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〈本編〉
サム、《人の国》へ行くまでの日々⑥
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サムは長老から聞いた《人の国》へ行く時間をアゴ母さんとブチに話をしました。そしてニセイとチビにも話をする事にしました。丁度、二人が遊びから帰ってきたので、サムは話す事にしました。
「「ただいま」」
「おかえり。ニセイ、チビ」
「おう、サム。帰ってたんだな」
「サム兄ちゃん、おかえり!」
「あのさ、話があるんだけど……」
「ヘェ~、どんな?」
「今日、長老様の所に行ってただろう?」
「そうだったな~」
「えぇ、サム兄ちゃん、長老様のどこに行ってたの?」
「そうだよ、チビ。それでね、《人の国》からのお迎えが朝の9時になったんだ」
「そうなのか?……早くないか」
「サム兄ちゃん、……朝早いね」
「そうかな?……あんまり遅いのもイヤじゃぁない?」
「オレとしたら、早いと思ったんだよ」
「チビも早いと思うよ?」
ニセイもチビも迎えの時間が早いとサムに言います。でもサムとしては、早めに迎えに来て貰った方がいいと思っていたので、どう答えたものかと思案してしまいます。そこにアゴ母さんとブチが来ました。
「サム、ニセイ達に話したの?」
「うん、今話したとこだけど……」
「どうしたんだ、サム。兄ちゃんに話してみろ」
「うんとね、ニセイもチビも時間が早いって言うんだけど……」
「そうか。ニセイ、チビ、サムが決めたんだから、あまり言うなよな」
「でもブチ兄ちゃん。チビはサム兄ちゃんが早く行っちゃうのは寂しいよ~」
「オレはそうでもないけど、やっぱり早いと思うよ。ブチ兄ちゃん」
「それでもサムがこうと決めたんだから、ニセイ達がとやかく言う事じゃぁないぞ」
「それは分かってるよ、ブチ兄ちゃん。だけど……」
ブチが言っている事はニセイもチビもわかっているのですが、どうしても心が追い付かないのです。それを察したブチがニセイ達に言います。
「ニセイもチビもサムが早く行くのが寂しいと言うのはわかるが、サムを快く送り出してやろうな」
「でもチビはちょっとでも長くサム兄ちゃんと一緒にいたいよ~」
「チビ、ありがとう。僕もチビと離れるのは寂しいよ。でもね、いつかはチビと離れる事になるんだ。だからガマンして欲しいなぁ。僕もガマンするから、ね」
「サムが言ってることが、正しいぞ。チビもニセイもガマンしような」
「俺はガマンするぞ!チビもガマンしよう!」
「……うん。チビ、ガマンする」
「えらいな~。チビもニセイも」
「チビ、えらいの?」
「ああ、えらいぞ。チビ」
「へへへ、チビ、えらいんだ~」
「チビが偉いなら、俺もだよな!」
「そうだなぁ。ニセイも偉いなぁ!」
ブチがニセイとチビに話をした事で、二人は納得したようで笑顔を浮かべています。その事にサムは安堵しました。自分だけでは、上手く二人を納得させられなかったと思うと、ブチが家に帰って来てくれてよかったと思いました。
◆◆◆◆◆
ニセイとチビに話をしたサムは友達のクロにも話をしようと、次の日に公園に行く事にしました。公園に着くと丁度、クロ達が遊んでいました。すぐにサムはクロに話しかけます。
「クロちゃ~ん」
「どうしたの?サムちゃん」
「あのね、話があるんだけど、今いい?」
「うん、いいけど。ちょっと待ってて」
「ゴメンね、クロちゃん」
「いいよ、サムちゃん。……チャシロ、オレはサムちゃんと話してるから、チロと遊んでて」
「は~い。クロ兄ちゃん」
クロはサムと話をするために、弟のチャシロにチロと遊んでいるように指示をしました。
「じゃぁ、サムちゃん。どんな事を話してくれるの?」
「その~、前にあったことがあったよね?」
「そうだね。……長老様の家の近くだったよね?」
「うん、そう。でね、あの時ねぇ、長老様から話して帰るとこだったんだよ」
「ふ~ん、そうなんだね。……それで?」
「それでね、時間が決まったんだよ」
「う~ん、なんの時間?」
「えぇと、《人の国》に行く時間」
「ふ~ん。……え、え?」
「うん、《人の国》に行く時間が決まったんだよ。朝9時になったんだ!」
「そ、そうなんだ~。早い時間だね」
「それね、ニセイやチビにも言われたよ」
クロはサムに言われた事がよく分からなくて、聞き直してしまいました。でもサムは《人の国》に行く時間だと言い直して来たので、聞き間違いではないんだと思いました。ビックリすると共に時間が早い事にも驚いていると、ニセイやチビにも言われたとサムに苦笑しながら言われて、もうすでに言われていたんだと唖然としてしまいました。
「じゃぁ、もう決まった事なんだね、サムちゃん」
「うん、そうなんだよねぇ。クロちゃん」
「そっか~。じゃぁ、もう少しでサムちゃんは行っちゃうんだね……」
「そうだね。それまではよろしくね。クロちゃん」
「ふふ、そうだね。よろしくね、サムちゃん」
クロとサムはお互いに笑い合いながら、手を繋いで『よろしく』と言い合いました。
「「ただいま」」
「おかえり。ニセイ、チビ」
「おう、サム。帰ってたんだな」
「サム兄ちゃん、おかえり!」
「あのさ、話があるんだけど……」
「ヘェ~、どんな?」
「今日、長老様の所に行ってただろう?」
「そうだったな~」
「えぇ、サム兄ちゃん、長老様のどこに行ってたの?」
「そうだよ、チビ。それでね、《人の国》からのお迎えが朝の9時になったんだ」
「そうなのか?……早くないか」
「サム兄ちゃん、……朝早いね」
「そうかな?……あんまり遅いのもイヤじゃぁない?」
「オレとしたら、早いと思ったんだよ」
「チビも早いと思うよ?」
ニセイもチビも迎えの時間が早いとサムに言います。でもサムとしては、早めに迎えに来て貰った方がいいと思っていたので、どう答えたものかと思案してしまいます。そこにアゴ母さんとブチが来ました。
「サム、ニセイ達に話したの?」
「うん、今話したとこだけど……」
「どうしたんだ、サム。兄ちゃんに話してみろ」
「うんとね、ニセイもチビも時間が早いって言うんだけど……」
「そうか。ニセイ、チビ、サムが決めたんだから、あまり言うなよな」
「でもブチ兄ちゃん。チビはサム兄ちゃんが早く行っちゃうのは寂しいよ~」
「オレはそうでもないけど、やっぱり早いと思うよ。ブチ兄ちゃん」
「それでもサムがこうと決めたんだから、ニセイ達がとやかく言う事じゃぁないぞ」
「それは分かってるよ、ブチ兄ちゃん。だけど……」
ブチが言っている事はニセイもチビもわかっているのですが、どうしても心が追い付かないのです。それを察したブチがニセイ達に言います。
「ニセイもチビもサムが早く行くのが寂しいと言うのはわかるが、サムを快く送り出してやろうな」
「でもチビはちょっとでも長くサム兄ちゃんと一緒にいたいよ~」
「チビ、ありがとう。僕もチビと離れるのは寂しいよ。でもね、いつかはチビと離れる事になるんだ。だからガマンして欲しいなぁ。僕もガマンするから、ね」
「サムが言ってることが、正しいぞ。チビもニセイもガマンしような」
「俺はガマンするぞ!チビもガマンしよう!」
「……うん。チビ、ガマンする」
「えらいな~。チビもニセイも」
「チビ、えらいの?」
「ああ、えらいぞ。チビ」
「へへへ、チビ、えらいんだ~」
「チビが偉いなら、俺もだよな!」
「そうだなぁ。ニセイも偉いなぁ!」
ブチがニセイとチビに話をした事で、二人は納得したようで笑顔を浮かべています。その事にサムは安堵しました。自分だけでは、上手く二人を納得させられなかったと思うと、ブチが家に帰って来てくれてよかったと思いました。
◆◆◆◆◆
ニセイとチビに話をしたサムは友達のクロにも話をしようと、次の日に公園に行く事にしました。公園に着くと丁度、クロ達が遊んでいました。すぐにサムはクロに話しかけます。
「クロちゃ~ん」
「どうしたの?サムちゃん」
「あのね、話があるんだけど、今いい?」
「うん、いいけど。ちょっと待ってて」
「ゴメンね、クロちゃん」
「いいよ、サムちゃん。……チャシロ、オレはサムちゃんと話してるから、チロと遊んでて」
「は~い。クロ兄ちゃん」
クロはサムと話をするために、弟のチャシロにチロと遊んでいるように指示をしました。
「じゃぁ、サムちゃん。どんな事を話してくれるの?」
「その~、前にあったことがあったよね?」
「そうだね。……長老様の家の近くだったよね?」
「うん、そう。でね、あの時ねぇ、長老様から話して帰るとこだったんだよ」
「ふ~ん、そうなんだね。……それで?」
「それでね、時間が決まったんだよ」
「う~ん、なんの時間?」
「えぇと、《人の国》に行く時間」
「ふ~ん。……え、え?」
「うん、《人の国》に行く時間が決まったんだよ。朝9時になったんだ!」
「そ、そうなんだ~。早い時間だね」
「それね、ニセイやチビにも言われたよ」
クロはサムに言われた事がよく分からなくて、聞き直してしまいました。でもサムは《人の国》に行く時間だと言い直して来たので、聞き間違いではないんだと思いました。ビックリすると共に時間が早い事にも驚いていると、ニセイやチビにも言われたとサムに苦笑しながら言われて、もうすでに言われていたんだと唖然としてしまいました。
「じゃぁ、もう決まった事なんだね、サムちゃん」
「うん、そうなんだよねぇ。クロちゃん」
「そっか~。じゃぁ、もう少しでサムちゃんは行っちゃうんだね……」
「そうだね。それまではよろしくね。クロちゃん」
「ふふ、そうだね。よろしくね、サムちゃん」
クロとサムはお互いに笑い合いながら、手を繋いで『よろしく』と言い合いました。
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