上 下
3 / 6

しおりを挟む
 チュンチュン

 ふうううう。

 絵に書いたような素晴らしい小鳥さんの鳴き声で目覚められた~。

「おっはよ~」

 おはようマリンちゃん。

「さてと、早いうちに出発するか」

「行くわよ行くわよ~!」

 しゅっぱーつ!

 ぷるぷる~!

 というわけで草原を歩いて......。

 川らしきところへ。

「川......幅は大体シグレ二人分くらいか」

 なんで単位が私!?

「橋は架かってなさそうね」

 あ、いつの間に私の脳内から出たんだろう。

 ぷるぷる

 渡れそうにないね~。

「むう......昔はここに橋があったんだがなあ」

 じゃあ橋を作って管理してる人とかいないの?

「ん~どうだか......」

 ぷるぷる!

 なあに?

 あ、看板。

「お、なになに......?」

《川を渡りたいならこっち→》

《特急橋渡し業者》

 特急橋渡し業者......?

「何がなんだか分からんがとにかく行ってみよう」

 矢印が指す道を行くと木組みの小屋があった。

 コンコン

 もしも~し! 特急橋渡し業者はここですか~!?

「はーい!」

 出てきたのは銅色の髪をしたタレ目な女の子。

 この子こそ普通であって欲しいなあ。

「なんのご用ですか?」

 橋を渡して欲しいんですよ。

「分かりました! それでは早速!」

 トントンカンカンギィギィ

「完成しました!」

 はやっ!

「それではお代金! 頂戴します!」

 あ、持ってないや。

「そうですか! ならば......」

 あ、怪しいお店ならシルプロちゃんのほうが良いと思いますよ!?

「ちょ!?」

「いえいえ、そういうのではありません!」

 じゃあどういうのですか?

「お金がないなら、体で......」

 チュ

 !?

 もしかして私またギネス記録更新した!?

「じゃ、私の小屋に行きませんか?」

 いやいやいやいや!

「そうよ! シグレは私のものよ!」

「私のシグレに手出しはさせん!」

 ぷるぷる!

「わ~大ピンチだ~!」

 えぇ......。

「ふふっ、そう言うと思いましたよ。あなた達百合の眼光してましたもん」

 なにそれ......!

 ていうか私は私の妹の物なんだからね!

「まあ良いです。あなた達どうやら旅をしてるっぽいので着いていきますね!」

 まあ、良いですけど......。

 戦えますか?

「まあ、私は無理ですけど......」

 ブイーン

「この子達がいますので!」

 丸い物体にカメラが付いて、プロペラで飛んでる......こっちの世界で言う所のドローンぽい。5,6機ほどかな?

 でもこれでどうやって戦うんですか?

「フフフ、見せてあげましょう!」

「まずあの岩がありますね?」

 はぁ。

「で、ドンです!」

 突然ドローンの両サイドから機関銃が!

 ババババババババ

 銃撃で岩は粉々に......。

 んーと、ヤバい!

「よろしくおねがいしますね、シグレさん!」

 地味にさっきの主張の時言ってた私の名前覚えてたんだ。侮れない......。

 そう言えば名前は?

「言ってなかったですね。ラステです」

 じゃあラステちゃんよろしく~!

「体はツケにしておきますね♪」

 う......。

「大丈夫だ。私が守る!」

 ぷるぷる

 というわけで! ラステちゃんが仲間になった! イェイ!

 というか......女神のマリンちゃんとリーマちゃんがいるから仲間を増やす必要ない気がするんだけど......。ま、いっか。賑やかな方が良いよね!

 そもそもラステちゃんはなんで私のこと好きなの?

「顔が可愛いから?」

「わ、私のほうがシグレの良いところ知ってるぞ!」

 はいはい。シルプロちゃんも可愛いから。

 私の妹には敵わないけど。

「むぅ......!」

「罪な女の子ね......」

 ぷる......ぷる......

 さ、次行こ?

「はーい!」

 というわけで......。

 おっきい町に来ました!

 やっぱり中世っぽいなあ。

「さて、ここに来たわけだが......どうする?」

 とにかく元の世界に帰るための賢者さんを探さないと......。

「まあとりあえずこの町の教会に行ってみましょう!」

 長くなるね~!

 というわけで教会!

 結構いい雰囲気だね~、妹との結婚式はここだね!

「シグレ! ここで私と結婚式を上げるぞ!」

「何いってんの!? 私よね!?」

 みんな考えること一緒なんだ......。

 今は何をしてるんだろう?

 ちょっと聞いてみよーっと。

 ちょっとシスターさーん!

「はぁい、なんですかぁ? あっ、教会ではぁ、お静かにぃ、お願いしますよぉ」

 舌っ足らずなシスターさんだ。

 なんかすごい賢者さん知ってますか!?

「凄いってぇ、どのくらいですかぁ?」

 えーっと......世界の間をワープするみたいな?

「うぅん......ごめんなさいぃ、分からないぃですぅ」

「しかしシグレ、考えても見ろ。そんな創作物的化け物的力を持った賢者がそんなぱっぱと出てくるわけがないじゃないか」

 うーん......だよねえ。

「じゃあなんかその凄い賢者がいるところに心当たりかなんか無いの?」

「うぅん......えぇとぉ......すみませぇん......」

 まあそうだよねぇ。

「とにかく、町中にいるかも知れないわ。一旦探してみましょう?」

 そうだね。そうしよ~!

 じゃあシスターさん、ありがとうございました!

「はいぃ。じゃぁバイバイですねぇ」

 教会を出たのは良いけど......。

 どこに行こう?

「私は特に無いな」

「観光名所とか無いんですかねぇ」

 ん~......あっ! あれに登ろうよ!

「時計塔? さすが私の嫁。いいセンスだ」

「そうね、私の嫁だものね」

「さっすが私のお嫁さんです!」

 妹をお嫁さんとして持つ私なんだから当然だよ~。

 時計塔に近づいてみるとすっごく大きかった。

 周りに階段がぐるっとあるけど......。

 これは登るの大変そうだなあ。

「よし、私がおんぶする!」

「ちょっと! 私もよ!」

「私もしたいです!」

「じゃあ私は?」

「どうぞどうぞって言うとでも思ったか!」

 喧嘩は駄目だよ~!

「じゃあこうしましょう!」

 結果......。

「ちょっとあんまりおさないでくださいよ!」

「誰だ今足踏んだやつ!」

 騎馬戦みたいな感じで登ることに! 恥ずかしい。

「頑張れ~」

 もうマリンちゃんってばぁ。

「じゃ、突撃するぞ?」

「はい!」

 え?

「総員ッ! 突撃ッ~!」

 ダダダダダ

 うわぁぁぁぁぁっ!

 ものすごいスピードで階段を駆け登ってあっという間に一番上に!

 でも足場が結構狭いよ、気をつけて!

「これは一旦おろしたほうが安全だな」

「そうね、残念だけれど」

 ドサッ

 よいしょ。

 うっ......提案したのは私だけど......高いと怖いなあ。

 風も吹いてるし......。

「大丈夫か!? 私に抱きつけ!」

「はいそこすぐそうやって抜け駆けしないの!」

「私にも公平にチャンスが与えられるべきです!」

 むぅ......。

 喧嘩しちゃうならマリンちゃんに抱きついちゃうもんね!

 ぎゅ

「わわっ、シグレちゃん強すぎだよ」

 えへへ。

「はぁ......」

「まったくシグレは......」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

婚約破棄されたあたしを助けてくれたのは白馬に乗ったお姫様でした

万千澗
ファンタジー
魔女の国――ユリリア国。 住んでいるのは女性だけ、魔法と呼ばれる力を扱う存在。 エネミット王国の孤児院で育ったあたしは伯爵家の使用人として働いていた。 跡取りのウィリアムと婚約を果たし、あたしの人生は順風満帆。 と、思っていた。 それはたった一夜で壊れていく。 どうやらあたしは”魔女”と呼ばれる存在で、エネミット王国からすれば敵となる存在。 衛兵から必死に逃げるも捕まったあたしは王都へと護送される。 絶望に陥る中、現れたのは白馬に乗った一人の少女。 どうやら彼女も魔女であたしを助けに来てくれたみたい。 逃げるには護衛を倒さないといけない。 少女は魔法と呼ばれる力を使って無力化を図る。 でも、少女が魔法を使うにはあたしとの”口づけ”が必要で――――。 ※小説家になろうでも連載中です

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

君は誰の手に?

かんな
恋愛
恋なんてしないと…そう思っていた。自分には縁もゆかりもない言葉だ……と、そう思っていた時期が私にもありました。 そして今……桜田菜乃花は…… 「私、菜乃花ちゃんのこと好きよ?」 「菜乃花のことが好きだ。大好きだ」 「菜乃花先輩のことが好きです。私だけを見てください!」 何故か三人に告白されました…… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 前作『三角関係はしんどい』の続編です。前作を見なくても楽しめる……と思います。 ※表紙の絵はAIのべりすとの絵です。菜乃花は平凡な顔立ちなのでめっちゃくちゃ試行錯誤しましたが、あれが限界でした。

現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

立風館幻夢/夜野一海
ファンタジー
世界を研究する「普通」の女子大学院生、「猪飼瑠璃(いかいるり)」、彼女は異世界人と友達になることを夢見て、日々研究に勤しんでいた。 ある日、いつものように大学院に向かっている最中、大地震に巻き込まれる。 ……揺れが収まり、辺りを見ると、得体のしれないモンスターと猫獣人が現れた!? あたふたしているうちに、瑠璃はダンジョンの中へと迷い込んでしまう。 その中で、エルフの少女、吸血鬼の少女、サキュバスの女性、ドワーフの男性と出会い、彼らとパーティを組むことになり……。 ※男性キャラも数人登場しますが、主人公及びヒロインに恋愛感情はありません。 ※小説家になろう、カクヨムでも更新中

さくらと遥香

youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。 さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。 ◆あらすじ さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。 さくらは"さくちゃん"、 遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。 同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。 ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。 同期、仲間、戦友、コンビ。 2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。 そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。 イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。 配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。 さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。 2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。 遥香の力になりたいさくらは、 「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」 と申し出る。 そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて… ◆章構成と主な展開 ・46時間TV編[完結] (初キス、告白、両想い) ・付き合い始めた2人編[完結] (交際スタート、グループ内での距離感の変化) ・かっきー1st写真集編[完結] (少し大人なキス、肌と肌の触れ合い) ・お泊まり温泉旅行編[完結] (お風呂、もう少し大人な関係へ) ・かっきー2回目のセンター編[完結] (かっきーの誕生日お祝い) ・飛鳥さん卒コン編[完結] (大好きな先輩に2人の関係を伝える) ・さくら1st写真集編[完結] (お風呂で♡♡) ・Wセンター編[不定期更新中] ※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

処理中です...