いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

文字の大きさ
上 下
158 / 287
第6章

第294話 気持ちの正体⑨※

しおりを挟む
「ゆ…ゆぅしてぇクライスぅ……ン……きもちよすぎるよぉ」
「まだまだ愛し足りない、……好きだ、愛してる」
「あいしてぅ? あぅ……ぼく…も……」

愛し合う行為を僕は少々甘くみていた。動き出したクライスはもう何を言っても止まらない。たくましい腕で僕の腰を引き寄せ、ズンズンと奥を突いて望み通り目一杯愛してくれる。

ローションと訓練のおかげでうまいこと快感だけを拾う体はとろとろに溶かされていった。もちろんいっぱい愛されるのは嬉しい。だけど瀕死。あ、またなんかくる!! 僕は体を仰け反らせてブルブルと震えた。

「ん、あ……っん、ぁあ……なんれでないの?」

イッた。また出さずに……。

さっきから何度も何度も出さずに達している。もうき止めるものは付いていないのにどうしてだろう。ちょっと怖くなりながら自分のペニスを見た。ちゃんと勃っているのにおかしい。もう出し尽くしちゃったとか? 

困惑していると、クライスが僕の先端をそっと指で撫で、透明の先走りしか出ていないことを確認する。指についたそれをぺろりと舐め取られ居た堪れない気持ちになるけれど、彼のがまだ入ってるから動けない。

「射精なしでイく方法を覚えたのか? ああ、さっきの魔道具で、か。さすがキルナ。きちんと学習できていい子だな」
「あ……そんな……なんてこと」

金のリングの効果がこんなところに出てる!? 出さずにイくという男として大変不名誉な特殊技能を身につけてしまった!? 受け入れられない事実に半泣きで彼を睨んだ。

「こ、これはクライスのせいだもん」
「俺の?」
「だってだって、まえをぜんぜんさわってくれないからぁ」

挿入してからというもの、彼は僕のペニスをまるっきり放置して、お尻の中の前立腺とかいう場所ばかりを突いて攻め立てた。

そこを硬いペニスで押されると、なぜか精液を出さないまま上り詰めてしまう。そんな急所を何度も揉みくちゃに捏ねられたせいで出さずにイくことを覚えちゃったのかもしれない。

だからようするに、クライスが悪い!

(うぅ……、辛い、早く出したい)

熱が溜まるばかりの下腹がせつなくうずく。膝裏を抱えるために両手が塞がってる今、自分では触れない。切羽詰まった声で助けを求めた。

「んもぅ……おねがい……ここもさわってぇ……」

彼は愛玩動物を甘やかすように僕の頭を撫で回し、そのまま構ってもらえず涙を流すそれに手を添えた。

「ああ、悪かった。ここも可愛がってやらないとな」

こくこく、と真顔で頷く。やっと前を触ってもらえる! と思うと、くぱくぱと開いた先端からこぷりと喜びの涙が溢れた。



案の定、限界だった僕のモノはクライスの手がやんわり握った瞬間に爆発し、白濁がお腹に飛び散った。ごしごしされてまたピュッと出て、息を整える間も無く扱かれまたイく……。って、なんでこんな連続!!?

「もぅ…むりっ……はなし…てぇ」
「はぁ、可愛い。イくときの顔、もっと見せろ」

うっとりと僕の顔を眺めるクライス。やばい、僕の声が聞こえていない。連続射精が辛すぎて逃げの体勢になるけど、もちろん猛獣モードのクライスの手から逃れる術はなくただひたすら喘いだ。お腹は自分の出した精液でどろどろになっている。

このままじゃ魔力枯渇するんじゃ……という絶妙なタイミングで、クライスは緩やかに動かしている腰を止め僕の体を折り曲げると、耳元でささやいた。吐息混じりの甘い声にぞくりとする。

「一度中に出すぞ」
「ん、ちょうらい」

数度激しく抽挿ちゅうそうしズクンと全部挿入はいりきったところで彼の動きが止まった。魔力入り精液がどくどくとお腹の中に広がる。(クライスの説明によると、この避妊具、前回よりパワーアップして精子なしの精液だけを通す仕様らしい)

「かはっ……」

息が止まるほどの衝撃だった。

体が、とける。

この感覚は魔物、正直凄すぎる。とてつもない快楽と共にあったかくて優しい力が体を満たす心地良さに、僕は我を忘れて腰を振りもっともっとと叫ぶ。人のことを言えない。僕も獣みたいに貪欲に彼を求めていた。
しおりを挟む
感想 687

あなたにおすすめの小説

嵌められた悪役令息の行く末は、

珈琲きの子
BL
【書籍化します◆アンダルシュノベルズ様より刊行】 公爵令息エミール・ダイヤモンドは婚約相手の第二王子から婚約破棄を言い渡される。同時に学内で起きた一連の事件の責任を取らされ、牢獄へと収容された。 一ヶ月も経たずに相手を挿げ替えて行われた第二王子の結婚式。他国からの参列者は首をかしげる。その中でも帝国の皇太子シグヴァルトはエミールの姿が見えないことに不信感を抱いた。そして皇太子は祝いの席でこう問うた。 「殿下の横においでになるのはどなたですか?」と。 帝国皇太子のシグヴァルトと、悪役令息に仕立て上げられたエミールのこれからについて。 【タンザナイト王国編】完結 【アレクサンドライト帝国編】完結 【精霊使い編】連載中 ※web連載時と書籍では多少設定が変わっている点があります。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました

綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜 【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】 *真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息 「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」 婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。 (……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!) 悪役令息、ダリル・コッドは知っている。 この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。 ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。 最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。 そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。 そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。 (もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!) 学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。 そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……―― 元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。