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第8章
第394話 テストの結果発表
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ついにこの日が来てしまった。
「クマができてる。眠れなかったのか?」
「うん……」
今日はこの前受けたテストの結果発表の日。きっといい結果だろうと何十回も考え、良くない結果だった場合のことも何十回も考え、昨夜はなかなか眠ることができなかった。
クライスと手を繋ぎ、掲示板のある広場へと向かう。そこは校舎のすぐ横にあり、色とりどりの花が咲き鳥が囀る長閑な広場だ。(お昼休みにはここに敷物を敷いてご飯を食べる生徒もいるらしい)
だけど、そんな風景を前にしても僕の気は全然休まらず、胃がぎゅっと引き攣るように痛む。朝食べたものが出てきそうだ。もう掲示板の前には人だかりができている。
(ふぅ、落ち着け…結構手応えはあったし、魔法史の記述も思ったより書けたから、大丈夫、大丈夫)
僕は手の平を胸の前で合わせ、祈るようなポーズで発表を待った。掲示板は今は何もない木の板だけど、時間になったら順位と名前が浮かび上がってくるはずだ。(この特殊な文字は魔法文字といい、好きな時間に浮かび上がらせ好きな時間に消すことができる。とても便利なのだけど、結構な魔力を消費するから書くのは結構難しい)
(あ、じわじわと青い文字が浮かんできた……。僕は何位だろう?)
いつも大体70から80位の間だから、癖でその辺を探すけど、見つからない。う~ん…どこ? 希望を持ってそこから上を見ていく。70…60………30。なんてこと、名前が無い!
「やっぱり駄目だったんだ……」
今思えば計算問題をたくさんミスしたような気がする。魔法史だって自分では書けたつもりだったけど、見当違いな答えを書いてしまったかも。そもそもキルナがバカなのはゲームのデフォルトだから変更不可だったり? だとしたら僕の頑張りは無駄だったのかな。ずしんと重い石がお腹に詰まって、目の前が真っ暗になりそうだった。奈落の底に落ちそうな自分に気づき、ブルブルと首を振る。
(ううん、暗くなる必要なんてない。僕は僕なりにこれ以上無理ってくらい頑張った。でも頑張ったのは自分だけじゃないのだから仕方がないよ。二学期と三学期の期末試験がまだあるし。また次頑張ればいい)
今度は70位より下を目で探しながら、自分に向けて慰めの言葉をかける。滲む涙を袖でこっそり拭って、できるだけポジティブになろうと心を砕いていると、隣にいたクライスが僕の頭をポフポフしながら声をかけてきた。
「キルナ、よかったな」
「ふぇ?」
よかった?
クライスの不思議な言葉に首を傾げる。良くなさそうで僕の気分はどん底なのに、なんでそんなに嬉しそうなのだろう。
「10位じゃないか。毎日頑張ってたもんな」
一瞬何を言われているのかわからなかった。急いで上の方を探すと、
「え!? あった」
“10位 キルナ=フェルライト”
と書いてある。そんなに上位に名前があるとは考えもしなかったから、まだ確認していなかった。
(うぅ、ほんとに僕の名前が載ってる。よかった……)
感極まっている僕に、クライスは訊いた。
「なぁ、ずっと聞きたかったんだが。どうして急にいい点数を取りたいと思ったんだ? 昔はそんなこと気にしてなかっただろ?」
「だって、僕がもっと賢くなればクライスを助けられるかと思って」
「俺を助ける?」
「王宮の仕事が大変なんでしょ? だから王宮から帰ってきてから元気がなかったんでしょ? これからは僕が仕事を手伝ってあげるから。クライスの負担を減らしてあげられるよ」
「あんなに必死に頑張っていたのは俺のためだったのか。キルナ、お前はほんとに……」
あれ? 体がふわりと浮き上がり、視界に青空が広がる。掲示板を見にきた生徒たちが密集しているこの場所でまさか僕、
お姫様抱っこされている!?
「お、下ろしてってばあぁ」
僕の悲鳴に驚いた鳥たちが一斉に飛び立ち、目の前を横切っていった。
「クマができてる。眠れなかったのか?」
「うん……」
今日はこの前受けたテストの結果発表の日。きっといい結果だろうと何十回も考え、良くない結果だった場合のことも何十回も考え、昨夜はなかなか眠ることができなかった。
クライスと手を繋ぎ、掲示板のある広場へと向かう。そこは校舎のすぐ横にあり、色とりどりの花が咲き鳥が囀る長閑な広場だ。(お昼休みにはここに敷物を敷いてご飯を食べる生徒もいるらしい)
だけど、そんな風景を前にしても僕の気は全然休まらず、胃がぎゅっと引き攣るように痛む。朝食べたものが出てきそうだ。もう掲示板の前には人だかりができている。
(ふぅ、落ち着け…結構手応えはあったし、魔法史の記述も思ったより書けたから、大丈夫、大丈夫)
僕は手の平を胸の前で合わせ、祈るようなポーズで発表を待った。掲示板は今は何もない木の板だけど、時間になったら順位と名前が浮かび上がってくるはずだ。(この特殊な文字は魔法文字といい、好きな時間に浮かび上がらせ好きな時間に消すことができる。とても便利なのだけど、結構な魔力を消費するから書くのは結構難しい)
(あ、じわじわと青い文字が浮かんできた……。僕は何位だろう?)
いつも大体70から80位の間だから、癖でその辺を探すけど、見つからない。う~ん…どこ? 希望を持ってそこから上を見ていく。70…60………30。なんてこと、名前が無い!
「やっぱり駄目だったんだ……」
今思えば計算問題をたくさんミスしたような気がする。魔法史だって自分では書けたつもりだったけど、見当違いな答えを書いてしまったかも。そもそもキルナがバカなのはゲームのデフォルトだから変更不可だったり? だとしたら僕の頑張りは無駄だったのかな。ずしんと重い石がお腹に詰まって、目の前が真っ暗になりそうだった。奈落の底に落ちそうな自分に気づき、ブルブルと首を振る。
(ううん、暗くなる必要なんてない。僕は僕なりにこれ以上無理ってくらい頑張った。でも頑張ったのは自分だけじゃないのだから仕方がないよ。二学期と三学期の期末試験がまだあるし。また次頑張ればいい)
今度は70位より下を目で探しながら、自分に向けて慰めの言葉をかける。滲む涙を袖でこっそり拭って、できるだけポジティブになろうと心を砕いていると、隣にいたクライスが僕の頭をポフポフしながら声をかけてきた。
「キルナ、よかったな」
「ふぇ?」
よかった?
クライスの不思議な言葉に首を傾げる。良くなさそうで僕の気分はどん底なのに、なんでそんなに嬉しそうなのだろう。
「10位じゃないか。毎日頑張ってたもんな」
一瞬何を言われているのかわからなかった。急いで上の方を探すと、
「え!? あった」
“10位 キルナ=フェルライト”
と書いてある。そんなに上位に名前があるとは考えもしなかったから、まだ確認していなかった。
(うぅ、ほんとに僕の名前が載ってる。よかった……)
感極まっている僕に、クライスは訊いた。
「なぁ、ずっと聞きたかったんだが。どうして急にいい点数を取りたいと思ったんだ? 昔はそんなこと気にしてなかっただろ?」
「だって、僕がもっと賢くなればクライスを助けられるかと思って」
「俺を助ける?」
「王宮の仕事が大変なんでしょ? だから王宮から帰ってきてから元気がなかったんでしょ? これからは僕が仕事を手伝ってあげるから。クライスの負担を減らしてあげられるよ」
「あんなに必死に頑張っていたのは俺のためだったのか。キルナ、お前はほんとに……」
あれ? 体がふわりと浮き上がり、視界に青空が広がる。掲示板を見にきた生徒たちが密集しているこの場所でまさか僕、
お姫様抱っこされている!?
「お、下ろしてってばあぁ」
僕の悲鳴に驚いた鳥たちが一斉に飛び立ち、目の前を横切っていった。
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