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第5章
第204話 クライスSIDE ビビッド宝石鉱山
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「キルナ様が…何者かに攫われました。申し訳…申し訳ございません!」
「状況を教えろ」
顔面蒼白の護衛騎士に向かって、父様が落ち着いた低い声で尋ねた。
どうやらジュエリーショップでキルナを攫った犯人は青いフードを被っていたらしい。前と同様顔や性別は不明だが、かなり小柄で、子どものような体格だったという。
護衛の報告を聞き終えると、チョーカーの魔宝石に付与した魔法で特定した彼の居場所を両親に告げた。
「キルナは今、ビビッド鉱山にいるようです。俺が助けに行きます」
「ビビッド宝石鉱山!? もうだいぶ前に廃坑になったあの鉱山か。たしかあそこはリメット侯爵領。キルナちゃんはあんな遠くにいるのか」
母様が驚くのも無理はない。リメット侯爵領は東の国境近く。王都からはかなりの距離があり簡単に移動できる距離ではない。転移魔法を使うにしても多くの魔力が必要になる。しかもココットタウンという人目の多い場所での犯行はかなりリスクも高いはずだ。そこまでしてキルナを連れ去った青フードたちの狙いはなんだ?
(奴らの狙いがキルナの命だとしたら……。)
『はぁ、痛い。痛いよぉ……』
ジーンの庭園で血まみれになり死にかけていた彼の姿が頭をよぎり、体の芯が凍えるような心地になる。
「クライス、一人で行く気か? 準備が整うまで待て、と言いたいところだが……そうはいかないようだな。わかった。くれぐれも気をつけろ。早急に魔術師と魔法騎士を手配して送る」
父様の言葉に頷き、使用人から剣を受け取ると転移の呪文を唱えた。
ビビッド宝石鉱山。ここはドラゴンが住み着いたせいでだいぶ前に廃坑になった鉱山だ。それまでは青くて質の良いサファイアがたくさん採れたと聞く。
鉱山の坑道入り口にはもう長いこと使われていないせいで錆びついたトロッコや作業道具が散乱している。坑内の天井も、見たところもう古くなり崩れ落ちそうだ。ただ、寂れた設備とは不似合いな強力な結界が張ってあり、ここから先は転移魔法が使えないようになっている。これも青フードたちの仕業だろう。
(こんなところにキルナが……。)
真っ暗な坑道を光の魔法で辺りを照らしながら進んでいくと、ズルズルと長い体をくねらせながら大蛇が襲いかかってきた。吐き出す毒液を避けながら切り裂くと切り口から蛇の血液が飛び散る。
「……魔獣がいるのか」
胸元に返り血を浴び、クリーンの魔法を使おうとしたがそんな暇はなかった。暗闇を好む魔獣が次から次へと出てくる。国境に近づくほど魔獣の量は増える。地理的に魔獣がいてもおかしくはないが、それにしても量が多過ぎる。
(こんな危険な場所からなんとしても彼を救い出さなければ。)
彼の痕跡を探しながら、さらに足を早めた。
「状況を教えろ」
顔面蒼白の護衛騎士に向かって、父様が落ち着いた低い声で尋ねた。
どうやらジュエリーショップでキルナを攫った犯人は青いフードを被っていたらしい。前と同様顔や性別は不明だが、かなり小柄で、子どものような体格だったという。
護衛の報告を聞き終えると、チョーカーの魔宝石に付与した魔法で特定した彼の居場所を両親に告げた。
「キルナは今、ビビッド鉱山にいるようです。俺が助けに行きます」
「ビビッド宝石鉱山!? もうだいぶ前に廃坑になったあの鉱山か。たしかあそこはリメット侯爵領。キルナちゃんはあんな遠くにいるのか」
母様が驚くのも無理はない。リメット侯爵領は東の国境近く。王都からはかなりの距離があり簡単に移動できる距離ではない。転移魔法を使うにしても多くの魔力が必要になる。しかもココットタウンという人目の多い場所での犯行はかなりリスクも高いはずだ。そこまでしてキルナを連れ去った青フードたちの狙いはなんだ?
(奴らの狙いがキルナの命だとしたら……。)
『はぁ、痛い。痛いよぉ……』
ジーンの庭園で血まみれになり死にかけていた彼の姿が頭をよぎり、体の芯が凍えるような心地になる。
「クライス、一人で行く気か? 準備が整うまで待て、と言いたいところだが……そうはいかないようだな。わかった。くれぐれも気をつけろ。早急に魔術師と魔法騎士を手配して送る」
父様の言葉に頷き、使用人から剣を受け取ると転移の呪文を唱えた。
ビビッド宝石鉱山。ここはドラゴンが住み着いたせいでだいぶ前に廃坑になった鉱山だ。それまでは青くて質の良いサファイアがたくさん採れたと聞く。
鉱山の坑道入り口にはもう長いこと使われていないせいで錆びついたトロッコや作業道具が散乱している。坑内の天井も、見たところもう古くなり崩れ落ちそうだ。ただ、寂れた設備とは不似合いな強力な結界が張ってあり、ここから先は転移魔法が使えないようになっている。これも青フードたちの仕業だろう。
(こんなところにキルナが……。)
真っ暗な坑道を光の魔法で辺りを照らしながら進んでいくと、ズルズルと長い体をくねらせながら大蛇が襲いかかってきた。吐き出す毒液を避けながら切り裂くと切り口から蛇の血液が飛び散る。
「……魔獣がいるのか」
胸元に返り血を浴び、クリーンの魔法を使おうとしたがそんな暇はなかった。暗闇を好む魔獣が次から次へと出てくる。国境に近づくほど魔獣の量は増える。地理的に魔獣がいてもおかしくはないが、それにしても量が多過ぎる。
(こんな危険な場所からなんとしても彼を救い出さなければ。)
彼の痕跡を探しながら、さらに足を早めた。
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