75 / 287
第5章
第211話 ロイルSIDE 恥じらう天使①※
しおりを挟む
制服に着替え学校に行く用意を済ませてから、朝早くに隣室を訪れるとそこには、
「身体がつらいか? すまない、キルナ。昨日は無理をさせたな。お前の体力を一番に考えるべきだったのに。やはり最後までするのは負担が大き過ぎたか……」
「ん、だいじょぶ、僕が…お願いしたのだもの」
「よく頑張ったな」
「ちょっと大変だったけど…でもちゃんと最後までできてよかった」
頬を赤らめベッドの上で仲睦まじく微笑み合う二人の姿があった。
これは、もしかして、もしかしなくとも……。
「さ、最後までされたのですか!?」
キルナ様は満面の笑みで、「そうなの、僕、頑張ったよ」と答える。
「それは、おめでとうございます!!!」
昨日、囚われたキルナ様を見事一人で悪の手から救い出したクライス様。その後二人はどうなったのか……えぇ、わかります、と俺は深く頷いた。
こんなに美しく愛らしい婚約者と同じ部屋、同じベッドで眠り、今まで我慢していたという方が驚きだと思う。セントラ理事長が色々な魔道具を授けてくださったこともあり、準備は整っていた。結婚初夜までは待つべきだ、というお堅い国も世界のどこかにはあるらしいが、我が国はその辺は大らかだし、なによりお二人は婚約者同士。止める理由はどこにもない。
ついに二人は身体の奥まで結ばれたのだ。(それにしては音が聞こえなかったな。防音魔法を使っていたのだろうか。いつもなら防犯のため俺たちには聞こえるようにしているはずなのに。)二人のお声が聞けなかったのは少し残念だが、鉱山の調査に加わってヘトヘトになっていたギアの疲労を考えるとそれでよかったのかもしれない。
「キルナ様、お身体は大丈夫でしょうか」
「平気。クライスが魔法で治してくれたから、もう傷はないよ。ちょっとだけ、眠いけど……」
傷がつくほど激しく交わったと? 朝まで? まぁ、王子のアレは見たことがあるがかなり立派だし、この華奢なお体で受け入れるのはさぞかし大変だったのだろう。なにせ初めてだ。裂けていたりしたら大変だ。このお身体に少しでも傷が残ることがあったりしたら、フェルライト公爵が黙ってはいないだろう。
「念の為、保健医を呼びましょうか? それとも王宮から侍医を呼んだ方が良いでしょうか。何かあってはいけませんし」
するとクライス様は首を横に振った。
「いや、必要ない。昨日の傷は全て俺が癒した。それよりロイル、何か用があって来たんじゃないのか?」
「え? ああ、そうでした。大切な報告があったんでした!」
危ない、あまりの衝撃に自分の仕事を忘れていた。
昨日クルーゼン伯爵家から大急ぎで王宮に戻ると、もうキルナ様はクライス様によって無事保護された後だった。それから俺は王宮で調査報告を聞き、クライス様に伝えるという役目を与えられた。一緒に助けに行くこともできなかったのだから、せめてしっかり側近候補としての仕事を果たさなければ。俺が仕事モードに頭を切り替えていると、クライス様も、ベッドから下りてきた。
「キルナ、ベンスの料理はもう届いている。先にダイニングテーブルで朝食を食べて、学校に行く支度をしておいてくれ」
「報告って昨日のこと? 僕が聞いたら駄目なの?」
キルナ様に関わることだから気になるのは当然だろう。だが残念ながら全て伝えるわけにはいかない。
「ああ、昨日の件の報告だ。一緒に聞かせるわけにはいかないが、もし伝えるべきことがあれば後できちんと説明する」
「ん、わかった。んじゃ、朝ご飯食べとくね」
彼はクライス様の言葉に納得した様子で、可愛らしいうさぎの姿のままトテトテとテーブルの方へと歩いて行った。
「身体がつらいか? すまない、キルナ。昨日は無理をさせたな。お前の体力を一番に考えるべきだったのに。やはり最後までするのは負担が大き過ぎたか……」
「ん、だいじょぶ、僕が…お願いしたのだもの」
「よく頑張ったな」
「ちょっと大変だったけど…でもちゃんと最後までできてよかった」
頬を赤らめベッドの上で仲睦まじく微笑み合う二人の姿があった。
これは、もしかして、もしかしなくとも……。
「さ、最後までされたのですか!?」
キルナ様は満面の笑みで、「そうなの、僕、頑張ったよ」と答える。
「それは、おめでとうございます!!!」
昨日、囚われたキルナ様を見事一人で悪の手から救い出したクライス様。その後二人はどうなったのか……えぇ、わかります、と俺は深く頷いた。
こんなに美しく愛らしい婚約者と同じ部屋、同じベッドで眠り、今まで我慢していたという方が驚きだと思う。セントラ理事長が色々な魔道具を授けてくださったこともあり、準備は整っていた。結婚初夜までは待つべきだ、というお堅い国も世界のどこかにはあるらしいが、我が国はその辺は大らかだし、なによりお二人は婚約者同士。止める理由はどこにもない。
ついに二人は身体の奥まで結ばれたのだ。(それにしては音が聞こえなかったな。防音魔法を使っていたのだろうか。いつもなら防犯のため俺たちには聞こえるようにしているはずなのに。)二人のお声が聞けなかったのは少し残念だが、鉱山の調査に加わってヘトヘトになっていたギアの疲労を考えるとそれでよかったのかもしれない。
「キルナ様、お身体は大丈夫でしょうか」
「平気。クライスが魔法で治してくれたから、もう傷はないよ。ちょっとだけ、眠いけど……」
傷がつくほど激しく交わったと? 朝まで? まぁ、王子のアレは見たことがあるがかなり立派だし、この華奢なお体で受け入れるのはさぞかし大変だったのだろう。なにせ初めてだ。裂けていたりしたら大変だ。このお身体に少しでも傷が残ることがあったりしたら、フェルライト公爵が黙ってはいないだろう。
「念の為、保健医を呼びましょうか? それとも王宮から侍医を呼んだ方が良いでしょうか。何かあってはいけませんし」
するとクライス様は首を横に振った。
「いや、必要ない。昨日の傷は全て俺が癒した。それよりロイル、何か用があって来たんじゃないのか?」
「え? ああ、そうでした。大切な報告があったんでした!」
危ない、あまりの衝撃に自分の仕事を忘れていた。
昨日クルーゼン伯爵家から大急ぎで王宮に戻ると、もうキルナ様はクライス様によって無事保護された後だった。それから俺は王宮で調査報告を聞き、クライス様に伝えるという役目を与えられた。一緒に助けに行くこともできなかったのだから、せめてしっかり側近候補としての仕事を果たさなければ。俺が仕事モードに頭を切り替えていると、クライス様も、ベッドから下りてきた。
「キルナ、ベンスの料理はもう届いている。先にダイニングテーブルで朝食を食べて、学校に行く支度をしておいてくれ」
「報告って昨日のこと? 僕が聞いたら駄目なの?」
キルナ様に関わることだから気になるのは当然だろう。だが残念ながら全て伝えるわけにはいかない。
「ああ、昨日の件の報告だ。一緒に聞かせるわけにはいかないが、もし伝えるべきことがあれば後できちんと説明する」
「ん、わかった。んじゃ、朝ご飯食べとくね」
彼はクライス様の言葉に納得した様子で、可愛らしいうさぎの姿のままトテトテとテーブルの方へと歩いて行った。
236
お気に入りに追加
10,356
あなたにおすすめの小説
嵌められた悪役令息の行く末は、
珈琲きの子
BL
【書籍化します◆アンダルシュノベルズ様より刊行】
公爵令息エミール・ダイヤモンドは婚約相手の第二王子から婚約破棄を言い渡される。同時に学内で起きた一連の事件の責任を取らされ、牢獄へと収容された。
一ヶ月も経たずに相手を挿げ替えて行われた第二王子の結婚式。他国からの参列者は首をかしげる。その中でも帝国の皇太子シグヴァルトはエミールの姿が見えないことに不信感を抱いた。そして皇太子は祝いの席でこう問うた。
「殿下の横においでになるのはどなたですか?」と。
帝国皇太子のシグヴァルトと、悪役令息に仕立て上げられたエミールのこれからについて。
【タンザナイト王国編】完結
【アレクサンドライト帝国編】完結
【精霊使い編】連載中
※web連載時と書籍では多少設定が変わっている点があります。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる

【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼毎週、月・水・金に投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。