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第8章
第407話 ルーナの花探し⑤
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「すごく綺麗なペンダント。こんなの貰っていいの? 中に何か入ってるみたいだけど……もしかして」
中身は薬だったりして?
僕の体が心配で、これをくれるっていうのだからその確率は高いよね。
うう、見た目は好きだけど大嫌いな薬を持ち歩く気にはならなくて、受け取るのを躊躇ってしまう。香水とかなら大歓迎なんだけど。
「これは~『ルーナのしずく』が入ったペンダントだよ。やみのまりょくをおさえるのはむりだけど~これでおなかのいたみをやわらげることができるよ~」
「ルーナの? い、いらない」
(薬じゃないけど、もっと恐ろしいものが入ってる!?)
闇の中で虹色に光る妖精たちと同じように神々しく金色に輝くペンダントはしずくの形をしていてとても美しい。妖精からの贈り物なんて、しかも痛みを和らげてくれる効果があるなんて、普通ならありがたく戴くところなのだろうけど、僕はペンダントから離れるように後ずさり絶対に受け取らないように手も後ろに隠した。
「どうして~? ちょびっとしかとれないのに~」
「おひめさまのために~ようせいおうがつくったのに~?」
「これのためにはやおきしたのに~?」
周りの妖精たちがやいやい文句を言い始めたけれど、こればっかりは受け取るわけにはいかない。
「だって『ルーナの雫』というくらいだし、花のエキスとかが入ってるんじゃないの? それって猛毒でしょ? 危険すぎるよ……」
(花びらと雫じゃ効果が違うかもしれない。でももしこれが僕以外の人の口に入ったら死ぬ、とかだったら?)
真っ先に頭に思い浮かんだのはユジンのハーブティーにキルナがルーナの花びらを仕込んで毒殺しようとするゲームのイベントだった。もちろんそんなことを絶対にするつもりはないけれど、イベントは勝手に起きる可能性がある。
今までも主要なイベントは起きていたし、つい最近だって、特に悪さをしていなくても僕はゲームのキルナと同じように学園で嫌われて悪口を言われまくっていた。
今では大好きなユジンにも避けられるようになってゲーム通りの展開に……(これは自業自得だけど)
ユジンを殺そうとする自分の姿を想像すると鳥肌がたった。同時に毒を飲んだ時の痛みと恐怖が鮮やかに蘇ってくる。
これで闇の魔力暴発問題が解決するならともかく、痛みを和らげるだけなんだったら契約するその日まで痛みを我慢していた方がマシ!
「毒は怖いの。痛いのは我慢できるから、それは持って帰って。お願い」
あまりに頑なな僕の態度を見て、ツインテールの妖精が困った顔で笑った。
「これはルーナのあさつゆをあつめたものだからひとのくちにはいってもどくにはならないよ~」
「え、そうなの?」
きちんと落ち着いて話を聞くと、毒になるどころか、人が摂取すると再生作用が働いて大きな怪我でもたちどころに治せるのだとか。使用方法は簡単で、お腹が痛い時に紅茶に入れて飲めばいいらしい。
ふむふむと詳しい説明を聞いている間に、妖精たちが恭しくそれを運び、僕の首にペンダントをかけてくれた。聞けば聞くほどすごい代物だった。妖精たちが毎日早起きしてルーナの花についた朝露を集めて作った『ルーナの雫』を早とちりして拒否したことを謝ると、彼らはコロコロと笑いながら僕の頬にキスをする。
「ありがとぅ」
「でもきをつけて~。ルーナのはなはね~、しきがちかづいたときにさくはなだから~」
え?
死期が近づいた時に咲く……って、どういうことだろう。そういえば前回ルーナの花を見たあと僕はお母様に殺されかけたのだった。
また何かが起きるの? いや、何もしなくても契約できなければもうすぐ死ぬけど、そのことを言ってるの?
「アレはきみのからだをねらってる。きをつけて~~~」
「ね、アレって何?」
聞いたけど返事はない。ピンクのツインテールの妖精はもういなかった。妖精だけじゃない。すぐ側にいたはずのクライスもいない。気づけば一人になっていて、真っ暗な中で彼の姿を探す。
「あれ。どこ!? どこにいったの!? クライス!!!」
中身は薬だったりして?
僕の体が心配で、これをくれるっていうのだからその確率は高いよね。
うう、見た目は好きだけど大嫌いな薬を持ち歩く気にはならなくて、受け取るのを躊躇ってしまう。香水とかなら大歓迎なんだけど。
「これは~『ルーナのしずく』が入ったペンダントだよ。やみのまりょくをおさえるのはむりだけど~これでおなかのいたみをやわらげることができるよ~」
「ルーナの? い、いらない」
(薬じゃないけど、もっと恐ろしいものが入ってる!?)
闇の中で虹色に光る妖精たちと同じように神々しく金色に輝くペンダントはしずくの形をしていてとても美しい。妖精からの贈り物なんて、しかも痛みを和らげてくれる効果があるなんて、普通ならありがたく戴くところなのだろうけど、僕はペンダントから離れるように後ずさり絶対に受け取らないように手も後ろに隠した。
「どうして~? ちょびっとしかとれないのに~」
「おひめさまのために~ようせいおうがつくったのに~?」
「これのためにはやおきしたのに~?」
周りの妖精たちがやいやい文句を言い始めたけれど、こればっかりは受け取るわけにはいかない。
「だって『ルーナの雫』というくらいだし、花のエキスとかが入ってるんじゃないの? それって猛毒でしょ? 危険すぎるよ……」
(花びらと雫じゃ効果が違うかもしれない。でももしこれが僕以外の人の口に入ったら死ぬ、とかだったら?)
真っ先に頭に思い浮かんだのはユジンのハーブティーにキルナがルーナの花びらを仕込んで毒殺しようとするゲームのイベントだった。もちろんそんなことを絶対にするつもりはないけれど、イベントは勝手に起きる可能性がある。
今までも主要なイベントは起きていたし、つい最近だって、特に悪さをしていなくても僕はゲームのキルナと同じように学園で嫌われて悪口を言われまくっていた。
今では大好きなユジンにも避けられるようになってゲーム通りの展開に……(これは自業自得だけど)
ユジンを殺そうとする自分の姿を想像すると鳥肌がたった。同時に毒を飲んだ時の痛みと恐怖が鮮やかに蘇ってくる。
これで闇の魔力暴発問題が解決するならともかく、痛みを和らげるだけなんだったら契約するその日まで痛みを我慢していた方がマシ!
「毒は怖いの。痛いのは我慢できるから、それは持って帰って。お願い」
あまりに頑なな僕の態度を見て、ツインテールの妖精が困った顔で笑った。
「これはルーナのあさつゆをあつめたものだからひとのくちにはいってもどくにはならないよ~」
「え、そうなの?」
きちんと落ち着いて話を聞くと、毒になるどころか、人が摂取すると再生作用が働いて大きな怪我でもたちどころに治せるのだとか。使用方法は簡単で、お腹が痛い時に紅茶に入れて飲めばいいらしい。
ふむふむと詳しい説明を聞いている間に、妖精たちが恭しくそれを運び、僕の首にペンダントをかけてくれた。聞けば聞くほどすごい代物だった。妖精たちが毎日早起きしてルーナの花についた朝露を集めて作った『ルーナの雫』を早とちりして拒否したことを謝ると、彼らはコロコロと笑いながら僕の頬にキスをする。
「ありがとぅ」
「でもきをつけて~。ルーナのはなはね~、しきがちかづいたときにさくはなだから~」
え?
死期が近づいた時に咲く……って、どういうことだろう。そういえば前回ルーナの花を見たあと僕はお母様に殺されかけたのだった。
また何かが起きるの? いや、何もしなくても契約できなければもうすぐ死ぬけど、そのことを言ってるの?
「アレはきみのからだをねらってる。きをつけて~~~」
「ね、アレって何?」
聞いたけど返事はない。ピンクのツインテールの妖精はもういなかった。妖精だけじゃない。すぐ側にいたはずのクライスもいない。気づけば一人になっていて、真っ暗な中で彼の姿を探す。
「あれ。どこ!? どこにいったの!? クライス!!!」
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