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しおりを挟む「────さて本題だがレイモンド、ナオの魔力は凄いのぉ」
は?魔力?俺の、?
「はい、おっしゃる通りナオの魔力量は稀に見るものです」
「その魔力、使い手によって我が国に有利にも不利にもなる。もし暴走でもしようものなら一大事じゃ」
えぇ、、暴走?一大事?そんなこと言ったって魔力なんて感じた事ないのに、、
「それを承知の上でお願いがございます」
「言うてみろ」
「魔力を制御出来る様になるまでナオを私に任せていただけないでしょうか」
「ほぅ、それは、もしもの時は責任を取る覚悟がある、ということじゃな?」
陛下のゴールドの瞳がギラリと鋭い光を放ち、場の空気がピリリと変わるのを肌で感じる。
「はい」
言いながらレイは重々しく頷いた。
「うむ、、、良かろう。ただし、暴走なぞ絶対にさせるんじゃない。」
「御意」
陛下は笑顔で俺の方を見た。
さっきまでの張り詰めた空気が無くなる。
「ナオ、不慣れな事が多いと思うがレイモンドと共に頑張るのじゃぞ」
「っはい」
俺は全く理解が追い付いていなかったが、そう返事をするしかないのだと思った。
俺たちは来る時と同じく馬車に乗り込んだ。
「俺の魔力って何?何も感じないんだけど」
「やはり感じ取ることも出来ていなかったんだな」
苦い顔をしたレイモンドが俺の魔力について教えてくれた。
「お前自身は何も感じないかもしれないが、お前の体内には膨大な魔力が存在する。そして、収まりきらなくなった魔力が漏れ出ている状態なんだ。お前の持つ魔力が暴走すれば国をも滅ぼす強大な力となる。それと同時にお前自身を傷つけ最悪の場合おまえは死ぬ。」
「死、」
ちょっと待って、急展開過ぎて。
俺の魔力が暴走すると、国を壊して俺は死ぬの?
昨日まで自分に魔力がある事すら知らなかったのに、、、 ?
「そうそう暴走するものじゃないんだ、訓練すればコントロール出来るようになる」
そんなこと言ったって、暴走するかもしれないんだろ?
頭には血が上るのに、指先から全身が冷えて背筋が冷たくなる様なよく分からない感覚に陥った。
「そんな顔するな」
レイが俺の頬に優しく触れてくる。
ふかふかとした温かく大きな手。
その手に安心感を覚え、混乱はしているけど気持ちが少し落ち着いた。
俺はレイの手に自分の手を重ね、小さく深呼吸をする。
そして、エメラルドみたいな瞳に視線を合わせた。
「レイが制御の仕方教えてくれるんだよね?」
「ああ」
「なら俺、頑張るよ」
突如現れた人間の魔力制御。
大きなリスクを伴うのに利益にならない面倒な役。
"騎士団長"だから引き受けてくれたんだ。
レイは正義感が強いから。
俺はレイのためにも頑張ろうと固く決意した。
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