いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

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第7章

第333話 悪役令息のきもだめし①

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「二人がペアだなんて、絶対絶対、ぜーったい認めないからね!!」

きもだめしのくじ引きで予定通りペアになった二人を引き裂くべく、僕は声を張り上げていた。できるだけゲームのキルナと同じように、を心掛ける。この後は、

『兄様……そんなことを言われましても、くじ引きでもう決まったことですし』
『キルナ、我儘を言うな』

ってなって、二人はペアとして仲良く手を繋いで肝試しに向かうのだろうな……。

(クライスがユジンと手を繋いで……僕を置いて……行っちゃう)

寂しいけれど仕方がない。二人の仲がこれで深まる。それは僕が望んでいたこと。


ユジンはゲームで見たのよりは逞しく成長しているけれど、綺麗で中性的な見た目だから、可愛い子にはもちろん騎士を目指すようなマッチョ系男子にもモテモテらしい。

おまけになんでもよくできる。入学テスト一位というのは伊達じゃない。勉強はずっと首位をキープしている上に、魔法の才能もピカイチで、他の追随を許さない。特に主属性の光魔法の扱いは天才的で、この国の聖女だともてはやされるくらいだ。

性格だってもちろんいい。それは僕が一番よく知っている。

ーークライスはユジンのことを好きになる。

胸が苦しい。応援しなきゃいけないってわかってるのに。行かせたくない。


「キルナ……」
「キル兄様……」

「絶対認めないんだから……絶対絶対」

頭の中はぐちゃぐちゃで息をするだけで精一杯。俯いたまま同じ言葉を繰り返す僕は、この場にふさわしく、さぞ薄気味悪いだろう。

(早く行って。僕が二人を本当に引き離そうとする前に……)
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