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第5章
第184話 オタクキャラスタイル
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昨晩なんだか色々あったことで朝の眠さは最高レベルだったけど、なんとか起きて白い制服に着替え、黒縁メガネをかけた。鏡を見て、変なところはないか最終チェックする。
「あ、そだ。忘れてた」
髪が綺麗にまとまりすぎていることに気付き、これじゃ駄目だ、と髪の毛にオイルをつけ、少しラフな感じに整えた。これは最初の頃クライスに習った。こうやってボサボサっとするのが最近の流行りなのだって。正直前世の感覚で言うと黒縁眼鏡にボッサボサの髪の毛、という組み合わせは、重度のオタクキャラみたいであんまり格好良くは見えないのだけど、ルゥもメアリーもこの方がいいと言っていたからきっとこれでいいのだろう。
よぉし、トイレも済ませたし(何も出なかったのはスライムローションの効果!?)身支度も完璧。鞄を持ってクライスの腕に掴まってシュンっと転移して校舎に飛ぶ。上靴に履き替えていると、後からベルトがやって来た。
「おはようございますキルナ様。ライン先生に風邪だと聞きましたが、もう大丈夫なんですか?」
「あ、ベルト。う、うん。もう、治ったよ。だいじょぶ……」
「でもまだ顔が赤いような」
「ふぇ!? そんなことないよ。もう元気いっぱい!」
「ならよかったです」
にっこり八重歯で爽やかに微笑まれると、嘘をついている罪悪感が募る。でも本当のことを言うわけにはいかないから仕方がない。魔力酔いで色々やらかしてしまったことは友達には内緒にしたい。
(変なことを言って実は風邪で休んでたんじゃないってバレないようにしないと……。)
ドキドキしながら教室のドアを開けると、入った瞬間にリリーに声をかけられビクッと体が跳ね上がった。
「キルナ様」
「ふわあ、はいィ! なん…で、しょぅ」
「なんですか? その変な返事……。休んでいた間のノートです。ばちっと勉強してこれ以上補習が増えないようにしてくださいね」
「あ、ありがと。リリー」
賢い友達を持って幸せだ、とうるっとしかけていると……またもや小悪魔な彼が顔を出す。
「あれ~? なんかちょっと見ない間に色気が出て綺麗になったんじゃないですか? 目元と頬がほんのりピンク色で肌がツヤツヤ、項にはキスマーク。も、し、や、休んでいたのって……。ふふ~ん、キルナ様ったら、えっちぃ~!」
「んやぁあああ、も、なんでもないから。風邪!! ただの風邪だからぁ!」
僕はノートを握りしめながら一生懸命反論した。勘が良すぎるリリーになんとか風邪だとわかってもらわないと、と必死に。
「そんなに必死だと余計に怪しいですけど。まぁいいや。それより薬草学の宿題のこと聞きました?」
「へ? ううん、知らない」
「教科書の25ページに載っている薬草を、今週中に採取して提出しないといけないんです。だから一緒に薬草園に採りに行きませんか? 薬草学が得意な馬鹿ベルトもいるので、早く探せると思いますよ」
「ん、行く! 今日の放課後?」
「はい。ですから今日は補習、せめて一個にしてくださいね。あんまり遅くなって暗くなると探しにくいので」
「が、頑張る……」
「あ、そだ。忘れてた」
髪が綺麗にまとまりすぎていることに気付き、これじゃ駄目だ、と髪の毛にオイルをつけ、少しラフな感じに整えた。これは最初の頃クライスに習った。こうやってボサボサっとするのが最近の流行りなのだって。正直前世の感覚で言うと黒縁眼鏡にボッサボサの髪の毛、という組み合わせは、重度のオタクキャラみたいであんまり格好良くは見えないのだけど、ルゥもメアリーもこの方がいいと言っていたからきっとこれでいいのだろう。
よぉし、トイレも済ませたし(何も出なかったのはスライムローションの効果!?)身支度も完璧。鞄を持ってクライスの腕に掴まってシュンっと転移して校舎に飛ぶ。上靴に履き替えていると、後からベルトがやって来た。
「おはようございますキルナ様。ライン先生に風邪だと聞きましたが、もう大丈夫なんですか?」
「あ、ベルト。う、うん。もう、治ったよ。だいじょぶ……」
「でもまだ顔が赤いような」
「ふぇ!? そんなことないよ。もう元気いっぱい!」
「ならよかったです」
にっこり八重歯で爽やかに微笑まれると、嘘をついている罪悪感が募る。でも本当のことを言うわけにはいかないから仕方がない。魔力酔いで色々やらかしてしまったことは友達には内緒にしたい。
(変なことを言って実は風邪で休んでたんじゃないってバレないようにしないと……。)
ドキドキしながら教室のドアを開けると、入った瞬間にリリーに声をかけられビクッと体が跳ね上がった。
「キルナ様」
「ふわあ、はいィ! なん…で、しょぅ」
「なんですか? その変な返事……。休んでいた間のノートです。ばちっと勉強してこれ以上補習が増えないようにしてくださいね」
「あ、ありがと。リリー」
賢い友達を持って幸せだ、とうるっとしかけていると……またもや小悪魔な彼が顔を出す。
「あれ~? なんかちょっと見ない間に色気が出て綺麗になったんじゃないですか? 目元と頬がほんのりピンク色で肌がツヤツヤ、項にはキスマーク。も、し、や、休んでいたのって……。ふふ~ん、キルナ様ったら、えっちぃ~!」
「んやぁあああ、も、なんでもないから。風邪!! ただの風邪だからぁ!」
僕はノートを握りしめながら一生懸命反論した。勘が良すぎるリリーになんとか風邪だとわかってもらわないと、と必死に。
「そんなに必死だと余計に怪しいですけど。まぁいいや。それより薬草学の宿題のこと聞きました?」
「へ? ううん、知らない」
「教科書の25ページに載っている薬草を、今週中に採取して提出しないといけないんです。だから一緒に薬草園に採りに行きませんか? 薬草学が得意な馬鹿ベルトもいるので、早く探せると思いますよ」
「ん、行く! 今日の放課後?」
「はい。ですから今日は補習、せめて一個にしてくださいね。あんまり遅くなって暗くなると探しにくいので」
「が、頑張る……」
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