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第5章
第243話 魔王と悪役令息のその後※
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「う…う~~~ん」
寝転んだまま僕はぐうっと伸びをした。たくさん眠っていたらしく、最近寝不足気味で重たかった頭がすっきりしている。
(よく寝たぁ。こんなにぐっすり眠ったのはどれくらい振りだろう。)
病室の簡易補助ベッドは少し固くて、枕も薄くて固い。なんだか毎日体はどこかしら凝ってて、しかも夜はテアが魘されるとその度に起きて看病をすることになり、なかなか熟睡できない日々が続いていた。正直疲れが溜まっていたのだと思う。
(すごい。体が軽~い!)
温かな体温を感じて隣に目を向けると、素っ裸の王子様と目があった。引き締まっていて、そのくせ筋肉もしっかりついていた綺麗な体。お風呂で見ているはずなのに、明るいお昼の光の中だといつも以上に格好良くて思わず見惚れてしまう。同じ男として羨ましい。
その逞しい腕は、僕の頭を優しく支える枕になってくれていた。慌てて頭を退け、彼の腕を摩る。痺れてないかな? 重くなかったかな? と少し不安になったけれど、大丈夫みたい。ちゃんとスムーズに動いている。
「キルナ、よく眠っていたな」
「ん、たくさん寝ちゃったみたい。今何時だっけ?」
「ああ、今3時過ぎだ。ティータイムにしようか。ベンスに何か頼もう」
「やったぁ、紅茶とお菓子、後でテアにも持っていってあげよっと」
細められたアイスブルーの瞳を見て、にこりと笑い返す。ってか格好いい体だけどそろそろ服着ないと風邪ひいちゃうよ、と声をかけようとしてーー僕はしばし考えた。
(なんだか大切なことを忘れているような……。)
寝ている間に人の記憶はいいかんじに整理されるという。『なんかもう永遠に封印しておいた方が良いもの』として僕は何かを脳の奥底にしまい込んでいるような。
「あ……そぅ…だ」
おそるおそる、布団を捲って自分の格好を見た。僕も…裸だ。細くて生白く、筋肉もほとんどついてないイマイチの見慣れた体。普段なら服を着てないという状況が気になるところだけど、今はそこはもうどうでもよかった。
続けて来客用ベッドのシーツを触る。真っ白でさらさらしている。
さらっさらで皺一つない。何度触ってもどこも濡れていない。おかしなところは全くない。
だから、あろうはずがない。まさか僕が、ベッドの上で、お………したなんて。ないよね。そんなこと、だって僕は中身は35歳だし。しかもほら、将来世にも恐ろしい悪役になる男だし。
「ん? 綺麗にしておいたから心配ないぞ」
「んぇ……?」
耳を疑う。綺麗にしたということはつまり、汚れていたということで……。
「あ………う…そ…だ……そん…な……」
アレでぐしょぐしょになってしまったシーツが、頭を過ぎる。それに連なったさまざまな記憶が僕の頭の中を満たして、溢れる。
(ぼ、僕…お…もらし……しちゃった…んだ……ここで…おもらし……)
「う…ふえぇええ、僕…もぅダメ…だ」
寝転んだまま僕はぐうっと伸びをした。たくさん眠っていたらしく、最近寝不足気味で重たかった頭がすっきりしている。
(よく寝たぁ。こんなにぐっすり眠ったのはどれくらい振りだろう。)
病室の簡易補助ベッドは少し固くて、枕も薄くて固い。なんだか毎日体はどこかしら凝ってて、しかも夜はテアが魘されるとその度に起きて看病をすることになり、なかなか熟睡できない日々が続いていた。正直疲れが溜まっていたのだと思う。
(すごい。体が軽~い!)
温かな体温を感じて隣に目を向けると、素っ裸の王子様と目があった。引き締まっていて、そのくせ筋肉もしっかりついていた綺麗な体。お風呂で見ているはずなのに、明るいお昼の光の中だといつも以上に格好良くて思わず見惚れてしまう。同じ男として羨ましい。
その逞しい腕は、僕の頭を優しく支える枕になってくれていた。慌てて頭を退け、彼の腕を摩る。痺れてないかな? 重くなかったかな? と少し不安になったけれど、大丈夫みたい。ちゃんとスムーズに動いている。
「キルナ、よく眠っていたな」
「ん、たくさん寝ちゃったみたい。今何時だっけ?」
「ああ、今3時過ぎだ。ティータイムにしようか。ベンスに何か頼もう」
「やったぁ、紅茶とお菓子、後でテアにも持っていってあげよっと」
細められたアイスブルーの瞳を見て、にこりと笑い返す。ってか格好いい体だけどそろそろ服着ないと風邪ひいちゃうよ、と声をかけようとしてーー僕はしばし考えた。
(なんだか大切なことを忘れているような……。)
寝ている間に人の記憶はいいかんじに整理されるという。『なんかもう永遠に封印しておいた方が良いもの』として僕は何かを脳の奥底にしまい込んでいるような。
「あ……そぅ…だ」
おそるおそる、布団を捲って自分の格好を見た。僕も…裸だ。細くて生白く、筋肉もほとんどついてないイマイチの見慣れた体。普段なら服を着てないという状況が気になるところだけど、今はそこはもうどうでもよかった。
続けて来客用ベッドのシーツを触る。真っ白でさらさらしている。
さらっさらで皺一つない。何度触ってもどこも濡れていない。おかしなところは全くない。
だから、あろうはずがない。まさか僕が、ベッドの上で、お………したなんて。ないよね。そんなこと、だって僕は中身は35歳だし。しかもほら、将来世にも恐ろしい悪役になる男だし。
「ん? 綺麗にしておいたから心配ないぞ」
「んぇ……?」
耳を疑う。綺麗にしたということはつまり、汚れていたということで……。
「あ………う…そ…だ……そん…な……」
アレでぐしょぐしょになってしまったシーツが、頭を過ぎる。それに連なったさまざまな記憶が僕の頭の中を満たして、溢れる。
(ぼ、僕…お…もらし……しちゃった…んだ……ここで…おもらし……)
「う…ふえぇええ、僕…もぅダメ…だ」
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