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第7章

第365話 目玉焼きハンバーグとお仕置きルート※

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ゴゴゴゴゴと渦を巻くような禍々しいオーラに満ちたこの部屋はさながら魔界のよう……。

でも勇気ある弟ユジンは魔王(クライス)にひるむことなく、ことのあらましを説明してくれた。ユジンのわかりやすい説明のおかげで僕らの誤解は解けたと思うのだけど、残念ながら魔王の眉間のしわは消えていない。

ユジンは部屋に帰され、僕とクライスの二人でちょっと気まずい昼食タイムとなった。

「……話は後だな。とにかく昼ごはんを食べよう。何がいい?」
「えと、目玉焼きハンバーグ」
「なんだそれは?」
「細かくしたお肉に卵とか野菜とか入れて丸めて焼いた、ハンバーグって料理に焼いた卵をのっけたやつ」

なら俺もそれにしよう、と呪文を唱え手を当てる。魔法陣が一瞬光って準備完了。これでベンスが作ったものを送ってくれる。

「コロッケもそうだがベンスは変わった料理を作るな」
「あ、コロッケって実は僕が教えたの。中の具材はベンスが考えて海の幸とかお肉とかをアレンジして入れてくれるから食べてみるまで味はわからないのだけど。他にも知ってるレシピを教えて色々作ってもらってるんだよ」
「キルナが?」
「ん」
「なぜベンスも知らないレシピをキルナが知っているんだ?」
「えと、それは……夢で見たの。お母さんが料理を教えてくれる夢」
「夢?」

焦って適当な言い訳をすると、クライスは痛ましそうな顔で僕をみる。

「キルナがそこまであの母親のことを想っていたとは……」
「んぇ?」

あ、しまった。これ前世のお母さんのことをお母様と勘違いしてるかも。優しいお母様を妄想してる可哀想な子だと思われてしまった? 

「本当に会うつもりか?」
「うん。ユジンには止められたけど」
「俺も会わない方がいいと思うが…お前がそこまで会いたいというなら、公爵に相談してみるといい」
「ん、わかった」
「会わない方がいいと思うが」

もう一度そう言われ、クライスの強い気持ちが伝わってくる。ユジンもクライスも僕をお母様に会わせたくないらしい。

ーーでも会いたいの。


食事も終わると、クライスが午後に予定していた医務室の治療に向かう時間が迫っていた。時間もないし、このまま準備して出かけるのだろうと思っていたら、なぜか僕をお姫様抱っこして寝室へと向かう。

(あれ? なんで寝室?)

過去の経験から考えて、ピンときた。もしや…この流れってお仕置きルート!? 
抱っこしてくれている彼を見上げると「お前の考えている通りだ」と頷かれる。穏やかな昼食タイムを挟み、なんとなく逃れられたような気がしたのは気のせいだったみたい。

「状況は理解したが、俺のいない間に他の男と抱き合っていたのは許せない」
「うぅ…ごめん」

そうだよね。僕だって(どんな事情があるにせよ)クライスが違う人と抱き合ってたら嫌だし。これは間違いなく僕が悪い……。


ベッドに下ろされ、裸になって猫のポーズになるよう指示された。言われたとおり、四つん這いになり、お尻を高く上げて待つ。

(昼間から僕一人だけ服を脱いでこんなポーズ……恥ずかしすぎる)


くちゅうっとお尻の穴に、ローションを纏ったクライスの指が一本挿入された。塗り込められたところが熱く痒くなるタイプのスライムローションだ。

ぬくぬくぬくっ……

「あ…あ…ああ…あ…」

繊細な指遣いで奥の方まで丁寧に塗り終えると、何かがぴたりとおしりの穴にあてがわれた。振り向くと、卵みたいな形の白い物体が見える。

「それ…なに?」
「卵形のローターだ。小さいから2つ、いや3つ入れておこう」

先に入れた卵を次の卵が押す形で、どんどん奥へと入れられる。ピンポン玉より少し大きいくらいのそれを、朝までずっと彼のを入れっぱなしだった僕のソコは、柔らかく受け入れていく。全て入れるとお腹がパンパンになった気がした。

満たされているけど、違う。
ああ、こんなんじゃなくて、もっと欲しいものがあるのに……とそこが疼く。

「はぁ…クライス……これいや。くるしっ…取って」
「嫌じゃないとお仕置きにならないだろう? それに、苦しいのは今だけで、すぐ気持ち良くなる」

彼が魔力を込めると、お尻の中のローターがいっぺんに動き出した。3つの卵がそれぞれ振動してかちゃかちゃぶつかり合うと、相乗効果で一層激しく震える。

その度に気持ちいいところを刺激され、みっともなくおしりを振ってしまった。クライスは揺れる僕のおしりを掴んでさらに何かを挿入する。それに押されてより深くまで卵形ローターが入り込み、目がチカチカした。

「んはぁ…あぁ…や……あぁっ」
「アナルプラグで塞いだからこれでもう中の魔道具は出てこない。外すなよ。俺が帰ってきたら取ってやる」

って、え? 帰ってくるまでこのまま放置ってこと!!? 嘘でしょ!?

「いや、おいていかないで……」
「俺のことだけ考えて待っていろ」
「そん…なぁ…ふぁ…ん……んぅ」

頭をぽふぽふ撫でてそのまま重なった唇が甘くて。この訳のわからない状況のことを一瞬忘れ、それに浸った。

(クライスのキス、好き。大好き。このままずっとキスしていたい……)

でもその願いも虚しく唇は離れていってしまう。


「水と食料はサイドテーブルに置いておく。手枷の鎖はベッドに繋いでいるが、トイレには行ける長さにしてある。ああ、あと、忘れてた。これもつけておかないとな」

淡々と告げる彼の情報量の多さについていけない。両手首をみると、知らないうちに黒い手枷が嵌まっていて、長い鎖の先がベッドの柵に繋がっていた。

そして、ペニスの根元に取り付けられたのはお馴染みの金のリングで、このリングの恐ろしさを知っている僕は必死でクライスの服を掴んで訴えた。

「これはムリ……はずしてぇ」
「精液を出しすぎて魔力が枯渇しては困るからな。帰ってきたらたくさん可愛がってやる。良い子で待っていろ」

僕の叫びを無視し、彼は予定通り医務室に出かけていった。


「ん…ぁああ…また…うごきだしたぁ…くっ…はぁはぁ…はや…く…もどってきて…クライスぅ……」

誰にも届かないと分かっていたけど。
僕は魔道具が与えてくる快感と闘いながら、声が枯れるまで彼の名前を呼び続けていた。
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