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六章

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寝室ではサラーナを看病する為にエリールが付きっきりで世話をしている。

「エリー、ラディウス様を呼んできてもらえるかしら?」

「わかりました、すぐにお呼び致しますね」

 エリールにラディウスを呼んできてもらう間にサラーナは急に胃から込み上がってくる吐き気に襲われた。

「うっ……」

 手で口元を押さえてベッドから下りてサイドに置いてあるバケツに顔を突っ込んだ。

「……ゴホッゴホッ」

 胃から込み上げてくるものは何もなくてただただ苦しい。   床に座ったまま天井を見て何故か涙が流れた。

(もしかしたらここにいるのかしら……)

 サラーナはお腹に手を当てた。

 すると寝室の扉が開いてエリールとラディウス医師が入って来た。  そしてサラーナが床に座ってるのを見てエリールはサラーナの元に駆け寄った。

「サラーナ様!?」

「あぁ……エリー」

「大丈夫ですよ、私が居ますから。 さぁ、ベッドに横になりましょう」

 サラーナは頷いてエリールに立たせてもらいベッドに横になった。

 ラディウスは最近のサラーナのことをエリーから聞きながらサラーナの診察を始めた。

「サラーナ様、いつ月のものが来ましたか? 」

 ラディウス医師に聞かれてサラーナは頭の中で思い出した。

「たしか、まだ先月の月のものが来てないわ」

「さようですか。 それで陛下とはいつ営みをなさいましたか?」

 サラーナは恥ずかしそうに答えた。

「体調が悪くなる前まで……ま、毎晩しました」

「でしたら今の気持ち悪さは悪阻でございます」

「……サラーナ様、おめでとうございます」

 エリールは驚きながらも笑みを浮かべて祝いの言葉を言った。 

 サラーナはラディウス医師に問いかけた。

「ほんとに、私のお腹の中に……赤ちゃんがいるのですか?」

「脈を見ましたところサラーナは懐妊をされております。  後で機械を持ってきますのでそれでお腹の赤ちゃんを診
 て見ましょう」

 ラディウスは一度医務室に戻って機械を持って寝室に戻ってきた。 機械でサラーナのお腹に当ててお腹の赤ちゃん
 を見た。 ラディウスはサラーナとエリールにわかりやすいように説明をしていく。

「大きな袋に胎のうの中に卵黄のうと胎芽がーー」

 するとラディウスは険しい顔をし、エリールはラディウスに問いかけた。

「ラディウス医師、どうかしたのですか?」

「いや、胎芽が一つと二つあるのお」

「……胎芽が二つとは?」

「サラーナ様、胎芽とはこれから大きくなる赤ちゃんのことです。 それでサラーナ様はお子を一人ではなく二人。 双子を身ごもっていらっしゃるのです」

「ふ、双子……」

 サラーナは機械の画面を見ながらペタンコのお腹を見た。

「恐らく五週目に入り、二ヶ月と思われます」

「これからは体調を見ながら少しずつ食べたり水分を飲んだりをして下さい。 それにまだまだ悪阻は続くと思いますが無理をなさらないように」

「ええ」

「では、私は陛下にご報告して参ります」

 ラディウスは機械を持って寝室を去っていった。 そしてラディウスはサグイスがいる書斎室へと向かったのだった。
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