ヴァンパイア陛下は森の中に住む女性に恋に落ちる。

藍田 のひか

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三章

01

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 〈サグイスside〉


 ***


 真っ暗な場所で目を開けると誰もいない。

「サラーナ! ドルーク!」ふたりを呼んでもサラーナとドルークの声は聞こえずサグイスはその場に立ち止まった。

「・・・・・・俺は死んだのか?」

 サグイスはサラーナを地下牢から救い出したがそのあとのことが思い出せない。

 サラーナと過ごした五日間は王国でひとり過ごすよりもサラーナといたら楽しくて幸せだと感じた。
 何よりも運命の血を持った女性はサラーナだった。サラーナの血は血薬と違って身体の疲れがなくなり心が落ち着く。

 一緒に食事をして寝て起きたら隣にサラーナがいる。 気がついたらサグイスはサラーナのことを好きになっていた。

 暗闇の中、立っていたサグイスは膝から崩れ落ちて涙を流した。

「もう少し早くサラーナを見つけることが出来てたら・・・・・・サラーナ」

 サラーナに出会うまでは死ぬことは決められた運命なんだと思っていた。 死んだら愛するサラーナを置いてこんな
 にも心苦しくて涙が出るなんて思いもしなかった。

 するとサグイスは身体中に温かなものを感じすぐに誰の血なのかがわかった。

「この血の匂いはーー」

 サグイスは身体中にサラーナの血を感時ながら次第にサラーナの声が聞こえてくる。

『サグイス! サグイス!死なないで、目を開けて!!』

 サラーナの声を頼りに進んでいきなり光に包まれた。目を開けると真っ暗な場所から見覚えのある景色になった。

「ーーんっ、あっーー」

 死の淵から目を覚ましたサグイスは天井を見た。

「陛下、お気づきになられましたか⁉︎」

 医師の声にサグイスは「ああ」と言い頷いた。サグイスはサラーナの方に顔を向けた。
「サラーナ」

「サグイス、よ、かっーー」

 サラーナはサグイスが目を覚ましたことに安心した途端サラーナはサグイスの隣で倒れ込んだ。

「サラーナ!」

 サグイスはサラーナに声をかけたがぐったりとしていて手グビからは血が垂れている。

「医師、すぐにサラーナを手当てをしてくれ」

「か、かしこまりました」

 医師はサラーナの手首を手当てをしていくと医師はサグイスに傷のことを話した。

「陛下、この方は今、気を失っていますが数時間、あるいは数日後には目を覚ましますでしょう」

「そうか、それと医師、サラーナを寝室に連れていくがいいか?」

「さようでございます。 目が覚まされたらお呼び下さい」

「わかった」

 サグイスはサラーナをお姫様抱っこをし翼を広げて寝室へと飛んでいく。

 サラーナをベッドの上に寝かせてサグイスはサラーナが目を覚ますまで手を握った。寝室にはドルークがいた。

「ドルーク、サラーナが目を覚ますまでは俺はここを離れない。サラーナから話を聞いた上でハイ隊長の処分を下す」

「かしこまりました。 陛下も休める時におやすみになってください」

「ああ、寝室の兵士を退けてくれ」

「かしこまりました、失礼します」

 寝室からドルークは出て兵士も退いて寝室には本当にサラーナとふたりきりになった。

 サグイスはサラーナの隣に横になりサラーナの頭を撫でた。

『サラーナ、こんなに痩せ細ってしまって』

 サグイスはサラーナをもう離さないと心に誓い抱きしめて眠りについた。

「ーーんっ」

 サラーナは恐る恐る目を覚ました。

(そうだ、私、サグイスが目を覚してから突然目の前が真っ暗になって・・・・・・)

 サラーナはサグイスを見ると寝息を立てながら寝ていた。 そして左腕には包帯が巻かれていてはサグイスに握られていた。

 サラーナはサグイスが生きていることが嬉しく視界がぼやけて次第に大きな粒の涙を流した。

 サグイスはサラーナが泣いている姿を見て飛び起き優しく抱きしめた。

「サラーナ、すまない。 迎えに行くのが遅くなった」

「ーーサグイス、会いたかったわ」

「サグイス」

「ああ、大丈夫だ。もう離れたりはしない。 ずっと俺の隣にいてくれサラーナ」

 サラーナはサグイスの答えるように抱きしめ返した。そしてサグイスから二日間眠ったままだったと聞かされた。

「私、そんなに眠っていたなんて」

「おかげで俺も身体の調子がいい」

 そして、サグイスに聞かれた。

「どうして地下牢に連れて行かれたんだ?」

 そしてサラーナはあの日あったことを覚えてることを全てサグイスに話した。
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