ヴァンパイア陛下は森の中に住む女性に恋に落ちる。

藍田 のひか

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エピローグ

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***


 サラーナのお腹の子が双子だとわかった日の翌日にサグイスは急遽大臣を招集し会談をした。元々サラーナが住んでた森の家と森自体をファートゥム家の所有物として別荘にする話をしたら満場一致で賛成となった。

 そして地下牢にいた兵隊長はラディウスの治療を受けて前の兵隊長としての業務を改善し毎日業務に務めている。と後日サグイスから教えてもらった。 

 サラーナはあれから兵隊長がどうしてるのか気になっててサグイスから話を聞いてほっと一安心をした。

 そして双子が産まれて半年が経ったーー。

 サラーナの身体はすでに回復をして元気に育ってる双子を連れて初めて外に出かけた。

「サグイス、今からどこへ行くの?」

「それは着いてからのお楽しみだ」

 王国でお昼を食べ終えて早めに双子をお風呂に入れてからサグイスはサラーナと双子を連れて森の別荘に来ている。

 森の家の前で馬車が止まり降りるとサラーナは驚いていた。

「この家、どうして……」

「この森と家はファートゥム家の所有物にして少し家の中を改造した。 そして畑も綺麗にしといた」

「ありがとう、サグイス」

 サラーナはうっすらと涙を浮かべていた。子供たちもあたりをキョロキョロと見ている。家の中は広くなってて浴室にはシャワーだけだったのが大きな浴槽があった。

「サグイス、子供が大きくなれば寝室も改造しないといけないね」

「そうだな、子供たちは俺が見とくから一人でお風呂には入ってきなよ」

「ありがとう」

 サラーナは一人でお風呂を満喫していた。お風呂から出てきたサラーナはサグイスに声をかけた。

「夕食は久しぶりに私が作るけど何がいい?」

「初めて俺に作ってくれた野菜スープがいい」

「わかったわ」

 サラーナが久しぶりに野菜スープを作り王国からはパンを少しだけ持ってきた。

「さぁ、食べようか」

 テーブルには野菜スープとパン。 

「いただきます」

「いただきます」

 子供たちは王国から作って持ってきた離乳食を食べさせる。サグイスはクロシェに食べさせてサラーナはレンジェに食べさせながら自分たちも夕食を食べていく。

  子供たちが離乳食を食べてる途中でクロシェが笑顔で「マママ」と言ったりレンジェが泣きそうな顔で「だーーっ」って言いながら食べ終わった離乳食をまだ食べようとしている。

 子供たちは寝る前にサラーナの母乳を飲んでから気持ちよさそうに寝ていた。サグイスはサラーナの保管してあった血を前日に飲み切ってしまった。

 王国から持ってきたベビーベッドで寝てる双子を確認をしてサグイスはベッドの上でサラーナを抱き締める形で首元に齧り付いた。

「んっ……」

 サラーナは久しぶりにサグイスに血を吸われてつい声を出してしまった。サグイスはサラーナの血を吸いながら両手で胸を揉む。

 サグイスとサラーナに告げた。

「城を出る前にラディウスに夫婦の営みはいつから大丈夫かを聞いたんだ」

「それでラディウス様はなんて?」

「今日から再スタートをしてもいいと。その代わり避妊はしろと言われたな」

 不貞腐れているサグイスの顔を見てサラーナは自分の舌とサグイスの舌を絡めるようなキスをした。

「うっ、んんっ……」

 サグイスはサラーナと離れてから目を見て言った。

「サラーナ、俺を煽ってどう責任を取るつもりだ」

「私はサグイスにラディウス様の言葉は絶対に守ってね。 しか言えないわ」

 サグイスは初めてサラーナを抱いた日のことを思い出した。

「なんだか初めてサラーナを抱いたしが懐かしいな」

「そうねーー」

 二人しておでこをくっ付けて微笑んだ。

「今、サラーナが欲しい」

「ーー私もよ、サグイス」

 どちらからもなく深い口づけをする。 

 まるであの日のように身体に刻み込むように何度も身体を重ねのだったーー。


 ***


 五年後ーー。

 双子はサグイスとサラーナに愛され優しく健やかに育っている。第一皇子のレジェンはサグイスの血を強く受け継いでいて、第一皇女クロシェはサラーナの血を強く受けづいていることがわかった。

 サグイスとサラーナは双子のお世話を侍女にお願いをすることはなく自分たちの手で子供の子育てをし成長を優しく見届けている。中庭で第二皇子のラリオは三歳になり兄のレジェンを追いかけている。 姉のクロシェはラリオにレンジェを捕まえられるように優しくサポートをしている。

 梅雨の時期での今日は晴れていて子供たちが楽しく遊んでいる時に会談を終えたサグイスが正装の姿で中庭に顔を出した。子供たちはすぐにサグイスを見て駆け寄った。

「お父さま!」

「おとーさまっ!」

 クロシェは日陰のイスで休んでる私のところへ来て手を貸してくれた。

「お母さま、お父さまのところへ行きましょう」

「ありがとう、クロシェ」

 クロシェは大きい声でサグイスを呼んだ。

「お父さまー!」

 サグイスはクロシェの頭を撫でた。

「サラーナ、体調は大丈夫か?」

「ええ、大丈夫よ」

 サラーナは第四子を妊娠中で、無事に先週安定期を迎えたばかりだ。

「何かあればこの子たちがいますから」

 サラーナは子供たちを見て微笑んだ。するとドルークとエリールはカメラとイスを持っきた。

 子供たちがカメラとイスを用意している理由がまだ分からずクロシェはサグイスに問いかけた。

「ねえ、お父さま、クロシェたちはどうして正装の姿をしているの?」

 サグイスはクロシェと目線が合うようにしゃがんだ。

「今日はレンジェとクロシェの五歳の誕生日だ。 だからその記念に家族写真を撮るんだ」

 するとドルークの声が聞こえた。

「みなさま、今から写真を撮りますので移動をお願い致します」

 そしてエリールが指示をしていく。

「サラーナ様は前の椅子にお座り下さい。その横にクロシェ様が座ってください。 陛下はラリオ様を抱き抱えてサラーナ様の後ろに。 レンジェ様は陛下の隣に」

 サグイスは片手でラリオを抱き抱え、もう片手はサラーナの肩へ置いた。

 ドルークとエリールの「3、2、1」の掛け声でカメラのシャッター音が聞こえた。

 夕食は子供たちが好きなもので楽しく食べてデザートはサラーナのお父様が作ったと言われているケーキにフルーツがたくさんのっていた。双子は二歳になった頃に寝室にある大きなクローゼット内を子供部屋にと改造をした。

 サグイスはお腹いっぱいになった子供たちを子供部屋に連れていった。そして三十分後にはサグイスが子供部屋から戻ってきた。

「三人ともベッドに入って数回トントンしたら寝たよ」

「寝かしつけありがとね、サグイス」

 サラーナが手に持ってるものにサグイスは目を向けた。

「サラーナ、もしかして今日撮った写真か?」

「さっきエリーから受け取ったのよ」

「綺麗に写ってるな」

「そうね」

「次はお腹の子が産まれた時に記念写真だな」

「そうしたらお腹の赤ちゃんはもう産まれてるんだよね」

 少し大きくなったお腹を二人で撫でながら顔を見て微笑んだ。

「また毎日が賑やかになるな」

「ふふっ、そうね」

 私たちはあの日に出会っていなければこんな幸せを知らなかった。サグイスはサラーナから写真を取り上げた。

 サラーナはサグイスの首元に腕を絡めるとサグイスは軽々とサラーナを抱き上げそのままベッドの上に下ろされた。

 サラーナの上に覆いかぶさるサグイスはサラーナにキスをする。 そして首元に吸い付いて血を吸ったあとサグイスはサラーナの耳元で呟いた。

「サラーナ、愛している」

 それに答えるようにサラーナもサグイスにキスをした。

「愛しているわ、サグイス」

 二人の愛は血で繋がっている。互いが生き絶えるまでずっと続いていくのであった。


 END.
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