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〈番外編〉
ミケの帰省〜その前〜
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ブチからサムが《人の国》へ養子に行く事を聞いたミケは、急いで帰省をする為の準備をして、ブチと一緒に実家に帰って来ました。ブチとは途中で別れて、母親が待つ我が家に帰って来たのですが、急に帰省したので誰も家にいませんでした。
「シマッタ!……そういえば、帰るって連絡するのを忘れてた~……ハァ~、参ったなぁ。どうしよう……」
ミケは家の前で茫然としてしまいました。溜め息も漏れてしまいますが、どうしようもありません。困ったなぁと思っていると、声を掛けられます。
「あら、ミケじゃぁないの。どうしたの?」
声をかけて来たのは母親である、ハナでした。ミケは勢いよく返事を返します。
「お母さん、サムちゃんが……」
「何、ブチちゃんから聞いたの?」
「うん、そうだけど……」
「まあ、いいわ。それより、おかえり」
「あ、ゴメン。……ただいま」
「今日帰って来たのね。ブチちゃんも一緒に帰って来たの?」
「うん、そうだよ。……お母さん、サムちゃんの事、何で教えてくれなかったんだよ!」
「そりゃ、サムちゃんに頼まれたからね」
「え、サムちゃんから……」
「そうだよ」
ミケはサムが《人の国》へ行く事を教えてくれなかった母親に食って掛かりました。それに対して母親のハナは、冷静にサムが知らせないで欲しいと言ったと返事をしました。
まさかサムがそんな事を言うとは思っていなかったミケは、呆然としてしまいました。思わず、聞き間違いかと、母親に問いかけました。それでも母親の返答は変わりませんでした。
「どうして、……サムちゃん……」
「ミケ、サムちゃんを恨むんじゃぁないよ。サムちゃんはあんたに、迷惑掛けたく無かったんだよ」
「そんな……迷惑だなんて……そんな……」
「サムちゃんはブチちゃんにも、ギリギリまで教えなかったみたいだよ」
「え、……そういえば、僕が聞いたのも最近だ……」
「そう言う事だよ、ミケ。今あんた達は修行中だろ。だから中断して欲しく無かったんだろうね、サムちゃんは。さあ、ミケ。こんな所で話ていい話じゃぁないから、家に入るよ」
ミケはハナから聞いた事が衝撃すぎて、言葉も出なくなっていました。まだ自分より幼いサムが、ここまでの気遣いができる事にも、愕然としてしまいました。そんなミケにハナは、、家に入る様に言いました。
「……お母さん。……わかったよ……」
「ほら、ここに座って」
ミケは衝撃が治らない中、ハナの言った言葉に反応し、反射的に返事をして家に入りました。そしてハナに勧められるまま居間のイスに座りました。
「あのさ、お母さん。……サムちゃんが《人の国》へ行くのって……前から決まってたの?」
「ミケが驚くのもわかるわよ。あれだけ可愛がってたんだしね。それにサムちゃんもあんたに懐いてたし」
「だ・か・ら、いつ決まったの?」
「おお、怖い。……そうねぇ、1年位前だったかしらねぇ。本決まりになったのは、半年位前よ」
「そんなに前に決まってたんだ……」
「そうなのよねぇ……。まあ、その前からサムちゃん、《人の国》について調べてたみたいだけど」
「そうなの?……お母さんは、どうして知ったの?」
「……アゴさんから相談されてたのよ。サムちゃんが《人の国》に興味を持ったみたいだって……」
「そっかぁ。……そりゃそっか。息子がこの国の外に興味を持つんだから、相談したくもなるよね……」
「そうそう。アゴさんもどうしたらいいか分からなかったみたいでねぇ。長老にも相談してたみたいよ」
「へぇ、長老様にも……。それだけ衝撃だったんだね」
「そうよ。……アゴさんは子育てベテランの人だけど、やっぱり子どもは手元に置きたかった様でね、ちょっと取り乱した感じだったわ」
ハナはミケに当時の事を話しながら、アゴ母さんの心情を推し量っていました。ミケもアゴ母さんの当時の事を聞いて、自分が取り乱してどうするんだと言う気持ちになって来ました。
「お母さん、サムちゃんに会いに行っても、いいと思う?」
「折角、帰って来たんだもの、行けばいいんじゃぁないの」
「そうだよね。……今日はブチが帰って来てるし、……明日以降に行こうかなぁ」
「それでいいんじゃぁない?」
「うん、そうするよ。……お母さん、ありがとう」
「何よ、改まって……」
「ふふ、……何でもないよ」
「もう、からかうんじゃぁないの!ホントにこの子は……」
ミケは母親の偉大さに感謝しながら、いつサムに会いに行こうかと考えながら、ハナと話を続けました。
「シマッタ!……そういえば、帰るって連絡するのを忘れてた~……ハァ~、参ったなぁ。どうしよう……」
ミケは家の前で茫然としてしまいました。溜め息も漏れてしまいますが、どうしようもありません。困ったなぁと思っていると、声を掛けられます。
「あら、ミケじゃぁないの。どうしたの?」
声をかけて来たのは母親である、ハナでした。ミケは勢いよく返事を返します。
「お母さん、サムちゃんが……」
「何、ブチちゃんから聞いたの?」
「うん、そうだけど……」
「まあ、いいわ。それより、おかえり」
「あ、ゴメン。……ただいま」
「今日帰って来たのね。ブチちゃんも一緒に帰って来たの?」
「うん、そうだよ。……お母さん、サムちゃんの事、何で教えてくれなかったんだよ!」
「そりゃ、サムちゃんに頼まれたからね」
「え、サムちゃんから……」
「そうだよ」
ミケはサムが《人の国》へ行く事を教えてくれなかった母親に食って掛かりました。それに対して母親のハナは、冷静にサムが知らせないで欲しいと言ったと返事をしました。
まさかサムがそんな事を言うとは思っていなかったミケは、呆然としてしまいました。思わず、聞き間違いかと、母親に問いかけました。それでも母親の返答は変わりませんでした。
「どうして、……サムちゃん……」
「ミケ、サムちゃんを恨むんじゃぁないよ。サムちゃんはあんたに、迷惑掛けたく無かったんだよ」
「そんな……迷惑だなんて……そんな……」
「サムちゃんはブチちゃんにも、ギリギリまで教えなかったみたいだよ」
「え、……そういえば、僕が聞いたのも最近だ……」
「そう言う事だよ、ミケ。今あんた達は修行中だろ。だから中断して欲しく無かったんだろうね、サムちゃんは。さあ、ミケ。こんな所で話ていい話じゃぁないから、家に入るよ」
ミケはハナから聞いた事が衝撃すぎて、言葉も出なくなっていました。まだ自分より幼いサムが、ここまでの気遣いができる事にも、愕然としてしまいました。そんなミケにハナは、、家に入る様に言いました。
「……お母さん。……わかったよ……」
「ほら、ここに座って」
ミケは衝撃が治らない中、ハナの言った言葉に反応し、反射的に返事をして家に入りました。そしてハナに勧められるまま居間のイスに座りました。
「あのさ、お母さん。……サムちゃんが《人の国》へ行くのって……前から決まってたの?」
「ミケが驚くのもわかるわよ。あれだけ可愛がってたんだしね。それにサムちゃんもあんたに懐いてたし」
「だ・か・ら、いつ決まったの?」
「おお、怖い。……そうねぇ、1年位前だったかしらねぇ。本決まりになったのは、半年位前よ」
「そんなに前に決まってたんだ……」
「そうなのよねぇ……。まあ、その前からサムちゃん、《人の国》について調べてたみたいだけど」
「そうなの?……お母さんは、どうして知ったの?」
「……アゴさんから相談されてたのよ。サムちゃんが《人の国》に興味を持ったみたいだって……」
「そっかぁ。……そりゃそっか。息子がこの国の外に興味を持つんだから、相談したくもなるよね……」
「そうそう。アゴさんもどうしたらいいか分からなかったみたいでねぇ。長老にも相談してたみたいよ」
「へぇ、長老様にも……。それだけ衝撃だったんだね」
「そうよ。……アゴさんは子育てベテランの人だけど、やっぱり子どもは手元に置きたかった様でね、ちょっと取り乱した感じだったわ」
ハナはミケに当時の事を話しながら、アゴ母さんの心情を推し量っていました。ミケもアゴ母さんの当時の事を聞いて、自分が取り乱してどうするんだと言う気持ちになって来ました。
「お母さん、サムちゃんに会いに行っても、いいと思う?」
「折角、帰って来たんだもの、行けばいいんじゃぁないの」
「そうだよね。……今日はブチが帰って来てるし、……明日以降に行こうかなぁ」
「それでいいんじゃぁない?」
「うん、そうするよ。……お母さん、ありがとう」
「何よ、改まって……」
「ふふ、……何でもないよ」
「もう、からかうんじゃぁないの!ホントにこの子は……」
ミケは母親の偉大さに感謝しながら、いつサムに会いに行こうかと考えながら、ハナと話を続けました。
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★第14回ファンタジー小説大賞にエントリーしました。宜しくお願い致します。★
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