2 / 10
第一章
第2話 お兄様たちのお部屋
しおりを挟む
食後は自分の部屋に戻って一旦休憩。
胃を休めて準備を整えたら、お兄様たちのお部屋に出かける、んだけど。
「遠っ……」
僕の部屋から兄様たちの部屋まで結構な距離がある。毎食後こうして通っているから入り組んだ通路も迷うことはないけれど、とにかく遠い。これってどうにかならないものかな。
(いっそのこと、僕も一緒のお部屋にしてくださればいいのに)
この前も、この前の前も、この前の前の前も、何度もお願いしているのに、お父様は聞き入れてくださらない。なんでダメなんだろう。理由を聞いても答えてくださらないし……
考え事をしているうちに、部屋の前まで辿り着いた。重厚な両開きの扉の向こうには、真っ赤な絨毯、真っ赤な壁紙、真っ赤に燃える蝋燭の火……赤一色の世界が広がっている。
(部屋全体が真っ赤な血の色だなんて、本当に素敵!!)
毎回この部屋を見るたびにそう思わずにはいられない。
ここは、リエル兄様、ジュダ兄様、セイン兄様三人のお部屋だ。かなり広い部屋で、三人の執務用の机と椅子、三人掛けのソファが置かれている。ここでお兄様たちはお父様の執務の手伝いをしているんだ。
奥のスペースは厚いビロードのカーテンで仕切られていて棺が三つ置かれている。この配置にしていれば仕事中いつでも仮眠できて便利なんだとか。
さらに奥にはレースでしきられた一角があり、そこには大きなベッドが一台置かれている。棺があるのになぜベッドがあるのかというと、獲物を持って帰ってきた時に使うためらしい。
吸血鬼が効率的に暮らすのに最適な構造になっている部屋は機能的で、かつ美しい。ああ、僕もここで暮らしたい。
(でもなぁ……はぁ。お父様がうんと言ってくださらないことにはなぁ)
「どうしたの? 入ってくるなり物憂げな顔でため息なんてついちゃって。ほら、そんなところに立ってないでこっちにおいで」
ソファに手招きするのはリエル兄様。その他に人影はない。どうやら今この部屋にはリエル兄様しかいないらしい。
「いえ、あの……どうしたら僕も同室にしていただけるのかと考えていたんです。お父様に何度頼んでも断られてしまうので……」
ぽすんと兄様の隣に座ってそう話すと、兄様はくすりと笑って慰めるように言った。
「はは、まだそんなこと言ってるのか、アーシュは。いいじゃないか、このままで。一人の方が悠々暮らせるだろう? 私だって正直一人部屋がいいくらいだよ。ジュダとセインは起きてる時もうるさいけど、寝てる時も寝言やらいびきやらで静かにしてる時がないんだから」
へえ、ジュダ兄様とセイン兄様はいびきをかくのか。……僕は大丈夫かな? 自分じゃわからないから心配だ。今度メイドか執事に聞いてみよう、と考えていると、ガタンとドアが開いて部屋にジュダ兄様とセイン兄様が入ってきた。
胃を休めて準備を整えたら、お兄様たちのお部屋に出かける、んだけど。
「遠っ……」
僕の部屋から兄様たちの部屋まで結構な距離がある。毎食後こうして通っているから入り組んだ通路も迷うことはないけれど、とにかく遠い。これってどうにかならないものかな。
(いっそのこと、僕も一緒のお部屋にしてくださればいいのに)
この前も、この前の前も、この前の前の前も、何度もお願いしているのに、お父様は聞き入れてくださらない。なんでダメなんだろう。理由を聞いても答えてくださらないし……
考え事をしているうちに、部屋の前まで辿り着いた。重厚な両開きの扉の向こうには、真っ赤な絨毯、真っ赤な壁紙、真っ赤に燃える蝋燭の火……赤一色の世界が広がっている。
(部屋全体が真っ赤な血の色だなんて、本当に素敵!!)
毎回この部屋を見るたびにそう思わずにはいられない。
ここは、リエル兄様、ジュダ兄様、セイン兄様三人のお部屋だ。かなり広い部屋で、三人の執務用の机と椅子、三人掛けのソファが置かれている。ここでお兄様たちはお父様の執務の手伝いをしているんだ。
奥のスペースは厚いビロードのカーテンで仕切られていて棺が三つ置かれている。この配置にしていれば仕事中いつでも仮眠できて便利なんだとか。
さらに奥にはレースでしきられた一角があり、そこには大きなベッドが一台置かれている。棺があるのになぜベッドがあるのかというと、獲物を持って帰ってきた時に使うためらしい。
吸血鬼が効率的に暮らすのに最適な構造になっている部屋は機能的で、かつ美しい。ああ、僕もここで暮らしたい。
(でもなぁ……はぁ。お父様がうんと言ってくださらないことにはなぁ)
「どうしたの? 入ってくるなり物憂げな顔でため息なんてついちゃって。ほら、そんなところに立ってないでこっちにおいで」
ソファに手招きするのはリエル兄様。その他に人影はない。どうやら今この部屋にはリエル兄様しかいないらしい。
「いえ、あの……どうしたら僕も同室にしていただけるのかと考えていたんです。お父様に何度頼んでも断られてしまうので……」
ぽすんと兄様の隣に座ってそう話すと、兄様はくすりと笑って慰めるように言った。
「はは、まだそんなこと言ってるのか、アーシュは。いいじゃないか、このままで。一人の方が悠々暮らせるだろう? 私だって正直一人部屋がいいくらいだよ。ジュダとセインは起きてる時もうるさいけど、寝てる時も寝言やらいびきやらで静かにしてる時がないんだから」
へえ、ジュダ兄様とセイン兄様はいびきをかくのか。……僕は大丈夫かな? 自分じゃわからないから心配だ。今度メイドか執事に聞いてみよう、と考えていると、ガタンとドアが開いて部屋にジュダ兄様とセイン兄様が入ってきた。
302
あなたにおすすめの小説
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
双子のスパダリ旦那が今日も甘い
ユーリ
BL
「いつになったらお前は学校を辞めるんだ?」「いつになったら俺らの仕事の邪魔をする仕事をするんだ?」ーー高校二年生の柚月は幼馴染の双子と一緒に暮らしているが、毎日のように甘やかされるも意味のわからないことを言ってきて…「仕事の邪魔をする仕事って何!?」ーー双子のスパダリ旦那は今日も甘いのです。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる