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第8章
第410話 番外編:テアの部屋②(ほんのちょい※)
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(まぁテアの部屋で勉強させてもらえばいいもんね。遊びに行くんじゃないから大丈夫、大丈夫)
自分に言い訳しながら勉強道具を持ってテアの部屋に行くと、そこには彼のイメージカラーである青を基調に素敵にコーディネートされた空間が広がっていた。
「ふわぁ、オシャレな部屋!!!」
「そうかな~? 褒めてもらえてうれしい~」
思っていた通り、桃のような良い香りもする。
そして何と言っても目を引くのが、大きな鏡のついたゴージャスなドレッサーと、天板がガラスになっているコレクションテーブルで、中の小さく区切った仕切りの一つ一つに宝石が入っていてとてつもなく美しい。
「すっごい数の宝石だね」
「なんかね~寝ている間に宝石がよく枕元に落ちてるから、それを飾ってるんだよぉ。そういうことってよくあるでしょ~?」
「うう~ん……僕はないかな」
すると、コレクションテーブルの前のソファに腰を下ろしたリリーが言う。
「どうせテアが仕舞い忘れたのが枕元に転がってただけでしょ? 僕もさ、気づいたらすぐ部屋中に物が転がってて足の踏み場がなくなるんだよ。あれってほんと不思議だよね」
(いや、それはリリーが自分で散らかしてるだけだと思うけど……)
「そうかナ~。部屋は綺麗なほうが好きだから片付けは毎日ちゃんとしてるのにぃ」
そんな会話をしながら、僕がいつものようにみんなの分のお茶を淹れようとキッチンに向かうと、テアが止めた。
「オヒメサマがここのキッチン使うと魔力を使いすぎて疲れちゃうかもしれないから、今日はテアがお茶を淹れるよ。向こうで待ってて~」
「お茶淹れるくらいなら平気だと思うけど。ありがとっ」
「そうだね。前僕の部屋でパンケーキ作って倒れたことがあるし、やめておいた方がいいよ。あ、テア、僕のはこの前のアレもつけて!」
「リリー、アレ気に入ったの? いいよ~」
「あれって何?」
「これだよ~」と言ってテアが見せてくれたのは、紫色のジャムが詰まった瓶だった。
「メガネも試してみなよ。テアオススメの甘酸っぱいジャムで、濃い紅茶とよく合うんだよ。ジャム舐めながら紅茶を飲むんだって」
(へぇ、そんな飲み方があるのか……)
「やったことないけど、おいしそぅ」
「これね~美味しいだけじゃなくて栄養たっぷりだからお肌にもいいんだよォ。た~っぷり添えておくね」
紅茶を待ってる間、センスのいい部屋をあちこち見て楽しんでいると、少し開いた寝室のドアの隙間からコロコロ笑いながら妖精がベッドで何かしているのが見えた。枕の下に何か隠しているみたい。
寝室に入り、そっと近寄って枕を持ち上げてみると、そこにはピンクの宝石が落ちていた。
「テア、枕のとこにピンクの宝石があるよ」
「あれ~? まだあった? 今朝はブルーグリーンのトルマリンを見つけたからもうないと思ってたんだけど~」
「妖精が今置いて行ったんだよ」って伝えるべきだろうかと迷っていたら、妖精が「し~っ」とイタズラ顔で人差し指を立て、内緒のポーズをしたから言わないことにした。
妖精も窓の隙間から出て行ったので、テアたちのいる部屋に戻ろうとした時だった。ガラガラと積まれた物が落ちるような音がし、何かが足元に転がった。
「何だろ? 縄?」
拾ってみると、柔らかいスライムみたいな触り心地の変な縄だった。こんなにプニプニした縄じゃ使いにくそうだけど、何に使うんだろ。
どこから落ちてきたのか見回せば、クローゼットの扉が半開きになっていることに気づいた。
(クローゼットの中身が崩れて出てきたのかも。戻しておこう)
「あ、そうだ。寝室の横のクローゼットに大人の魔道具のコレクションがあるんだけど、後で見せてあげるね~。触るだけで起動するやつならキルナサマでも簡単に使えると思うから貸してあげるよ~」
テアの声が寝室の扉の向こうから聞こえてくる。
けど……返事ができない!!
手に持った縄? は触れた瞬間に僕の体を拘束し一瞬にして身動きが取れなくなってしまった。ちょうどそこにあったベッドにボフンと倒れた体が受け止められたことで床に激突することは避けられたけども、どう考えてもやばい。体はぐるぐる巻きに縛られて口も猿轡みたいになってて声が出せない。
「んーっ、んーーー!!!」
(た、助けてぇ~!!!)
「あれ? キルナサマは~?」
「寝室から戻ってこないね。寝ちゃったんじゃない? 僕のお気に入りを教えてあげるまでもなかったね。あぁ、このジャムやっぱり美味しい~! 紅茶と別で舐めるのもいいけど、僕は中に入れたほうが好きだね」
「じゃあこのまま寝かせといてあげよっかぁ。ふふふ、リリーはほんと甘いの好きだネ~。テアは紅茶とジャムは別々の方が甘みが調節できるから好き~」
なんてこと! 二人は僕がまずい状況になってることに気づいてない。扉を開けっぱなしにしておけばよかったのに、入った時に閉めちゃったから見えないんだ。
力を入れてもガッチリ巻き付いた縄は全然解けない。
しかもこの縄生きてるみたいにちょっと動き出したような……あ、ちょっ、そんなとこでモゾモゾ動かれたら……
「っん……っ……ぁ……」
(ふえええん、これ、どうやったら解けるの!?)
自分に言い訳しながら勉強道具を持ってテアの部屋に行くと、そこには彼のイメージカラーである青を基調に素敵にコーディネートされた空間が広がっていた。
「ふわぁ、オシャレな部屋!!!」
「そうかな~? 褒めてもらえてうれしい~」
思っていた通り、桃のような良い香りもする。
そして何と言っても目を引くのが、大きな鏡のついたゴージャスなドレッサーと、天板がガラスになっているコレクションテーブルで、中の小さく区切った仕切りの一つ一つに宝石が入っていてとてつもなく美しい。
「すっごい数の宝石だね」
「なんかね~寝ている間に宝石がよく枕元に落ちてるから、それを飾ってるんだよぉ。そういうことってよくあるでしょ~?」
「うう~ん……僕はないかな」
すると、コレクションテーブルの前のソファに腰を下ろしたリリーが言う。
「どうせテアが仕舞い忘れたのが枕元に転がってただけでしょ? 僕もさ、気づいたらすぐ部屋中に物が転がってて足の踏み場がなくなるんだよ。あれってほんと不思議だよね」
(いや、それはリリーが自分で散らかしてるだけだと思うけど……)
「そうかナ~。部屋は綺麗なほうが好きだから片付けは毎日ちゃんとしてるのにぃ」
そんな会話をしながら、僕がいつものようにみんなの分のお茶を淹れようとキッチンに向かうと、テアが止めた。
「オヒメサマがここのキッチン使うと魔力を使いすぎて疲れちゃうかもしれないから、今日はテアがお茶を淹れるよ。向こうで待ってて~」
「お茶淹れるくらいなら平気だと思うけど。ありがとっ」
「そうだね。前僕の部屋でパンケーキ作って倒れたことがあるし、やめておいた方がいいよ。あ、テア、僕のはこの前のアレもつけて!」
「リリー、アレ気に入ったの? いいよ~」
「あれって何?」
「これだよ~」と言ってテアが見せてくれたのは、紫色のジャムが詰まった瓶だった。
「メガネも試してみなよ。テアオススメの甘酸っぱいジャムで、濃い紅茶とよく合うんだよ。ジャム舐めながら紅茶を飲むんだって」
(へぇ、そんな飲み方があるのか……)
「やったことないけど、おいしそぅ」
「これね~美味しいだけじゃなくて栄養たっぷりだからお肌にもいいんだよォ。た~っぷり添えておくね」
紅茶を待ってる間、センスのいい部屋をあちこち見て楽しんでいると、少し開いた寝室のドアの隙間からコロコロ笑いながら妖精がベッドで何かしているのが見えた。枕の下に何か隠しているみたい。
寝室に入り、そっと近寄って枕を持ち上げてみると、そこにはピンクの宝石が落ちていた。
「テア、枕のとこにピンクの宝石があるよ」
「あれ~? まだあった? 今朝はブルーグリーンのトルマリンを見つけたからもうないと思ってたんだけど~」
「妖精が今置いて行ったんだよ」って伝えるべきだろうかと迷っていたら、妖精が「し~っ」とイタズラ顔で人差し指を立て、内緒のポーズをしたから言わないことにした。
妖精も窓の隙間から出て行ったので、テアたちのいる部屋に戻ろうとした時だった。ガラガラと積まれた物が落ちるような音がし、何かが足元に転がった。
「何だろ? 縄?」
拾ってみると、柔らかいスライムみたいな触り心地の変な縄だった。こんなにプニプニした縄じゃ使いにくそうだけど、何に使うんだろ。
どこから落ちてきたのか見回せば、クローゼットの扉が半開きになっていることに気づいた。
(クローゼットの中身が崩れて出てきたのかも。戻しておこう)
「あ、そうだ。寝室の横のクローゼットに大人の魔道具のコレクションがあるんだけど、後で見せてあげるね~。触るだけで起動するやつならキルナサマでも簡単に使えると思うから貸してあげるよ~」
テアの声が寝室の扉の向こうから聞こえてくる。
けど……返事ができない!!
手に持った縄? は触れた瞬間に僕の体を拘束し一瞬にして身動きが取れなくなってしまった。ちょうどそこにあったベッドにボフンと倒れた体が受け止められたことで床に激突することは避けられたけども、どう考えてもやばい。体はぐるぐる巻きに縛られて口も猿轡みたいになってて声が出せない。
「んーっ、んーーー!!!」
(た、助けてぇ~!!!)
「あれ? キルナサマは~?」
「寝室から戻ってこないね。寝ちゃったんじゃない? 僕のお気に入りを教えてあげるまでもなかったね。あぁ、このジャムやっぱり美味しい~! 紅茶と別で舐めるのもいいけど、僕は中に入れたほうが好きだね」
「じゃあこのまま寝かせといてあげよっかぁ。ふふふ、リリーはほんと甘いの好きだネ~。テアは紅茶とジャムは別々の方が甘みが調節できるから好き~」
なんてこと! 二人は僕がまずい状況になってることに気づいてない。扉を開けっぱなしにしておけばよかったのに、入った時に閉めちゃったから見えないんだ。
力を入れてもガッチリ巻き付いた縄は全然解けない。
しかもこの縄生きてるみたいにちょっと動き出したような……あ、ちょっ、そんなとこでモゾモゾ動かれたら……
「っん……っ……ぁ……」
(ふえええん、これ、どうやったら解けるの!?)
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