【完結】ねこの国のサム

榊咲

文字の大きさ
上 下
103 / 135
〈本編〉

サム、ニセイ達に決意を言う

しおりを挟む
 アゴ母さんとブチがサムの事で話をしていた時に、サムはニセイとクロに《人の国》へ養子に行く事を、いつもの公園でチビ達を遊ばせながら話していました。

「おう、クロ」
「クロちゃん、ちょっと話があるんだけど、今からいい?」
「ニセイちゃん。サムちゃん、……どうしたの?」

「クロちゃん、この前は《人の国》の事を調べるのを手伝ってくれて、ありがとう」
「なぁに、サムちゃん。改まって?俺も知りたかったから、別にお礼を言われる様な事はないよ!」
「そうかも知れないけど、こう言う事はケジメだからね」

「おい、サム。オレ達に話があるって言ってただろう。なんだよ!」
「そうだね。サムちゃん、どんな話なの?」
「うん。ニセイもクロちゃんにも話しとこうと思って……」

「サム、なにもったいぶってるんだよ!早く話せよ!!!」
「ゴメン、ニセイ。ええとね、まだ決まったわけじゃぁないんだけど、僕、《人の国》へ行く積りなんだよ」
「ええ、サムちゃん《人の国》に行っちゃうの?」
「……ホントに行くのか?サム」

 サムがニセイとクロに話した事について、二人はビックリだして、サムに聞き直してしまいました。

「うん、アゴ母さんには、話したよ。ブチ兄ちゃんにも相談したしね」
「どうしてオレには、相談しないんだよ!サム」
「そうだよ!サムちゃん。なんで相談してくれなかったんだよ!」

 ニセイとクロはサムに相談もして貰えなかった事にショックを受けました。サムに何故っと質問しました。

「だって、ニセイもクロちゃんも自分の将来の事を模索してただろう。だから、2人に負担を掛けたくなかったんだよ。……わかってよ」

 サムはニセイとクロの2人に、あまり心配を掛けたくなかったのです。2人も自分の将来の事を考えて、行動をしていたので、ニセイ達の手を煩わせたく無かったのです。

「でも、やっぱり、相談して欲しかったよ。サムちゃん」
「クロの言う通りだぞ、サム」
「2人とも、ゴメンね」

 サムはニセイとクロが、こんな自分にまさか『相談して欲しかった』と言ってくれるとは思ってもいなかったので、謝る事しか出来ませんでした。

「2人とも、本当にゴメンね」
「次からはちゃんと相談しろよ。わかったか、サム」
「そうそう、ニセイちゃんの言う通りだよ」

「うん、ありがとう。2人とも」
「ところで、サム。アゴ母さんはなんて言ってたんだ?」
「あ、俺も聞きたいな。サムちゃん、教えてよ」

 ニセイとクロはアゴ母さんがどんな事を言っていたのかが気になり出した様で、サムにどうだったのかを聞きました。そこへ、公園の遊具で遊んでいたチビ達が、兄達の話し声に反応して、近づいてきました。

「サム兄ちゃん、ニセイ兄ちゃん、大きな声でなに話してるの?」
「そうだよ、クロ兄ちゃん。なに話してたの?」
「チビ、ゴメンね。僕達は将来の事を話してたんだよ」
「そうなんだ。チャシロ」

「ふ~ん、そうなんだね。チビ達には話せないの?」
「チビちゃんの言う通りだよ。僕達が聞くのは早いの?」
「そんな事はないよ。チビ、チャシロちゃん」

「じゃぁ、どうしてチビ達に聞こえない様に話してたの?」
「そ、それは……、アゴ母さんが話した方が良いと思ったからなんだ。なあ、ニセイ、クロちゃん」
「そうそう、オレ達だと上手く要点を話せないからな。そうだよな、サム」

「そうだよ、チビ。前にチビもアゴ母さんに将来の事を相談してたじゃぁないか」
「あ、そうだった。……ゴメンなさい。サム兄ちゃん、ニセイ兄ちゃん」
「チャシロも将来の事は母さんに相談しような」
「うん、わかったよ。クロ兄ちゃん」

「じゃぁ、話も終わったし、帰ろうか?みんな」
「そうだな、クロ達もそれでいいか?」
「ああ、そうだな。チャシロ達もいいよな」
「「「は~い」」」

 サムとニセイとクロはなんとかちびっ子達に話して納得させました。そして話し合いも終わったので、家に帰る事にしました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

まもののおいしゃさん

陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
まもののおいしゃさん〜役立たずと追い出されたオッサン冒険者、豊富な魔物の知識を活かし世界で唯一の魔物専門医として娘とのんびりスローライフを楽しんでいるのでもう放っておいてくれませんか〜 長年Sランクパーティー獣の檻に所属していたテイマーのアスガルドは、より深いダンジョンに潜るのに、足手まといと切り捨てられる。 失意の中故郷に戻ると、娘と村の人たちが優しく出迎えてくれたが、村は魔物の被害に苦しんでいた。 貧乏な村には、ギルドに魔物討伐を依頼する金もない。 ──って、いやいや、それ、討伐しなくとも、何とかなるぞ? 魔物と人の共存方法の提案、6次産業の商品を次々と開発し、貧乏だった村は潤っていく。 噂を聞きつけた他の地域からも、どんどん声がかかり、民衆は「魔物を守れ!討伐よりも共存を!」と言い出した。 魔物を狩れなくなった冒険者たちは次々と廃業を余儀なくされ、ついには王宮から声がかかる。 いやいや、娘とのんびり暮らせれば充分なんで、もう放っておいてくれませんか? ※魔物は有名なものより、オリジナルなことが多いです。  一切バトルしませんが、そういうのが  お好きな方に読んでいただけると  嬉しいです。

錬金術師カレンはもう妥協しません

山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」 前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。 病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。 自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。 それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。 依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。 王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。 前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。 ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。 仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。 錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。 ※小説家になろうにも投稿中。

そして愛は突然に

志波 連
ファンタジー
ゴールディ王国第二王子アルバートの婚約者であったローズ・ブラッド侯爵令嬢が、交易拡大の条件の一つとして隣国に嫁ぐことが決まった。 優秀ではあるが、側妃腹である第一王子との次期王争いのため、第二王子アルバートの婚約者を急いで決めたい生母である王妃の策略により、家格的に見合う未婚女性としてブロン侯爵家の長女シェリーが選ばれる。 シェリーにはイーサンというシルバー伯爵家嫡男という婚約者があり、半年後には結婚する予定だったにも関わらず、王妃の願いにより王命という形で、第二王子との結婚を押し付けられてしまう。 愛し合うシェリーとイーサンは泣いて抵抗するが、騎士として王宮に勤めていたイーサンに辺境の戦地へ送られてしまった。 シェリーの輿入れ準備が進む中、イーサンが戦闘中に死亡したという情報がもたらされた。 全てを諦めたシェリーは第二王子妃となり、王子妃業務に忙しい毎日を受け入れた。 ある日、隣国皇太子と離婚したローズもいつの間にか戻っており、アルバートと逢瀬を重ねているという。 その後、あれほど愛していたイーサンが生きていることを知ったシェリーは激しく動揺するのだった。 R指定は保険です 小説家になろうおよびカクヨムでも公開しています

バグゲームからの異世界召喚

ザマァズキ
ファンタジー
バグゲーといわれた1本のカートリッジ式ゲームソフト。 いわゆるレトロゲーム。 最期の1本を持ち主が手放そうとした時、 カートリッジが光だし、彼は異世界へと召喚された。 だが、召喚主には役に立たないと言われ送還されるが 失敗してしまう。 この世界に残ることを決めた彼は、冒険者を目指す。 ストーリー中の会話などで出て来た魔物の 情報を魔物図鑑という形で別途投稿しています。

セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&
ファンタジー
その日、魔法学園女子寮に新しい寮母さんが就任しました、彼女は二人の養女を連れており、学園講師と共に女子寮を訪れます、その日からかしましい新たな女子寮の日常が紡がれ始めました。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

勇者召喚され、追放された黒騎士は、忌子の少女を守り抜く

竹桜
ファンタジー
 白色が一番とされ、黒色が忌み嫌われる世界に、勇者召喚された伊黒健介は、黒騎士という、職業になった。それを知った王国の者たちは、伊黒を王宮から追放された。  伊黒が転移させられた先は、何処かの古城だった。その場所には、美しい黒髪を腰まで伸ばし、黒い羽を持つ、少女がいた。  これは、黒騎士という職業という理由だけで追放された少年と、忌子と呼ばれた少女と、追放された訳有りの少女達との物語である。

傷モノ令嬢は冷徹辺境伯に溺愛される

中山紡希
恋愛
父の再婚後、絶世の美女と名高きアイリーンは意地悪な継母と義妹に虐げられる日々を送っていた。 実は、彼女の目元にはある事件をキッカケに痛々しい傷ができてしまった。 それ以来「傷モノ」として扱われ、屋敷に軟禁されて過ごしてきた。 ある日、ひょんなことから仮面舞踏会に参加することに。 目元の傷を隠して参加するアイリーンだが、義妹のソニアによって仮面が剥がされてしまう。 すると、なぜか冷徹辺境伯と呼ばれているエドガーが跪まずき、アイリーンに「結婚してください」と求婚する。 抜群の容姿の良さで社交界で人気のあるエドガーだが、実はある重要な秘密を抱えていて……? 傷モノになったアイリーンが冷徹辺境伯のエドガーに たっぷり愛され甘やかされるお話。 このお話は書き終えていますので、最後までお楽しみ頂けます。 修正をしながら順次更新していきます。 また、この作品は全年齢ですが、私の他の作品はRシーンありのものがあります。 もし御覧頂けた際にはご注意ください。 ※注意※他サイトにも別名義で投稿しています。

処理中です...