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第7章

第327話 サプライズ誕生日パーティー⑤※

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「ん……ぅ…うぁ、きもち…いぃ……はぁ、あぁ……」

自分の口から出たとは思えないほど艶かしい声が響き渡る。

「やぁっ……そこっ……そんなにしちゃ……ん…あぅっ……出る」
「イけ」
「ああぁあぁああああ!!!」

つま先をぎゅっと曲げてその快楽に耐える。ペニスが温かく柔らかなものに優しく包まれ、激しく吸引され……。あんまり気持ち良すぎて頭がおかしくなりそう! はぁ、はぁ、と荒い息を整えながらまだぼんやりとしている頭で何が起きているのか確認する。

えと、何が起こってるの? クライスはロイルたちと医務室に行って、僕は一人で寝ていたはず。メフメフのぬいぐるみと砂時計はしっかり握りしめたままだ。 

じゃぁ僕は誰にイかされたの? 
自分の上に乗っかっている人物は、布団を頭まで被っていて顔が見えない。

「だ、誰っ!?」

さぁっと血の気が引く。震える手で布団を払いのけると、中から現れたのは……。





「おはよう、キルナ。起きたか」
「クライス!? 何…してるの?」
「そろそろ昼前だから起こそうと思って」
「ってどんな起こし方!?」

ぷんぷんぷん。

僕は猛烈に怒っていた。昨日なかなか眠れなくて朝方まで起きていたせいで、寝過ぎた僕も悪いけど。さすがにフェラで起こされたらびっくりする。

「もうもうもう! 変な起こし方はやめて」
「悪かった。可愛いお前の寝顔を見ていると我慢できなかったんだ」
「むぅ、許さない……」

と言いながら、内心クライスでよかった~と思う僕。違う人だったらどうしよう……と硬直していた体が、彼だとわかった瞬間にプリンのように柔らかくなった。


「そだ。魔獣は、大丈夫だった? 怪我はない?」

咄嗟にベッドに座っている彼の足を見る。どうやら噛まれてはなさそう。無事でよかった。僕はクライスの腰にひしっと抱きついた。彼は赤ちゃんコアラのようにしがみつく僕の頭をぽむぽむしながら、あの後何があったか教えてくれた。

「ああ、大丈夫。魔獣は全部始末したし、重傷だった生徒の足もなんとか治癒できた。ただ、魔獣に噛まれた傷が普通と違ってやっかいなものだったから時間がかかってな」

一晩中治療して、さっき帰ってきたところだと言う。

「普通じゃないって、どんな傷?」

「噛まれた箇所が真っ黒になっていて治りにくい傷だった。皮膚や血管などはなんとか元に戻せたが、黒ずんだ色は治らず、そこから痛みが生じていた。どうやらが原因らしい」

「魔獣に噛まれたせいで呪われたってこと?」

「ああ、通常魔獣に噛まれて呪われるなんてことはない。噛んだのは普通の魔獣ではない、ということだ。残念だが呪いは俺にも解けない。二人は神殿の方で解呪してもらうことになり搬送された」

「なんでそんな魔獣が学園にいたのかしら……」

「それはまだわかっていない。騎士団、魔術師団、あとセントラ理事長も戻ってきて調査をすすめているところだ。ただ、強い結界が張られたこの学園に、外から魔獣が侵入することはまずありえない。
 というのが理事長の見解だ。犯人が捕まっていない今、また魔獣が召喚される恐れはある。警備は強化されるが、危険な状況だ。俺から絶対に離れるな」

「ん。わかった」


ぐうううううう。

真剣な場面にはそぐわない気の抜けた音が、彼のお腹から鳴った。

「すまない。腹が減って死にそうだ。昨日食べ損ねてそのまま何も食べてないんだ。オムライスはまだあるか?」
「えと、昨日のでよかったら冷蔵庫にあるよ。すぐ温めるね。クライスは休んでて」
「ああ、助かる」

そう言うと、彼はポスっとベッドに横になった。平気な顔をしているけれど、疲れているに違いない。

よく見たらクライスの服はボロボロだった。クリーンの魔法の効果で一見綺麗だけど、あちこち擦り切れたり穴が開いたりしている。治療だけじゃなくて魔獣退治もしてきたみたい。

(ほんとに大丈夫かな? 怪我はしてないよね?)

後で身体チェックさせてもらおう、と心に決めた。
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