深く掘り返したとき、土に汚れた白いものが現れた。
「宝だろうか、化石だろうか」A君は期待して慎重に掘り返していく。
掘り出していくうちに、A君たちは青ざめていった。
細長い白いもの、どこかで見慣れた骨の形、土が詰まったあばら骨……挙句の果てには標本のような頭蓋骨が出て来た。
大きさはA君達よりも大きい。
大人かもしれない。
夕暮れ時の田舎のあぜ道に、白骨体が掘り返されたのだ。
友達の一人は大声で叫ぶと走り去った。
A君は震える声で110番通報した。
警察が来て大騒ぎにはなったが、結果は思いもよらぬものだった。
警察の捜査によると、明治期の白骨死体だと言う事だった。
特定のしようもなく、集落の人間が亡くなったのか、放浪した人間がなくなった行旅死亡人だろうということだった。
A君は肝を冷やしたが、ダウジングの効果に戦慄したという。
後日、A君が祖父に話をすると祖父は大笑いした。
A君が何がそんなにおかしいのかと聞くと、A君の持っていた件のお札を指さして言った。
「そいつは、確かに大切なもんだ。わしも自分のじいさんから聞いたことがあるが、そいつは『借用書』らしいぞ。結局金は返してもらってないそうだ。ひょっとすると、骨になってたのは借主かも知れんなあ」
A君はいずれにせよ気味が悪くなってダウジングはやめたそうだ。
【おわり】
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