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廃病院の窓
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タクシー運転手 Cさんの話。
Cさんの地元には有名なホラースポットがあった。
巨大な廃病院で、町を見下ろせる場所にあった。
急患の受け入れから最先端医療までこなす地域の柱となる病院だった。
だが、施設の老朽化で移転となった。
古い病院は残されたままだった。
当初、地元の悪ガキや、行き過ぎた心霊マニアが侵入することもあった。
だが、老朽化した施設や残された医療機器など危険性があるものもあることから、フェンスなどで侵入できないよう封鎖された。
中高年のCさんは、当然病院に侵入する気なんてさらさら無かった。
いつも、深夜の業務で廃病院の横を通る時
「不気味だな。早く取り壊してくれればいいのに」
と思っていたらしい。
暗い中で浮かび上がる病院と、無数の窓に見える暗闇が不気味だったのだ。
そんなある日、「廃病院にお客さん1名待つ。向かってください」と業務無線が流れた。
廃病院の近くにいたCさんが、応答した。
「廃病院に迎えに来いって…変な客だな」
とCさんは思った。
Cさんが客の名前を聞く。
「お客様は、名前を何度聞いても答えられませんでした。電話も非通知でした…。すいませんが、現地に向かってみてください、どうぞ」
オペレーターのおばちゃんが申し訳なさそうに答えた。
Cさんは不安を覚えつつ、病院へ向かった。
病院へ向かう坂を上がる。
次第に、廃病院の姿が浮かび上がる。
Cさんは、その巨大な廃墟を見やった。
Cさんは目を剥いた。
浮かび上がった壁のような廃墟には、無数の窓が整然と並ぶ。
その窓のひとつに、青白い女性の顔が浮かび上がっていた。
黒い目で、こちらを遠目に見つめている。
その表情は、虚ろで生気がなかった。
Cさんは直感で、タクシーを呼んだのはこの人物かもしれないと思った。
不気味に思って、Cさんは素通りすることにした。
Cさんのタクシーが廃病院を通り過ぎる。
Cさんは無線で「お客様、いらっしゃいませんでした」とオペレーターに嘘をついた。
その時だった。
後部座席の方から
「どうして来ないの」
と人の声が聞こえた。
Cさんは恐怖でパニックになりそうだったが、決して後ろを振り向かず、ルームミラーも見なかった。
見たら悪いことが起こる…そう感じたらしい。
すぐに近所の神社へタクシーを止め、境内で時間を潰し、無事に朝を迎えたそうだ。
以来Cさんはお守りや御札をタクシーに忍ばせて業務につくそうだ。
その習慣を始めてから、不吉な存在には出会ってないという。
【おわり】
Cさんの地元には有名なホラースポットがあった。
巨大な廃病院で、町を見下ろせる場所にあった。
急患の受け入れから最先端医療までこなす地域の柱となる病院だった。
だが、施設の老朽化で移転となった。
古い病院は残されたままだった。
当初、地元の悪ガキや、行き過ぎた心霊マニアが侵入することもあった。
だが、老朽化した施設や残された医療機器など危険性があるものもあることから、フェンスなどで侵入できないよう封鎖された。
中高年のCさんは、当然病院に侵入する気なんてさらさら無かった。
いつも、深夜の業務で廃病院の横を通る時
「不気味だな。早く取り壊してくれればいいのに」
と思っていたらしい。
暗い中で浮かび上がる病院と、無数の窓に見える暗闇が不気味だったのだ。
そんなある日、「廃病院にお客さん1名待つ。向かってください」と業務無線が流れた。
廃病院の近くにいたCさんが、応答した。
「廃病院に迎えに来いって…変な客だな」
とCさんは思った。
Cさんが客の名前を聞く。
「お客様は、名前を何度聞いても答えられませんでした。電話も非通知でした…。すいませんが、現地に向かってみてください、どうぞ」
オペレーターのおばちゃんが申し訳なさそうに答えた。
Cさんは不安を覚えつつ、病院へ向かった。
病院へ向かう坂を上がる。
次第に、廃病院の姿が浮かび上がる。
Cさんは、その巨大な廃墟を見やった。
Cさんは目を剥いた。
浮かび上がった壁のような廃墟には、無数の窓が整然と並ぶ。
その窓のひとつに、青白い女性の顔が浮かび上がっていた。
黒い目で、こちらを遠目に見つめている。
その表情は、虚ろで生気がなかった。
Cさんは直感で、タクシーを呼んだのはこの人物かもしれないと思った。
不気味に思って、Cさんは素通りすることにした。
Cさんのタクシーが廃病院を通り過ぎる。
Cさんは無線で「お客様、いらっしゃいませんでした」とオペレーターに嘘をついた。
その時だった。
後部座席の方から
「どうして来ないの」
と人の声が聞こえた。
Cさんは恐怖でパニックになりそうだったが、決して後ろを振り向かず、ルームミラーも見なかった。
見たら悪いことが起こる…そう感じたらしい。
すぐに近所の神社へタクシーを止め、境内で時間を潰し、無事に朝を迎えたそうだ。
以来Cさんはお守りや御札をタクシーに忍ばせて業務につくそうだ。
その習慣を始めてから、不吉な存在には出会ってないという。
【おわり】
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