異世界転移したら獣人騎士団長に拾われました。

どらいもなか

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14.(レイモンドside)

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~レイモンドside~

夕食後、少しだけ屋敷の仕事をする。
騎士団の仕事があるため、普段は屋敷の事は殆んどジョンに任せっきりだ。
しかし、当主の私でないと出来ない事もあり、こうしてジョンが整頓してくれた書類に目を通す。
本当にジョンには感謝してもしきれない。



「ジョン、騎士団での訓練を勧めたのは私だが 、ナオはやはり無理をしていると思うか?」

ある程度切りが着くと、ジョンに話しかけた。

「そうですね、ナオ様は無理を無理と思わずにされる方ですから」
「そう、だな」
「ナオ様は何か仰っていたのですか?」
「あぁ、団員たちと上手くやれそうだと言っていた」
「それならそこまで心配は要らないんじゃないでしょうか?」
「そうは言っても心配なものは心配なんだ」

それに……いや、これは私の我儘だ。

「ナオ様ともう一度お話されてみてはいかがですか?今はお部屋にいらっしゃると思いますよ」

ジョンが心なしかニヤニヤしてる気がする。

「そうだな」

私は勢い良く立ち上がり部屋を出た。



「ナオ、少し話したいのだが」
「……」

ドアをノックし、声をかけるが返事は返ってこない。

「ナオ」
「……」

もう一度呼ぶが、やはり反応がない。
変だな。

「…開けるぞ」

そう言うと私はドアを少し開け、部屋を覗いた。

「ナオ?いないのか?」

やはり返事はなく、私は部屋に入る。
そして、ソファーで眠るナオを見つけた。

「なんだ、眠っていたのか」

私はフゥと胸を撫で下ろす。
いつから私はこんなに心配性になったのだろう。

ソファーに近づき眠るナオに話しかける。

「ナオ、こんな所で眠ると体調を崩すぞ」



今日、団員たちと話すナオを見て妙に心がざわついた。
ナオが団員たちと仲良くなることは嬉しいはずなのに、同時に寂しくもあったのだ。
独り占めしたい、そんな欲が自分にもあるのだと驚いた。
今日の様子からしてナオは直ぐに団員たちと打ち解けるだろう。
そうしたら、私の事などどうでも良くなってしまうのだろうか。

そっとナオの頬を撫でると、小さく身動ぐ。

「……んん」

こんな暗い考えは自分らしくないと頭を振る。

この前、酒に酔ったナオは一段と可愛らしかったな……また、飲ませるか。

そんなよこしまなことを考えながらナオを抱き上げ、ベッドまで運ぶ。

「お休み、また明日」

そう言ってナオの頭を撫でると、私は部屋を出た。



書斎に戻るとジョンが声をかけてくる。

「随分と早いお戻りですね?」
「あぁ、眠っていた」
「そうでしたか、それは残念ですね」
「いや、眠るのには早い時間とは言え、眠っている可能性は十分にあったのだ。ナオが疲れていない訳がないのだから」

言いながら私は苦笑いをした。

それを聞くジョンがまた、ニヤニヤしている気がする。
ジョンはもともと微笑んだ様な顔だが、最近はやたらニヤニヤとしているのだ。

「ジョン顔が二ヤついているぞ」
「それは申し訳ありません」

そう言うもジョンがニヤニヤ顔を止める気配がない。
ジョンには世話になっている。
このくらいは良いかと、私は諦めた。


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