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第6章
第266話 番外編:チョロいんオメガバース②※
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沸き起こる感覚に戸惑い、僕は助けを求めるように彼を見た。はぁ…はぁ…と息が上がる。はしたない手は疼く場所を触る一歩手前でウロウロしていた。なけなしの理性をかき集め、膨れ上がる欲望と闘う。
「あ……はぁ……はぁ……くぅ…ん」
熱い吐息とともに鼻にかかったような声を出してしまう。
彼はこんな僕を見てどう思うのだろうか。
とんだ変態を連れてきてしまった、と思われたなら少し悲しいけれど、それならそれでさっさと保健室に連れてってほしい。
(あ、でも、ダメか。そうしたら僕がオメガって、先生にバレてしまう。親にも連絡されてしまうかも。そうなったら困る)
「ごめ…僕。はぁ、はぁ、今、身体がなんか…おかしくて。でも治ったら…ちゃんと出ていくから。もうちょっとだけここにいさせて?」
一人ではぁはぁ言ってる変なやつを部屋に置いとくなんて最悪かもしれないけれど、そもそも勝手に連れてきたのはクライスだ。学園で一番人気のあるアルファで、今日の放課後突然求婚してきて、なぜか今僕の頭を優しくナデナデしているイケメン。
(ん~ほんとにどうしてこんな人が僕なんかに求婚を……?)
わからない。
「好きなだけここにいたらいい。それより身体はどうおかしいんだ? 言ってみろ」
「あつっ、熱いの。心臓がドキドキして……それで……下腹とか、お、お尻の中とかが疼いて……変なの。(もしかして、これが……ヒート?)」
よく知らない相手に対して衝撃の告白をしている僕。きっともう頭の中もおかしい。彼の匂いが、彼の声が、彼の手が僕をどんどんおかしくさせる。
「初めてなのか? 薬は?」
「持ってない……」
「そうか。なら……」
「んぅう、ちょっと……んん!?」
急に唇を奪われ訳がわからなくなる。クライスは同じクラスのアルファだけど、今まで特に喋ったこともない。なのに何でこんなことになってるの? ああ、でも、おかしい。キスが気持ちいい……。
ぴちゃ、ちゅぷ、くちゅ…………
うっとりと彼のキスに酔いしれる。彼の唾液が美味しく感じられて与えられるままごくごくと飲み干した。
(甘い、もっとほしい……)
僕はもっともっとと舌を伸ばして彼の口の中を味わい続けた。こんなにしつこいキス、嫌がられるんじゃ? と正気になったのはキスを始めてからもう何十分も経ってからで。
やばいよ。今嫌われて「ここから出て行け!」って言われたら困るのに。
頭ではそう考えていても、もっともっとと身体が彼を求めているのがわかる。体の芯が熱くて、彼は僕の特別なのだと訴えている。
「ああ、クライス。もぅ僕、我慢できないぃ……」
身体が沸騰しそうだ。
ああ、彼の匂い。なんて、素晴らしい香りなの!?
頭はぐるぐるして、腰はクネクネと動く。イヤらしいダンスをしているみたいに。
「可愛いな、欲しいのか?」
欲しい?
僕は何が欲しいのだろ。
一瞬考え、ああ、彼が欲しいんだ、とわかった。
「オメガが発情したらアルファの精液を注ぐのが一番だ。抑制剤がないなら尚更。俺に、任せてくれるか?」
「そんなの……迷惑じゃない?」
「ああ、迷惑なはずがない」
頭がぼんやりしていてうまく考えられないけれど、それって僕のためにセックスしてくれるってことだよね。迷惑じゃないはずがないと思うのだけど……。
あ、というか訂正しなきゃ!!
『僕はベータ僕はベータ僕はベータ僕はベータ』
診断書を見たその日から、それを呪文のように繰り返してきた。オメガだなんて絶対認めるわけにはいかない。
「あの、でもね、あれだよ、僕はベータだからね。絶対絶対オメガじゃないから。これもヒートなんかじゃなくて、その……」
これがヒートじゃなかったら何なのか。それは僕にもわからないのだけど、曖昧な説明をあえて追求せず彼は深く頷いてくれた。
「ああ、そうだったな。わかった。ベータでも何でもいい。お前の体は俺が治してやる」
「あ……はぁ……はぁ……くぅ…ん」
熱い吐息とともに鼻にかかったような声を出してしまう。
彼はこんな僕を見てどう思うのだろうか。
とんだ変態を連れてきてしまった、と思われたなら少し悲しいけれど、それならそれでさっさと保健室に連れてってほしい。
(あ、でも、ダメか。そうしたら僕がオメガって、先生にバレてしまう。親にも連絡されてしまうかも。そうなったら困る)
「ごめ…僕。はぁ、はぁ、今、身体がなんか…おかしくて。でも治ったら…ちゃんと出ていくから。もうちょっとだけここにいさせて?」
一人ではぁはぁ言ってる変なやつを部屋に置いとくなんて最悪かもしれないけれど、そもそも勝手に連れてきたのはクライスだ。学園で一番人気のあるアルファで、今日の放課後突然求婚してきて、なぜか今僕の頭を優しくナデナデしているイケメン。
(ん~ほんとにどうしてこんな人が僕なんかに求婚を……?)
わからない。
「好きなだけここにいたらいい。それより身体はどうおかしいんだ? 言ってみろ」
「あつっ、熱いの。心臓がドキドキして……それで……下腹とか、お、お尻の中とかが疼いて……変なの。(もしかして、これが……ヒート?)」
よく知らない相手に対して衝撃の告白をしている僕。きっともう頭の中もおかしい。彼の匂いが、彼の声が、彼の手が僕をどんどんおかしくさせる。
「初めてなのか? 薬は?」
「持ってない……」
「そうか。なら……」
「んぅう、ちょっと……んん!?」
急に唇を奪われ訳がわからなくなる。クライスは同じクラスのアルファだけど、今まで特に喋ったこともない。なのに何でこんなことになってるの? ああ、でも、おかしい。キスが気持ちいい……。
ぴちゃ、ちゅぷ、くちゅ…………
うっとりと彼のキスに酔いしれる。彼の唾液が美味しく感じられて与えられるままごくごくと飲み干した。
(甘い、もっとほしい……)
僕はもっともっとと舌を伸ばして彼の口の中を味わい続けた。こんなにしつこいキス、嫌がられるんじゃ? と正気になったのはキスを始めてからもう何十分も経ってからで。
やばいよ。今嫌われて「ここから出て行け!」って言われたら困るのに。
頭ではそう考えていても、もっともっとと身体が彼を求めているのがわかる。体の芯が熱くて、彼は僕の特別なのだと訴えている。
「ああ、クライス。もぅ僕、我慢できないぃ……」
身体が沸騰しそうだ。
ああ、彼の匂い。なんて、素晴らしい香りなの!?
頭はぐるぐるして、腰はクネクネと動く。イヤらしいダンスをしているみたいに。
「可愛いな、欲しいのか?」
欲しい?
僕は何が欲しいのだろ。
一瞬考え、ああ、彼が欲しいんだ、とわかった。
「オメガが発情したらアルファの精液を注ぐのが一番だ。抑制剤がないなら尚更。俺に、任せてくれるか?」
「そんなの……迷惑じゃない?」
「ああ、迷惑なはずがない」
頭がぼんやりしていてうまく考えられないけれど、それって僕のためにセックスしてくれるってことだよね。迷惑じゃないはずがないと思うのだけど……。
あ、というか訂正しなきゃ!!
『僕はベータ僕はベータ僕はベータ僕はベータ』
診断書を見たその日から、それを呪文のように繰り返してきた。オメガだなんて絶対認めるわけにはいかない。
「あの、でもね、あれだよ、僕はベータだからね。絶対絶対オメガじゃないから。これもヒートなんかじゃなくて、その……」
これがヒートじゃなかったら何なのか。それは僕にもわからないのだけど、曖昧な説明をあえて追求せず彼は深く頷いてくれた。
「ああ、そうだったな。わかった。ベータでも何でもいい。お前の体は俺が治してやる」
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