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第5章

第239話 悪役令息の身体チェック※

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足を広げたり、体をひっくりかえしたりしながら、脇の下や髪の毛で隠れた首の後ろ、足の裏、内腿、ペニスの裏側まで入念にチェックし、ようやくクライスはホッと息を吐き僕の体を抱きしめた。

「どうやら本当に怪我はないみたいだな。よかった」

(いやいや、どんだけ心配性なの!?)

即座にツッコミたい気持ちになったものの、彼が心配性なことはわかっていたのに怪我をして、しかも報告の遅れた僕が悪いのでここはぐっとこらえておく。


「えと、そろそろ服を着たいのだけど」

僕だけ一人裸でベッドに横たわり、しかも抱きしめられているというとんでもない状況を、一刻も早く終わらせたい。だけどその要望はすぐに却下された。

「駄目だ。お仕置きはこれからだろ?」
「え、もう十分恥ずかしかったからお仕置きになってるよ」

この身体チェック…やられる方の身になってほしい。
全部見られた恥ずかしさに死にそうになっている僕には、これ以上のお仕置きなんて考えられない。服はどこかと目で探すけれど、いつの間にか片付けられてしまったらしく見つからない。

そうこうしているうちに、クライスは自分も服を脱いでベッドに上り僕の隣に寝転んだ。そのまま僕の体をぐいっと引き寄せて向かい合わせになり、左腕を僕の頭の下に通す。

(ん~と…これは…腕枕?)

「このまま昼寝するぞ」
「お昼寝? 学校は!?」
「キルナの怪我のことを聞いてすぐ、学園に早退連絡をいれた。今日は一日一緒にゆっくりしよう」

なるほど。学校には連絡してあるから大丈夫なんだね。たしかに怪我をしたし、いろんなことがあって疲れたからお昼寝は大歓迎なのだけど……。

腕枕され、おまけに裸で抱き合いながら寝るなんて出来っこない。いつもの服越しの温かさじゃなくて、肌と肌が直接ふれあう温かさに僕の緊張はどんどん高まるばかり。

ともしたら、アレがあたって…るような? あぁ、なんかお腹に硬いものがあたってるけど…気にしない…気にしない。

(………………無理だ。)

「こんな体勢じゃ寝れないよ。しかもなんで裸?」
「我慢しろ、お仕置きなんだから」
「これがお仕置き……」

クライスは心配性パワーを発揮すると、いつもくっつきたがる。今までもお風呂で背中にひっついて離れなかったり、お膝の上に僕を乗せて抱きついたまま動かなかったり。

(今回は腕枕しながらくっついているつもりなのかな……)

過去を振り返り、ああ、これはもう時間が経って、彼の甘えん坊モードがおさまるのを待つしかないなと覚悟した。
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