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三章
05
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家の中に入るとめちゃくちゃに荒らされていた。
「私とドルーク様で寝室を片付けるわサグイスはキッチンと床の掃き掃除をお願い」
「わかった」
「かしこまりました」
階段を上がって寝室に入るとベッドは元の位置から斜めにずらされたままでタンスは全て引き出されてお父さまの衣類は床に落ちていて拾い上げると兵士の靴跡がついて汚れていた。
「サラーナ様、私は何をすればよろしいでしょうか?」
「ドルーク様は落ちているアルバム、写真を綺麗にしてもらえますか? 今、濡れた布を用意しましね」
「かしこまりました」
寝室を出て階段をおりる途中に必死に片付けをしているサグイスと目があった。
「どうかしたか?」
「布を濡らしに来たのよ」
するといきなり寝室からドルーク様が階段を降りてきた。
「濡れた布なら今持っていこうとーー」
そう言おうとしたがドルーク真の声に遮られてしまった。
「陛下、大事なお話が! サラーナ様が、サラーナ様が!」
「ドルーク、落ち着け。 サラーナがどうしたんだ」
興奮気味のドルーク様は一呼吸を置いてサグイスに話し出した。
「サラーナ様はオウラ元料理長と師匠の御令嬢でございます!」
「それは本当か⁉︎ サラーナ、サラーナの両親の名を教えてくれないか」
いきなり何のことか分からずサラーナは両親の名前を口にした。
「お父様の名前はオウラ・ティオ。 お母様の名前はアネシー・ティオだけど、それがどうかしたの?」
サグイスは「そうだったのか」と何か考え始めた。
「陛下、片付けていた写真の中から見つけました」
ドルークが持ってるその写真はサラーナも初めて見たお父様とお母様が写ってるものだった。
「本当にオウラ元料理長とアネシーだ。 間違いない」
「では、今は片付けをして城に戻ったら詳しく話しをしましょう」
「ああ」
一体なんの話をしているのか分からないまま家の片付けを進めていった。汚れている写真は綺麗に濡れた布で拭いて乾かして木箱の中も整理して寝室にあった木箱は全て城へ持っていくことにした。
畑は勿体無いけれど野菜は全て廃棄して土を綺麗に耕した。 気づいたら夕方で全ての片付けが終わっていた。
「綺麗になったな」
「そうね」
「陛下、木箱は全て馬車に乗せました」
「ああ、サラーナ、行こうか」
馬車に乗り込んでだんだんと見えなくなる家にサラーナはさよならを告げるがどこか寂しさもあった。城に戻るとドルークから「陛下とサラーナ様が夕食を終えるまでにアルバムを用意しておきます」と言いその場を後にする。
「わかった、アルバムは全て寝室に運んでおいてくれ」
「かしこまりました」
サグイスはドルークとの話を終えた。
***
夕食後、サグイスと寝室に入ると大きい丸いテーブルとイスが用意されていた。
テーブルの上には分厚いアルバムが六冊積まれている。サグイスはただアルバムを手に取って見ている。 サラーナはイスに腰をおろして木箱からアルバムを手に取った。 表紙はお母様の文字で『愛するサラーナ』と書かれていた。
サラーナは母を亡くした日から一度もアルバムを開いてはいない。
サラーナがアルバムの表紙を捲ると一枚目の写真はお母さまが生まれて間もないサラーナを抱き抱えている写真。
多分写真を撮ったのはお父様に違いない。 サラーナは小声で呟いた。
「ーーお母様」
どの写真もお母様と私、もしくはお父様と私のツーショットしかない。 最後のページを捲るとそこには生まれた日から毎年サラーナの誕生日に撮った家族写真が年月の順に並んでいて、私もお父様もお母様も笑顔で写っている。
その写真にそっと触れてアルバムを閉じてサラーナは涙を流す。
サグイスは泣いてるサラーナにそっと肩に手を置いた。
「寂しいか?」
「まだまだお父様、お母様と一緒に話したりご飯をたべたかったわ」
そう言いサラーナは手の甲で涙を拭った。
「私とドルーク様で寝室を片付けるわサグイスはキッチンと床の掃き掃除をお願い」
「わかった」
「かしこまりました」
階段を上がって寝室に入るとベッドは元の位置から斜めにずらされたままでタンスは全て引き出されてお父さまの衣類は床に落ちていて拾い上げると兵士の靴跡がついて汚れていた。
「サラーナ様、私は何をすればよろしいでしょうか?」
「ドルーク様は落ちているアルバム、写真を綺麗にしてもらえますか? 今、濡れた布を用意しましね」
「かしこまりました」
寝室を出て階段をおりる途中に必死に片付けをしているサグイスと目があった。
「どうかしたか?」
「布を濡らしに来たのよ」
するといきなり寝室からドルーク様が階段を降りてきた。
「濡れた布なら今持っていこうとーー」
そう言おうとしたがドルーク真の声に遮られてしまった。
「陛下、大事なお話が! サラーナ様が、サラーナ様が!」
「ドルーク、落ち着け。 サラーナがどうしたんだ」
興奮気味のドルーク様は一呼吸を置いてサグイスに話し出した。
「サラーナ様はオウラ元料理長と師匠の御令嬢でございます!」
「それは本当か⁉︎ サラーナ、サラーナの両親の名を教えてくれないか」
いきなり何のことか分からずサラーナは両親の名前を口にした。
「お父様の名前はオウラ・ティオ。 お母様の名前はアネシー・ティオだけど、それがどうかしたの?」
サグイスは「そうだったのか」と何か考え始めた。
「陛下、片付けていた写真の中から見つけました」
ドルークが持ってるその写真はサラーナも初めて見たお父様とお母様が写ってるものだった。
「本当にオウラ元料理長とアネシーだ。 間違いない」
「では、今は片付けをして城に戻ったら詳しく話しをしましょう」
「ああ」
一体なんの話をしているのか分からないまま家の片付けを進めていった。汚れている写真は綺麗に濡れた布で拭いて乾かして木箱の中も整理して寝室にあった木箱は全て城へ持っていくことにした。
畑は勿体無いけれど野菜は全て廃棄して土を綺麗に耕した。 気づいたら夕方で全ての片付けが終わっていた。
「綺麗になったな」
「そうね」
「陛下、木箱は全て馬車に乗せました」
「ああ、サラーナ、行こうか」
馬車に乗り込んでだんだんと見えなくなる家にサラーナはさよならを告げるがどこか寂しさもあった。城に戻るとドルークから「陛下とサラーナ様が夕食を終えるまでにアルバムを用意しておきます」と言いその場を後にする。
「わかった、アルバムは全て寝室に運んでおいてくれ」
「かしこまりました」
サグイスはドルークとの話を終えた。
***
夕食後、サグイスと寝室に入ると大きい丸いテーブルとイスが用意されていた。
テーブルの上には分厚いアルバムが六冊積まれている。サグイスはただアルバムを手に取って見ている。 サラーナはイスに腰をおろして木箱からアルバムを手に取った。 表紙はお母様の文字で『愛するサラーナ』と書かれていた。
サラーナは母を亡くした日から一度もアルバムを開いてはいない。
サラーナがアルバムの表紙を捲ると一枚目の写真はお母さまが生まれて間もないサラーナを抱き抱えている写真。
多分写真を撮ったのはお父様に違いない。 サラーナは小声で呟いた。
「ーーお母様」
どの写真もお母様と私、もしくはお父様と私のツーショットしかない。 最後のページを捲るとそこには生まれた日から毎年サラーナの誕生日に撮った家族写真が年月の順に並んでいて、私もお父様もお母様も笑顔で写っている。
その写真にそっと触れてアルバムを閉じてサラーナは涙を流す。
サグイスは泣いてるサラーナにそっと肩に手を置いた。
「寂しいか?」
「まだまだお父様、お母様と一緒に話したりご飯をたべたかったわ」
そう言いサラーナは手の甲で涙を拭った。
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