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【学校怪談】1人多い集合写真

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ある小学校では、三学期の終わりに集合写真を撮る。

大体30人前後のクラスメイトが笑顔で写真に映り、進級の前に皆に配られるのだ。

だが、3年3組の集合写真は毎年奇妙なな点があった。

いつも一人多いのである。

人の数を数えたら多かったという噂が、毎年のように広がって怪談だと騒ぎになった。

そこで、教師も交えて生徒と一緒に数を数え、余分な一人を探した。

すると、皆より少し顔色が青白い男の子が見つかった。
その子のことは誰も知らなかった。 

カメラに向かって微笑んでいる。

3年3組OBである高学年の子が持っていた写真を見比べた。

やはり毎年、その青白い顔をした子が写っている。

教師や生徒は戦慄した。
その時、騒ぎを聞いて見物に来た定年前の校長先生が叫んだ。

「これは〇〇くんです!」

校長先生がまだ新任教師だった若い頃、この生徒が3年3組にいたらしい。若い校長先生は担任だった。

〇〇くんは、皆んなとの進級を心待ちにしていたが…夏休みに水難事故に遭い亡くなってしまったそうだ。

若かった校長先生はそれから、様々な学校で教師をして、教育機関へ出向したりした。

定年まであと4年という所で、校長としてこの学校に戻ってきたのだった。

さらによく調べてみると、〇〇くんが写真に現れ始めたのも、校長先生が戻ってきた時だったという。

校長先生は〇〇くんの両親に会いに行き、渡せなかった卒業証書を墓前に供えたそうだ。

それ以来、3年3組の写真に〇〇くんが写り込むのはなくなったそうだ。



【おわり】


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