【完結】ねこの国のサム

榊咲

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〈本編〉

サム、《人の国》へ行く直前①

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 サムはクロやニセイ、チビと一緒に遊んだり、話をしたりして過ごしていました。そこへ長老からまた、呼び出しがありました。それを知らせたのはアゴ母さんでした。

「サム、長老がお呼びよ。今度は母さんと一緒に来て欲しいそうよ」
「そうなの?アゴ母さん」
「えぇ、そうなのよ。何かあったのかしらねぇ」

 アゴ母さんも長老が一緒に行く事の理由がわからず、困惑しているようです。サムはアゴ母さんから話を聞いた時から《人の国》の養子先で何かあったのではないかと思案してしまいました。

 思案している内に長老の所に行く日になり、アゴ母さんと一緒に向かう事になりました。サムはアゴ母さんと長老の話がどんな話なのかを話し合いながら向かっていると、すぐに長老の家に着きました。

「長老、アゴです。サムも一緒に来ました」
「ああ、アゴさんか。入ってきておくれ」
「失礼します「失礼します」」

「ああ、よく来てくれたのう。まあ、座っておくれ」
「では、失礼して。……さあ、サムも隣に……」
「長老様、失礼します」

「もうそろそろ《人の国》へ行くなのに、申し訳ないのう」
「いいえ、そんな事はちっともありませんよ。……それで、何があったのですか?」
「それなんじゃが、ちーとばかり《人の国》からの迎えが遅くなるみたいなんじゃよ」

 サムもアゴ母さんも長老の話に驚いてしまいました。まさか、《人の国》からの迎えが遅くなるとは思いも寄らなかったからです。アゴ母さんは長老に遅くなる理由を聞きます。

「長老、それはどういう事ですか?……その~、遅くなるとは……」
「それがのう、あちらさんが急に旅行に行く事になったそうじゃ。それで、サムちゃんのお迎えが数時間、遅れるそうなのじゃぁ」

「そうなんですか。《人の国》の方が迎えに来て頂かなければ困りますから仕方がないですねぇ」
「あの~、長老様。その方は本当に僕を引き取って下さいますよね?」
「ああ、もちろんじゃよ、サムちゃん。心配せんでもいいからのう」

「ああ、よかった!僕の事が要らなくなったんじゃぁ無いかと思いました」
「そんな事はないよ、サムちゃん。望まれて行くんじゃから、安心して良いぞ」
「まあ、望まれて行くなんて……。よかったわね、サム」

「うん。アゴ母さん」
「心配させて本当に悪かったのう。……アゴさん、サムちゃん」
「ううん、長老様。知らせてくれてありがとうございました」

「そうねぇ、サム。長老、ありがとうございました」
「いいや、ワシも連絡が遅くなってしもうて、悪かったのう。さあ、話は終わりじゃよ、もうお帰り」
「はい、失礼します。さあ、サムも…「長老様、失礼します」」

 サムとアゴ母さんは長老からの話を聞いて、初めは驚きましたが話が進むに従って、嬉しくなってきました。
 2人は長老の家から出て家路に着く頃にはニコニコ顔で、内緒話をする様に長老からの話をしながら家に向かって歩きました。
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